表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CYCLE  作者: カツ・コイチ
入学試験編
PR
30/38

ミアス家vs怪物

すぐに校庭の中央に戻り、俺とルシエルは互いに向かい合った。

よく見ると、校舎の窓から教師達が見下ろしている。


「君達の醜態を学校中に晒すことになるとは...心が苦しいよ」


そう言いながら剣を抜くルシエル。

それに合わせ、俺も鉄球を取り出した。


「はは、何だい?それは。お手玉でもしてくれるのかい?」


俺はルシエルの言葉など耳に入ってこなかった。

俺の中の怒りが今にも飛び出してフライングしてしまいそうで、それを抑えるのに必死だからだ。


「それでは、ミアス・ルシエルvsアマツ・カイの決闘を始めます!!」


観客は息を飲んで見守っていた。

ディゴノは怪訝そうな顔でこちらを伺っている。

さっきだって、ディゴノには何度も止められた。

でも俺の決意は揺るがない。

もしかしたらハヤテに、ソウキを重ねているのかもしれない。


「それでは...決闘、開始!!」


すぐに俺の首へと斬り掛かるルシエル。

俺の鉄球は薄暗く変色し、刃を受け止める。


「へぇ...自動で守ってくれるのかい。雑魚らしい武器だね。」


そう言って1歩後ずさりをするルシエル。

しかし、すぐに再び斬り掛かってきた。

一切カウンターを警戒していないようなその構えを、俺は見逃さなかった。


「温ぃよ」


俺の鉄球はみるみる形を変え、槍へと変形した。


「!!」


間一髪で回避したルシエルだったが、俺の刃は形を変え、ルシエルの腕に先手の切り傷を与えた。


「形の変わる武器...!?」


そう、俺の鉄球は自由自在に形を変える。

太刀を避けたところで、攻撃を交わせたということにはならない。


「なるほどね、決闘を申し込んだのも当てずっぽうじゃない訳だ」


ルシエルは再び強く剣を握り混むと、何やら力を込め始める。


「悪いけど、手加減はおしまいだ。知ってるかい?僕のモツは常人よりも沢山のエネルギーを吸収するんだ」


そう言うと、剣の色はどんどん濃く変色していく。

薄暗い灰色にまでなった刀身は、なにやら黒いモヤがかかり、明らかにただの武器とは言えなかった。


「武器はエネルギーを込めれば込めるほど威力を増す...常人は僕の攻撃についてこれない!!」


確かに、ルシエルの攻撃は威力を増していた。

大きな金属音と共に、お互いの武器は激しくぶつかり合う。

そしてぶつかる度に、強い衝撃波が発生し、気づけば審判も少し離れた所で様子を伺っていた。


「能力を使うまでもないね。君は僕の本気を引き出せずに敗れるんだ」


そう言って絶え間なく攻撃を繰り出すルシエル。

数回に1回は、空気が響めくような威力で、少し離れたフェンスも強く揺れ、音を立てていた。

その猛攻は、生徒会長ですらも息を飲むほどだった。


「どうだい?そろそろ降参する気になったかい?」


攻撃の手を緩めず、確実に俺の隙をつこうとしてくる。

しかし俺の絶対的な防御力の前ではそれは無力だった。

俺はゆっくりと息を吸い、ルシエルへと話しかける。


「確かにお前は強い。でもな、ロキほど早くはないし、ユノほど洞察力も無い。生徒会ほど戦闘経験がある訳でもないし...ハヤテほど技術がある訳じゃない。」


俺は自分の中の怒りと、込み上げてくるソレをゆっくりと解放していく。

鉄球は段々と色を変えていた。


「確かにそうかもね。でも、それら全員を殺せるだけの"力"がある!!」


猛攻を仕掛けても決着のつかないこの戦いに、ルシエルは焦っているようだ。

安定していた太刀はかなり力んでおり、隙が増えていた。


「残念だが、お前は力も中途半端だよ」


ついに、俺は全てを解放する。

再びあの時のように、俺の武器は真っ黒に変色する。


「エネルギーの完全浸透だって!?」


ディゴノは目を丸くしていた。

いや、ディゴノだけではない。

その場に居合わせた全員が、ミアス家に対抗し得る力を持つ無名の俺に..."イレギュラー"に対して驚愕していた。


「神の遺伝子とか言ったか?なら俺は神をも殺す異端者になってやるよ!」


一瞬の隙を狙い、鉄球は防御を辞め、剣へと姿を変える。

ルシエルは焦ったように両手を組み、能力を発動しようとする。

しかし抵抗虚しく、既に俺の刃はルシエルの首を捉えていた。


───その時だった。


「そこまでじゃ」


気づけば、俺の手は強く掴まれ、一切動かせなかった。

俺の腕を軽々と静止させるその手は、たくさんのシワに包まれていても、力強さが感じられた。


「勝負あり!勝者、アマツ!!」


老人のその叫びは耳を塞ぎたくなるくらいに大きく、学校中に俺の勝利が響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ