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職業は精霊の愛子  作者: 黒色猫


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5/5

第5話


「だーかーら!俺はここのギルドに入りたいって言ってるんだ!」

「何度も言っているが、お前はギルドに登録資格がない。出直すことだな」

「話通じねーおっさんだな。責任者連れて来いよ!」


 ギルドの中から言い争いが聞こえてくる。あ、人だかりもできているな。ちょっと中を覗いてみると青年の姿をしたプレイヤーと男性職員が睨み合っていた。そうっとギルドの中に入る。


「はぁ…上の者を連れてくるまでもない。さっさとギルドから出て行け」

「な、ど、どうなってんだ」


 職員が手を払う仕草をすると、急にプレイヤーが浮かび上がり勢いよくギルドの外に放り出された。あ、危うくぶつかるところだったぞ…。農業ギルドの中には他にもプレイヤーたちの姿があったが、追い出されたくないからなのか誰も受付の方に行こうとしない。


 き、気まずい。が、せっかくギルドに入ったのだから細工ギルドの場所を聞きたい。ソロソロと受付まで行き、先ほどプレイヤーと言い合っていた職員の前に立つ。


「あのー…」

「なんだ。先に言っとくが農業ギルドには登録できないぞ」

「細工ギルドの場所を教えて欲しくてですね…」

「細工ギルド?」

「はい。セフィリアさんから紹介状を貰ったので、ギルドに登録しに行こうと思いまして」


 そう言うと職員さんの態度が明らかに変わった。仏頂面だった顔を緩ませ、纏う空気もどこか柔らかくなった感じがする。


「お前は他の奴らと違ってるようだな。…細工ギルドはここのギルドを出て右手に進み、最初の分かれ道を左に曲がると見えてくるだろう」

「ありがとうございます。行ってみます」

「…分からなければまた来るといい。それから細工ギルドに登録した後、農業に興味があるなら歓迎する」

「は、はい」


 職員の方に見送られ、他のプレイヤーたちの視線を見ないふりしながら農業ギルドを後にする。いやー緊張した。何はともあれ、細工ギルドまでの道のりは分かったな。教えてもらった通り進み、分かれ道を左に曲がる。…あ、ここじゃないか?意外と農業ギルドと距離が近いんだな。


 看板に鋏の絵が描かれているギルド。…やっぱり入口付近にはプレイヤーがワラワラと集っているな。でも誰も中に入ろうとしない。何してるんだ、あの人たち。


 とりあえず人混みをかき分け、ギルドの扉を開ける。見える範囲だと農業ギルドと変わらないように感じるな。さすがに設備とかは違うだろうが。


「すみません、ギルドに登録したいんですが」


 紹介状を差し出しながら受付の男性職員にお願いする。


「!紹介状をお預かりしますね。────セ、セフィリア様からの紹介状…。た、確かに受け取りました。少々お待ちください」

「はい」


 なんかセフィリアさんの名前に驚いていたようだったが、そんなに有名な人なのかな?確かにすごそうな雰囲気だったけど。


「こちらの書類に記入をお願いします」

「分かりました」


 名前はロロ。職業は精霊の愛子とビーストブリーダー。所持スキルは任意だったがとりあえず全部書いてみた。…精霊に関するあれそれについて、セフィリアさんにどうすればいいか聞いておくべきだったな。まぁ大事にならないことを祈って書類を提出。


「…………は?これ、え?」

「あはは…」

「し、少々お待ちください」


 職員さんが椅子から転げ落ちるように奥に走っていった。やっぱり精霊に関するスキルは書かないほうが良かったかな…。でも職業が精霊の愛子だから、どちらにしろこうなったと思うんだよな。


「あの…ちょっといいかい?」

「ん?」


 見知らぬプレイヤーから声をかけられた。赤い短髪に黒い隈が特徴的な男性プレイヤー。なんかリアルでは関わりあいたくないタイプだが、口調は穏やかだ。


「職員の人が戻ってくるまでだったら大丈夫だぞ」

「ありがとう。…見てた感じギルドに登録できそうでしょ?なんで俺たちは登録できないのか教えてほしくってさ。詳しいことを職員の人に聞こうとしても、お前たちはギルドに入れないの一点張りで」


 なるほど。どうやらこの人はプレイヤーの代表として聞きに来たみたいだ。後ろでは俺たちの話を耳をすまして聞いている人たちが多数。


「紹介状は貰ったか?」

「紹介状?」

「それがないとプレイヤーはギルドに登録できないんだよ」

「そうなの?!」


 そうなの。初耳情報だったようで、驚愕の表情を浮かべている奴らがコソコソと話し合っている。


「誰から紹介状を貰ったのか聞いてもいい?」

「俺?俺は細工の師匠から貰った」

「そっか…分かった。情報ありがとう。あ、俺はハバネロ。良かったらフレンドになってくれない?」

「…まぁいいけど。俺はロロ」


 成り行きでハバネロとフレンド登録してしまった。ゲーム内で初めてのフレンドだ。この人無理に情報を聞き出そうとしなかったし、割といい人そうだな。後ろで他の人たちもフレンド登録したそうだったが一先ず無視。切りがなさそうだ。


 ハバネロがギルドを去るのを見送ると、職員の人がちょうど戻ってきた。


「お、お待たせしました。まずはロロさんのギルドカードを作りますね」

「お願いします」

「────はい。こちらがギルドカードになります。紛失した場合は再発行に100ベル必要になるのでお気を付けください」

「分かりました」


 しっかりアイテムボックスにカードをしまった。失くさないようにしないとな。



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