第30話 報告する小島と興味を持つ組長
第30話 報告する小島と興味を持つ組長
小島視点
「ほう、そんなに強い奴らだったのか?」
「はい、私の目でも追えませんでした。」
俺は一之瀬のバカどもを組の事務所に引っ立てた後、オヤジに今回の顛末を報告していた。
「武闘派と言われたおめえさんでも追えなかったってのか?」
「動画がありやすので見ていただければ。」
俺は習慣でスマホのカメラで撮影することが多く、今回も撮影していたことが功を奏した。
事実この組の中で俺より腕っぷしが強いのは片手もいない。
特にステゴロでは頭抜けている自信はある。
だが、それでも追えなかった。
気づけば目の前に拳だぞ?
初動すらわからなかった。
なんか俺、心折れそうだ。
オヤジは動画を見て俺が言ったことに納得したようだ。
「コイツラやべえな。特に女がやべえ。トドメの踏みつけエグすぎだろ。」
「ヤバいなんてもんじゃないです。一切躊躇なしでしたから。」
「これは一之瀬のアホに同情するわ。完全に喧嘩を売る相手、間違っているじゃねぇか。」
そう言えば若頭のオジキも一ノ瀬達の怪我の具合を見てドン引きしていたもんな。
少々のことでは動揺しないオジキのあんな顔、初めて見たわ。
まぁ、全員顎の骨が折れていて、中には砕けていたやつもいたしな。
眼球破裂していた奴もいたし。
おー、こわいこわい。
やっぱ触らぬ神に祟りなしって奴、いるもんだなぁ。
俺がしみじみ考えを巡らせていると、
「小島、このカップルに詫びを入れたようだが、この詫びはお前の意思か?」
オヤジがそう聞いてきた。
「俺も命が惜しいので。組のためなら命捨てますが、一之瀬ごときに俺の命は賭けれないっすよ。」
「まあ、それもそうか。理解ある兄ちゃんたちでよかったじゃねえか。」
「そうですね。月にカニ三杯で許してくれましたし」
「本当はもっとふっかけれたんだろうが、一之瀬のアホ達はあいつらにとって歯牙にもかけない様だったからな。貰えればめっけもんって感じで提案したんだろうな。」
「でしょうね。普通に笑っていましたから。」
「…小島の強面を見て笑えるのがいい。俺は気に入ったぞ。」
お、オヤジも奴らのこと気に入ったようだな。
「だが、カタギの奴らに街中で俺らから声をかけるのもマズイわな。小島、このカップルに飯を食わせるくらいできねぇか?」
「飯、ですか。」
「学生のようだから酒はだめだろうから美味い店にでも連れてってやれ。金は組として出すからよ。」
「わかりました。連絡先は聞いていますのでダメ元で聞いてみます」
「たのむわ。できればこの兄ちゃんたちに若いやつら鍛えてもらいてぇが…」
「一般人が組の事務所に来るのも違いますよね。」
「そうだなあ。まあ、奴らなら普通に来そうではあるのだが。」
「普通にあり得そうで、簡単に想像できますね」
オヤジはだろ?と言って大笑い。
本当にヤツらのこと、気に入ったんだな。
一応連絡先は聞いておいたからダメ元で連絡してみるか。
蒼魔視点
なんか今日はやけに視線というか弱い殺気があったから警戒していたけどまさか襲われるとは。
まあ、気配でわかっていたし、不意打ちもどう来るかわかっていたから後頭部に、障壁をはって蹂躙したけどさ。
そもそもあいつら誰だったんだ?
一応リーダーっぽいやつが星華の制服着ていたから同じ学校のやつとは思うんだけど。
うーん。
わからん。
まあ、レアの反応を見てなんとなくは察したけどさ。
にしても弱いくせにイキった奴らだったな。
あとから出てきた小島という人も大したことなさそうだったし。
ま、あっちの世界の猛者と比べるのも失礼か。
地球人は魔力を扱えないから俺たちからしたら赤子の相手をするようなもんだ。
そう言えばルナがこの前相撲の中継見ていてえらく興奮していたな。
何でも力士がマナをまとっているとか。
正直半信半疑なところはあるがルナが見間違えることはないと思うし。
帰ったら聞いてみるか。
レア視点
さすが、主殿。
相手に不意打ちすらさせず返り討ちにしてしまうとは。
ただ我も大勢での不意打ちには腸が煮えくり返っていた。
しかも先導している者は我が袖にした痴者とは。
ま、我としても全力ではないとは言え蹂躙できたのは爽快であった。
泣きながら命乞いをするなら最初から襲ってこなければいい話である。
あまりに情けなさすぎて、我と対峙した主殿と比べるまでもない。
いっそ奴らの股間を踏み潰してやればよかったかな。
主殿からタマヒュンするからやめて!と言われたが。
しかしタマヒュンってなんだ?
まあ、我は弱者たるヒューマンに何の興味もないのだ。
主殿以外はな。




