第8話
それからしばらくの間、奇行を続けるセフィリアさんを眺めていた。いや、元々は俺のせいなんだけどさ。あんなに取り乱さなくてもいいと思うんだけどなー。とうとう変な言葉まで発するようになっちゃったし。…いつになったら人間の言葉を話せるようになるのやら。
「ロロー?」
「んー?」
「契約しよー?」
「おーそれはいいんだけどさー」
精霊と契約するための条件は全部満たしていた。それはいいんだけど、どうやって契約するのかがいまだに分からないんだよな。セフィリアさーん!
「…はいはい。全く、ロロくんは呑気でいいね。こっちの苦労も知らないで…」
「あーすみません」
「いいよ。それで、精霊と契約する方法だっけ?」
そうです。ぜひぜひ教えてください師匠。
「別に特別なことはないよ。条件を満たしていればいいわけだし」
「ふむふむ」
「まず────────」
セフィリアさんの講義を真剣に聞く。────なるほど、だいたいのことは分かったぞ。隣で聞いていた精霊もやる気満々だ。まず、風葉の精霊が元気よく俺の前に立ちました。期待の眼差しでこっちを見てくる。
俺が手を差し出すと精霊は手を重ねてきた。よしよし、これで準備は整ったな。
「────俺、ロロは精霊と縁ある者」
柔らかな風が吹き抜けた感覚がした。淡い光が精霊に集まってくる。
「風葉の精霊────『ヴェンティフォリア』との契約を」
「『ヴェンティフォリア』────ハヤテはロロと契約するー」
≪風葉の精霊と契約しました。称号『風葉の精霊ハヤテの溺愛』を獲得≫
≪プレイヤーの中で最初に精霊と契約しました。称号『始源の契約者』を獲得≫
なんか緩い宣言だったな。でも無事に契約できたらしい。ハヤテも嬉しそうに俺に飛びついてきた。分かった分かった。俺も嬉しいよ。
『風葉の精霊ハヤテの溺愛』
注釈:風葉の精霊ハヤテが心の底から愛して止まない者と契約した際に獲得する称号
効果:WP+5、精霊関連のスキルの獲得経験値上昇、精霊関連NPCの友好度微上昇
『始源の契約者』
注釈:プレイヤーの中で最初に精霊と契約し、かつ精霊に溺愛されている者に送られる称号
効果:WP+10、全属性の耐性微上昇、精霊関連NPCの友好度上昇
溺愛って…お前、なんでそんなに俺のこと好きでいてくれるの?まぁ好かれて悪い気はしないけどさ。
「セフィリアさんー無事に契約できました!」
「そっかーできちゃったかーおめでとう、ロロくん」
「ありがとうございます」
なんか師匠がめちゃくちゃ遠い目をしているけど気にしないことにする。ステータスを確認するとハヤテの欄が追加されていた。
名前:ハヤテ (ヴェンティフォリア)
種族:風葉の精霊 レベル1
HP:46 MP:50
STR:8 VIT:10 DEX:12 AGI:21 INT:18 MND:12
スキル
風魔法:レベル1 樹魔法:レベル1 精霊眼:レベル1 採取:レベル1 栽培:レベル1
…なんか、レベル1なのに強くないか?スキルは少ないが、ステータスだけ見れば俺よりもずっと優秀だ。
「これからよろしくな」
「よろしくねー」
あと職業、精霊の愛子のレベルが1上がっていた。ハヤテと契約したからだろうか?何で経験値を獲得することができるのかまだ分からないが、今回はラッキーだったな。
「うんうん、仲が良さそうで嬉しいよ」
「セフィリアさん…急に押し掛けたのに、色々教えてくれて本当にありがとうございました」
「いいよ。師匠は弟子に教えるものだからね。…まぁ精霊と契約する方法を教わりにくるとは思わなかったけど」
ご迷惑をおかけしました…。これかも頼りにさせてください、師匠!
「そうそう、ロロくん。今の君の瞳、面白いことになってるよ」
「へ?」
「ほら、これ鏡」
手鏡を受け取り、覗き込む。俺の瞳?────あ、なんか右眼の中に不思議な模様?紋章のようなのがある!なんじゃこりゃ。
「それは精霊と契約したって証。契約者は体のどこかしらにその紋章が刻まれるんだよね」
「そうなんですかー」
「ロロくんのは割と目立つけど、これが額のど真ん中とかじゃなくてよかったと思うよ」
「額のど真ん中は嫌っすね」
契約の証はランダムで出てくるみたいだな。瞳の中に紋章とか中二病っぽかったけど、まだマシな方だったらしい。
あ、ハヤテと契約するっていうクエスト、ちゃんとクリアになってるな。所持金も報酬分増えている。
「それで、ロロくんは魔石は集め終わったのかな?」
「あ…まだですね」
そうだ、グリーンスライムを討伐するクエストを受けている最中だった。ハヤテのことですっかり頭から抜け落ちてたな。MPも時間で回復してるみたいだし、これならもう1回くらいスライムを倒せるか。いや、ポーションを買いに行こうかな?万が一ってこともあるだろうし。
「それじゃあ、もう一度行ってきます!」
「はーい。気を付けてね」




