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CYCLE  作者: カツ・コイチ
武闘会編
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32/57

アポロの誘い

どうやら騒ぎを聞きつけた学長が、審判にこの試合を止めるのは不可能だと判断し、止めに入ったらしい。


「見事な戦いぶりじゃったな、金の卵たちよ。」


そう優しく微笑む学長とは対照的に、ルシエルの顔は悔しさと恥ずかしさで歪んでいるようだった。

後腐れの無いように、と言付けをし、学長は校舎へと戻っていく。


「おい、さっさと謝罪しろよ」


俯くルシエルに、俺はそう告げる。

するとルシエルは、黙ったままハヤテの元に歩いていき、深々と頭を下げた。

その後、俺の方を強く睨んでからぶつぶつと何かを呟きながらどこかへ去っていった。


「さすがは俺のライバルだな」


振り返ると、そこにはロキが立っていた。


「いつから俺はお前のライバルになったんだよ...」


どうやらロキも俺達の決闘を見ていたようで、また俺の力を見れたことを喜んでいる様子だった。

まぁ、別に俺の力って訳でもないんだが...


「ありがとな、アマツ。」


ハヤテはある程度回復したようで、俺に感謝の言葉を述べた。

しかし感謝を述べられると、少し照れくさい。


「これは俺がしたくてしたかった事だよ。お礼なんて...」


そう言うと、ハヤテはポロポロと泣き出した。

俺は慌てて慰めようとしたが、ハヤテは涙を拭いながら話を始める。


「本当にありがとな...俺悔しかったんだよ。今までずっと気にしてたこと全部バカにされてさ!」


俺たちは黙ってその言葉を聞いていた。

ハヤテは表面上では明るく振舞っていても、たくさんの悩みを抱えてるんだ。


「俺は絶対...絶対兄貴みたいになって、アイツを自分の手で見返してやる!!」


そう言って赤くなった瞼を擦る。

するとなぜだかロキも急に号泣しだし、ハヤテに歩み寄る。


「お前なら出来るぜ!俺と一緒に上を目指すぞ!」


2人は抱き合いながらわんわんと泣いていた。

それに対してディゴノは困惑し、俺の方を焦った様子で見てきた。


「と、とりあえず授業始まるから...教室に戻ろうぜ?」


そう言って2人を説得し、俺たちは校舎へと歩き出した。


ーーー


「はい、お前ら3人全員遅刻〜!」


教室へ入ると、カイズは俺たちを指さしてそう叫んだ。

カイズはニヤニヤとしながらこちらを見ていたが、やがて俺たちに席へ着くように促した。


「まぁ、今回は不問とする。事情が事情だしな」


そう言ってこちらに目配せをすると、カイズは直ぐに授業へ取り掛かった。

やはり気のいいやつだ。


休み時間、俺はハヤテとディゴノに、昨日と今日で一体何があったのかを聞いた。

するとディゴノは、昨日起きたことを話し始めた。


「実はさ、あの後ルシエルの元にリンキハイゼンについて聞きに行ったら、彼の態度が急に変わり始めたんだよ。最初は快く話を聞いてくれたってのさ...」


ディゴノが言うには、リンキハイゼンの名前を出した途端にルシエルは態度が杓変し、ハヤテに対して落ちこぼれだなんだと挑発をしたらしい。

それに対して腹を立てたハヤテが自らの実力を証明するために決闘を挑んだとのこと。


「腹立つ気持ちは分かるけどさ、相手が悪りぃよ」


俺がそう言うと、ハヤテはムスッとした顔で答える。


「でもよ、あそこで引いたらダメだと思ったんだ。あいつ、俺がいちばん気にしてることを...」


確かに、ルシエルの話していた内容はかなり酷いものだった。

あれだけ言われて言い返すなってのも酷だし、ハヤテにも譲れない物があるんだろう。


「結局、リンキハイゼンについては分からずじまいだったね」


ディゴノの言う通り、当初の目的は達成されなかった。

ルシエルに聞くって手段は絶たれたようだし、当面は調べられないかもな。


「おい、お前がミアス家のおぼっちゃまを倒したやつだな?」


振り返ると、焼けた肌に八重歯の目立つ、満面の笑みの生徒が立っていた。


「えっと...誰?」


俺がそう聞くと、その生徒は自信満々に自己紹介を始めた。


「俺はアポロ!アポロ・ナイトマイルだ。口から火が出せるぜ!」


そう言いながらアポロは大きく口をあけ、思いっきり息を吸った。

次の瞬間、アポロは握りこぶしに風船を膨らむように息を吹き込み、拳の先からそれはそれは見事な...小さな火種を出した。


「......俺は熱くなんねぇとデケェ火が出ねえんだ。」


コホンと咳払いをすると、アポロは俺の肩をつかみ、懇願をしてきた。


「単刀直入に言う...俺と武闘会で同じ班になってくれ!!」

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