第125話 明かされる真実とAkira
第125話 明かされる真実とAkira
エルシア視点
うーん、やっぱりダーリンのチグハグさが知り合いにバレつつあるなあ。
あまり親密にならなきゃバレることはないんだけど、Akiraちゃんは恋人枠に入っちゃったからなぁ。
まあ、ダーリンがサーターアンダギー食べてお酒のことを口走っちゃったのが根本の原因なんだけどさ。
いや、わかるよ?
あの味は絶対エールが合うもん。
こっちだったらラガーだっけ?
ワイン党のあーしが言うんだから間違いない。
それに向こうの世界ではあーしとよく飲んでたからよく分かる。
あれを食べて我慢しろはむしろ酷ってものよ。
で、仕方ないからAkiraちゃんには本当のことを話そうと思う。
怖がられないかな?
そう思う。
だけど、Akiraちゃんなら多分大丈夫。
ダーリンの恋人だもん。
受け入れてくれるよね。
信じてるからね?
蒼魔視点
やっちゃったなぁ…。
エルシアめちゃくちゃ覚悟決めた顔してるじゃん。
Akiraさんがトイレに行っている間に文句言われたからなぁ。
彼女の前で気が抜けるのはわかるけど、お酒発言はダメだって。
いや、エルシアならわかるだろ?
まあわかってもらえても吐いた言葉は戻らないからなぁ。
しかたない。
最悪忘却魔法をルナに使ってもらうことも考えよう。
せっかく恋人になれたけど、他の恋人を怖がるのは違うからね。
そうなったら申し訳ないけど…。
エルシアもいいよね?
うまくやればこの沖縄旅行の思い出だけが消えるから。
うん、泣くなって。
よしよし。
俺も一緒に背負うからな?
いっしょにAkiraさんを説得しような?
Akira視点
うわ~…。
めっちゃ合流しにくい…。
だってシアちゃんが蒼魔くんに抱きついて泣いてるんだもん。
こんなの見たことないよ。
あれだけ元気で明るいシアちゃんが泣いてるなんて。
しかもあれ、蒼魔くんがなにかやったんじゃなくてシアちゃんが押しつぶされそうなんだ。
…そんなに重たい秘密なのかな。
私背負えるかな?
どっちにしても、ホテルに帰ってからの話だって言ってたから、帰らないとね。
だけどこんな状況でどうやって合流しろって言うのよ。
気まずったらありゃしないわ。
ちょっと自動販売機でコーヒーでも飲んでこよう。
戻ってくる頃にはいつものシアちゃんに戻ってると良いな。
でもシアちゃんがあれだけ悩む秘密ってなんだろう。
蒼魔くんは普通に男の人だったし、シアちゃんも…ねぇ。
人種差別をするような人でもないし、セクシャルマイノリティでもない。
頭がいい話はシアちゃんから聞いてるし、そもそも隠すことでもないよね?
…まさか高校生なのにとんでもない借金を抱えてるとか!?
いや、それもないわ。
だって蒼魔くんのご両親、どっちもアメリカ暮らしでしょ?
普通に考えれば富裕層だもん。
じゃあなんだろう…。
全然想像できないや。
あの感じだとマネージャーの鬼藤さんにも話してないんだろうなぁ。
正直想像もできないんだけど。
どうか変な告白じゃありませんように。
エルシア視点
この時間が来てしまった。
あーしは覚悟を決めた。
ここで縁が切れるならそれまで。
だけどAkiraちゃん。
信じてるからね。
「今から私が話すこと、ここで起こることは絶対に口外しないでほしい。Akiraちゃん約束できる?」
普段の一人称じゃない私の話し方に目を見開くAkiraちゃん。
「わかった。絶対に口外しないし、誰にも喋らない」
…信じたいけどごめん。
軽めの制約魔法をかけさせてね。
よし、気づいてない。
「本当はこんなの見せたくなかったんだけどね」
私は魔法を解き自分の正体をさらけ出す。
サキュバスクイーンとしての正体を。
頭から生えてくる角、サキュバス族特有のハート型の尻尾、腰から生えてくるコウモリのような羽根。
そして性別関係無しに襲いかかる発情フェロモンの波。
「これが、Akiraちゃんに話したかった私の秘密。ダーリンのせいだけど、もう辻褄合わせるのが面倒になっちゃった」
力なく笑う私。
今日ほど、魔族に生まれたことを後悔したことはなかった。
親友を騙してきたんだから。
向こうの世界だったらそんなの当たり前だったけど、一人男性をともに愛した人を騙すのは限界だった。
「失望したかしら?」
黙っているAkiraちゃんに声をかけてみる。
目は見開いて両手で口を覆ってる。
ダーリンは壁にもたれかかって黙ったまま。
多分私にすべてを委ねるつもりなんだろうな。
本当にずるい人。
「シア…ちゃん」
「罵ってくれてもいいのよ?」
「ううん。きれいな人とは思ったけど、シアちゃん、サキュバスだったの?」
「そう。もっというとサキュバスの頂点、よ」
「ほあー…」
そのまま黙ってしまったAkiraちゃん。
私はいつまで断罪を待てば良いのかしら。
「うん、わかった。明かしてくれてありがとう」
あら?
声色あまり変わってないみたいだけど…?
「そうだね、ちょっと失望はしちゃったけど、これは流石に言っても信じられないでしょ。だって空想の種族なんだよ?だけどシアちゃんはここにいる」
私は黙って聞いている。
ううん。
聞くしかできていなかった。
Akiraちゃんは続ける。
「シアちゃんが私の眼の前にいる。それだけが事実なんじゃないの?それに、シアちゃん、正体がバレたからって私達になにかしようとはしないだろうし、もししようとしてたらもっと前になにか行動は起こしていたはず。それを考えれば、呆れることはあれども、嫌いになったりはしないよ」
私の両目から涙がこぼれる。
もう止められない。
ああ、これがダーリンが言っていた認められたことに心が揺さぶられた嬉し涙なのね。
「むしろ色々教えてもらえるかもしれないよね。サキュバスって籠絡の達人なんでしょ?むしろモデルの私達にとっては最高の先生ってことじゃん」
「Akiraちゃん!!」
「わわ!!シアちゃん!?」
私はガバっとAkiraちゃんに抱きついた。
「ありがとう、ありがとう…」
「今日のシアちゃんは泣き虫だなぁ…サキュバスなんだから私より歳上なんでしょ?しっかりしてよ」
「…そこで年の話を出すの?」
「だめだった?」
テヘペロっとするAkiraちゃん。
もう、叶わないなぁ。
蒼魔視点
よかった。
収まるところに収まったってところかな。
最悪記憶をいじることになりそうだったからこの結末になってよかったよ。
全く俺の不始末をエルシアに押し付ける形になっちゃったから、今夜は付き合わなきゃだな。
あの状態での相手は相当きついけど、これは俺に対するペナルティだな。
まあ死ぬことはないだろう。
むしろ手加減よろしくお願いします、としか言えないな。
「ダーリン、この後説教だからね」
あ、はい。
お手柔らかにお願いします。
はい。
今回はAkiraにエルシアが自分の正体を明かす回でした。
まあ蒼魔のチョンボのせいで、というのはありますが。
タイムリープをテーマにした作品でサラリーマンが高校生に戻ったりするのも結構見かけますが、実際お酒の味を覚えた大人が高校生に戻った場合、飲みたい衝動、どうするんでしょうね(笑)
私は我慢できる自信がないです。
続きます。




