第32話 サンの柔道リベンジ
第32話 サンの柔道リベンジ
サン視点
この前の授業で何もさせてもらえなかった柔道だけど、ボク自身打撃メインのグラップラーとしては相性悪いんだよね。
だからお兄ちゃんに相談して組み技メインの特訓をしてもらったよ。
その後で過去に開かれた柔道の大会の動画を見せてもらって自分の感覚に落とし込んだんだ。
「うお!?」
お兄ちゃんを綺麗に一本背負いしたときは気持ちよかったし、より感覚もつかめたんだ。
お兄ちゃんもびっくりしていて思わず声が出ちゃったって言っていたから上手くいったみたい。
それからは楽だったかな。
大外刈りや背負投、肩車とか袖釣込腰、色々技を覚えたよ。
覚えてしまえばあとは簡単だね。
相手の呼吸や初動を読んで、その一瞬の“揺らぎ”を崩せばいいだけの話。
たーのしー!!
この前何もできなかったからますます楽しいや。
ボクの三倍あるだろう巨漢の柔道部員を大外車で一本取った時は周りもざわめいていたし、相手も嘘!?って顔になっていた。
大外刈りや大外車は体格差があっても相手を崩せれば決められる技なんだよね。
うんうん。
これは楽しい。
この柔道は本気になってもいい競技かもしれないね。
どうしても初動が出る競技だからボクでも投げられることあるし。
実際10回に1回は綺麗に1本取られたよ。
剣道も楽しかったけど、こればかりはレアお姉ちゃんのほうがどう考えても強いし、レアお姉ちゃん以上の剣客もいないと思うからね。
「サンちゃん、すごいね。まさか私が大外車を掛けられると思ってなかったよ」
柔道の無差別級で頑張っている平川雛乃ちゃんに驚かれちゃった。
「それにサンちゃん、まだ本気出してないよね?」
雛乃ちゃんのこの言葉には驚いた。
うまく騙せるかと思ったけど。
「どうしてそう思うの?」
「いやー、なんとなく?体のさばき方とか見ていて本気じゃないなと思ったんだけど」
「そっかあ」
とりあえず、濁しとこう。
「…なんか隠しているっぽい?」
「あはははは」
ここまで鋭いとは。
ボクも笑うしかないや。
「サンちゃん、よければ今度乱取り稽古に付き合ってもらえないかな?」
「んー、ボクの時間が合えばいいよー」
雛乃ちゃん、そこそこ強かったし駆け引きも楽しかったんだよね。
ボクも練習したいから願ったり叶ったりかな。
平川雛乃視点
化け物。
私は初見でそう思ってしまった。
150センチもない小柄なのに私から大外車で一本取るとか尋常じゃない。
あの体格差であのスピード、体のさばき方や崩し方、読み方とかどう見ても世界クラスの選手レベルだよ?
どう考えても未経験とか嘘としか思えないのよねえ。
でも、サンちゃんのあの目、どう見ても嘘ついてないわ。
というか、サンちゃんは絶対嘘つけないわね。
サンちゃんははぐらかしていたけど、顔に書いていたもん。
「本気、隠しています」って。
まあ、それはいいや。
サンちゃんという強い子がいるんだったら私の練習にもってこいだ。
これまで男の柔道選手と練習してきたけどわざと体触ってきたりするから正直不快なんだよね。
まあ一部だけどさ。
好きでもない男に弄られるのは本当に不快でしかないし。
とりあえずサンちゃんが乱取りに付き合ってくれるみたいだから色々学ばせてもらおう。
少なくとも私よりは読みが上手いと思うからね。




