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104/106

104.ああ、絶望の対策会議

 職員の声に対して、自身を含む複数の冒険者が挙手した。職員は周りを見渡した後、軽く頷き言葉を続ける。


「アルクキヨジンは、自然発生した人型の超巨大モンスターで、この村が作られる遥か前…数百年前の遺跡からも壁画等が発見されており、一体何時頃から存在しているのかも不明です。数十年前に、ここから数百キロ先のシャンパーン国に出現した際は莫大な国家予算を掛けて、討伐隊を編成したものの、壊滅させられ城にも大規模な被害が出ており…現在も一部の復旧が間に合っていない状態と聞きます。このモンスターは大きさが小さな城くらいあり全身が光沢のある金属で守られていて、物理攻撃、魔法攻撃共に殆ど効果がありません…」  

 

 アルクキヨジンは数百年前から存在しているとだけあって有名なのか、周りの冒険者達は既に知っている情報だと言わんばかりに聞き流している。


「その中でも一番ヤバいのは脚力です。その一振りで木々はなぎ倒され、風圧により山が吹き飛ぶとさえ言われています、現に騎士団もこの蹴りにより壊滅したそうです」

 

 話を聞き流していた冒険者達もこればかりは聞き流せないのか真剣な面持ちで、ごくりと喉を鳴らす、自分達がこれから相手にする怪物への恐怖と死地へ向かう緊張と謎の高揚感がそうさせるのか。


(人間真に恐怖すると笑うって言うしなぁ)


「物理も魔法も殆ど効果が無いわけですが…。 体を覆っている金属をどうにかすれば攻撃が通ると思われます。但し、近づけば容赦なく捻り潰されますし、中距離でも蹴りにより風圧で圧死する事が予想されます。後は遠距離攻撃ですが、遠距離からあの金属を破壊する様な超攻撃が出来るかと言うと…」


 へぇー…


「そしてこの、アルクキヨジンが何故、我らの村に向かっているかですが…まったく不明です。強いて言えば、この村の中心に最近何者かに植えられて日々増殖し続け、今では村を覆うくらいの大樹となっている謎の植物くらいですが、アルクキヨジンはグルメでより美味しい草を求めて彷徨っているという研究結果は眉唾ですし…」


「いや、それだろ」


そういや、最近やけに暗いなぁーあんなでっかい木あったっけ?と思っていたが大した事じゃないんで気にも止めてなかったが


「…他に意見はありませんか?」


 完璧に的を得たと思われる俺の意見は見事にスルーされた、なんなんだ。心なしか周りの冒険者も俺を見て「こいつわかってねーな」見たいな目でため息をつく始末。俺がおかしいのか?ははーん、さてはアホしかいないな?もうわかっちゃったもんね!お前らみんなアホだろ!


「古代の壁画とやらに対処方みたいなものは書かれていなかったんですか?」


「壁画には物語が記載されているものが複数見つかっていますが、それはどれも滅亡への物語なのです」


 ふぅ、と息をつき「他には?」と続ける


「えーと、魔王とかってどうしてるんですか?そんな危険なモンスターなら魔王関係無く襲われる可能性あると思うんですけど」


 おずおずと、手を挙げて質問を投げたのは、村の道具屋の店員だ、これは中々良い質問だと思う。だって魔王がこれを回避する方法を知っているって事かもしれないし、何かしら対抗策を見つけるヒントになるに違いない


「滅んでるみたいですよ、今の魔王は数世代経っていて、過去に何回かアルクキヨジンによって滅んでいるって話があります」


 ギルドマスターの口から、誰も予想していなかったぶっ飛んだ回答が出る。これには冒険者達も唖然と口を開けている。もちろん俺もだ


 …無理ゲーだ。何それもうこの世界最強種じゃん。勇者みたいなもんだろそれ。ああでもこの場合、勇者も倒しちゃうだろうから破壊神とかそっちの方がしっくりくるけど。

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