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同期  作者: SHIRO
35/37

35

 どうしてこんな状況に陥っているのだろう。僕らは灯りの消えた部屋で、ベッドに横並びで座っている。関本と僕との距離は、肩が触れるか触れないか位の微妙な間隔を保っている。

 これ以上近付いたら、僕は平静を保つことができない。関本と触れそうな肩から、ぞわぞわと腕や頬の産毛が立ち上がる。震えそうな自分を保つ為に、僕は拳を握った。

 灯りの消えた部屋は全くの暗闇ではない。ベランダから差しこむ青い月灯りが、僕らの輪郭を浮かべていた。

「どうして」

 さっきから何も言わない関本に、僕は半分笑ってそう言った。上手く笑えたのか、僕には自信がない。

 僕と寝ると言った関本。好きだと告白したのは工藤であり、関本と僕の間にそんな問題は発生していない。何を考えての発言なのか。関本の真意が分からないから、僕は慎重になる。

「考え過ぎなんだよ」

 関本の声は静かで、優しい。

 寝る事なんて容易いことだと言っているのか。

「意味が分からない。どうして」

 僕の声には微かな苛立ちが混じる。さっきと堂々巡りになっているのは自分でも分かっていたが、それ以上の言葉が浮かばなかった。

足を組む衣擦れの音がして、一瞬だけ僕の肩に関本の肩が触れる。

 ビリっと身体に電流が走った。心臓がきゅっと収縮する。

「好きなんだろうな、たぶん……」

 たぶんと言う言葉の後を、関本は呑み込んだと思う。

 さっき触れた肩に、今度は明らかに意思を持って関本の肩が触れる。関本の使っているシャンプーの香りが、強い芳香を放って僕を包み込んだ。

 僕は青い闇から逃れる為に眼を瞑った。

漆黒の暗闇の中へ落ちて行く。

このまま何も起こらず、関本が帰って行けばいい。僕は手に入れるものより、失うものの大きさを、恐れずにはいられなかった。


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