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ルンルン!

  俺の名は雑賀義春…

我が雑賀家は鉄砲が出回った戦国時代に鉄砲術を編み出し,遠くからの狙撃を目的とした暗殺部隊で数多くの武功をたてた一族。

 それは長きにわたり時代の権力者によって使われてきた…

 今もまだ暗殺を生業としている。

 ただ遠くから人を殺し,報酬をもらい,また依頼を受けて人を殺す…

 そしてまた俺はレンズごしにターゲットを狙う。

 今日狙うのは政治家らしいがどうでもいい…

 ただ殺すだけ…

 その繰り返し…

 そうやって今まで生きてきた…

 それが当たり前だった。

 人を殺すという事は殺される覚悟も必要だが,俺はいつ殺されても構わない。

 むしろ誰か俺を殺して欲しいとどこかで思っている…

 しかしこの20年,警察に捕まる事も誰かに狙われる事も無くただ殺してきた。

 俺の役目もあと少しで終わる…

 50歳になると引退…

 里に戻り現役のサポートに回る事と子作りをする…

 身寄りのない女をさらってきて子を産ませ殺す…

 そうやって一族が今まで続いてきた…

 しかし俺は何か疑問を持ち始めている…

 この人生の意味を…

 

 ターゲットを捉えて引き金を絞るように引く…

 頭を打ち抜き仕事が完了する…

 そして寝ぐらに帰る。

 大体ここから数ヶ月自由となる…

 その間にすることは身を潜め,目立たずひっそりと暮らす…出来るだけ人と関わらないように。

 里からサポート役が金と手入れされた銃を一緒に届けてくれる。

 寝ぐらも貸家で人里離れた一軒家…

 ひとまずリラックス…

 このまま引退してサポートに回り,子を産ませ後継としてまた人殺しを育てるのか…

 レールの上をただ真っ直ぐ進む…

      終着駅まで…

 いや…そんなつまらない道を進むのか…

 

      キビエラあごえ


   ん!?なんだ?何か聞こえた!

   辺りを見回すが誰もいない…

   確かに聞こえた!

 まさか歳のせいでおかしくなったか?

    人の気配も何も無い…

  俺は疲れていたのかそのままうとうとと眠りについた…

  

    あぁ私のかわいいぼうや…

  嫌!やめて!私の大切なぼうやを…

     連れて行かないで!

      

       バンバン!


    何だ?これは俺の母親?

    そんな事はない!

赤子の俺にそんな記憶があるわけがない…

   きっとこれは一族の里で見た聞いた時の想像された記憶に違いない!

       しかし…


     キビエラあごえ


      ん!?

      キビエラ何?

      誰かいるのか?

      なんなんだ!一体!


     私のかわいいぼうや…


    はっ!と目を覚ました…

 夢?!今までこんな夢見たことはない…

  だが…俺を産んだ母親もそうやって消されたのだ父親の手によって…

    狙撃術の師は父親だ…

 今まで生きてこれたのはその父親の教えがあったからだ…

        だが…

     俺のなりたいものは…


 一族の全ての人間の情報を得る為一度里に戻った。

  子供達も入れて100人いくかどうかの小さな里…昔はもっと小さかったと聞いているが,戦さ場の活躍あって賜る給金もあがりこの一族の里が出来上がったらしい…

   現当主は俺のおやじだ…

   齢88でまだまだ元気そうだ…

 俺は実家に帰っておやじに会った。

 若い女を周りに置いている…

 おやじと近況を話し自分の部屋に向かう…

  俺はもうおやじには会いたくなかったがこれもなにかの思召かもしれない。

 おやじの周りにいた女達はおそらくボディガード…手練れ達だな。

 深夜になり俺は隠密で一族の情報が全て書かれている虎の巻がある蔵に向かう…

 警備が1人…いやこの里にはあまり帰って来なかったが,蔵以外にも警備が何人もうろついている。

      なぜだ?

  俺は身を潜めて様子を伺う…

すると警備兵達がバタバタと倒れだす…

    何が?起きた?

倒れた兵を見ると首を斬られ死んでいる…

       誰が?

 身を潜めている私の前を黒ずくめの人間が通り過ぎていく…

      暗殺者か?

      同業者?

     今動くとまずい!

     しかし1人なのか?

     今のところこの1人だけ…

 黒ずくめの人間は蔵の鍵をこじ開け中に入っていく…

 私は後を追い蔵の中へ…

   奴は私の狙っていた虎の巻を手にして立ち去る…

私はそれを茫然と見ているしかなかった。

 数分息を潜め奴の向かった先を追う…

 通る場所場所には死体が転がり,奴の恐ろしさを物語る。

 決して兵が弱いわけではない!

 奴が強すぎるのだ!

 里の外れに向かうと車が3台と黒ずくめの人間が3人…

 何かを話しそれぞれの車に乗って去って行った。

 俺は実家に戻る…

 皆殺されていた…

 ボディガードの女達もおやじも…女中達もその子供達も…

       なぜだ?…

 俺が帰って来たタイミングでなぜこんな事が…

 まさか!俺がつけられていた?

 いやそんなはずは…

 まずは生存者がいるか確認しよう…

 家々を見て回るが女,子供全てが殺されている…

 全てを見てこの里の生き残りが自分しかいない…

 ひとまず夜明けを待つ。

俺は里の者達の遺体を広場に集めガソリンをかけて燃やした…

 火が消えかかればまたガソリンをかけて念入りに燃やす…

 全ての遺体が骨に変わる…

 骨を集め砕き一つ一つを小さくした…

 広場の中心に穴を掘り,骨を埋める。

    

この作業が終わる頃…

 


  俺は気配に気付かず背後を取られ,頸動脈に手刀をあびた…

   

   気がつくと俺は暗闇にいる…



     キビエラあごえ


  まただ!誰だ!?なんなんだ!?

 

  キビエラあごえって一体なんだ?

 

 すると真っ暗闇の中に小さな白い点が現れた。

 その点は少しずつ大きくなり,そこからまたあの言葉が聞こえてくる…


     キビエラあごえ


 誰がいるのか?なんなんだ!

  俺はその言葉をおもいっきり大きな声で叫んだ!

     キビエラあごえ〜〜‼️


        ん!?

        夢?

    目を向けた先には天井?

        ん?どこ?

     気が付きましたか?

      あんた誰だ?

 私は貴方の一族を抹殺した張本人です。

  厳密には私の仲間2人とですがね。

 

 私は貴方が気配を消しこちらを伺っている事を知っていました…

 なにしろ貴方から良い香りがしていたもので…

     香り?

     俺は香水なんかしないぞ!


 いえ…そういう類の匂いではなく…

 生娘の匂い…

     

     生娘?俺から?

     なぜ?

 まだわかりませんか?貴方女ですよ!


     えっ!俺が女?

     そうだった俺は女だ…

     女だった俺をおやじは男として育てた…本人の俺が忘れるほどに。


 貴方を私の妻として迎えたいと思い,連れてきてしまいました…

 そして今の貴方はまさに女性そのものですよ!

     

     俺は手渡された鏡を見た…

     これが?俺!?


 その後…一切のしがらみから抜け出した俺はありのままの自分を受け入れ女としての幸せを初めて味わう事になる。

    

   男を知り快楽を知り愛を知る…

 

   


   

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