表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/69

第二編 ロゼリス、モテ期到来!?

ある日、王宮のイベント担当者がロゼリスを訪ねてきた。


「ロゼリス様、フラワールーナフェスタの王妃代理としてご出席をお願いしたく……」


「……え? わ、私が……ですの?」


花と月の祭典“フラワールーナフェスタ”。

ジークス王国最大規模の祭典であり、王妃もしくは将来の王妃候補が祭事を務める非常に重要な式典。


本来ならルチアが務めるはずだった。

しかし彼女は懐妊初期で悪阻が酷く、動くことすら困難になっていた。


「代わりに第二王妃候補であるロゼリス様に白羽の矢が立ちまして……」


(ルチア様……大丈夫かしら。推し✕推しの子供なんて……絶対に可愛いですわ……! でも、こんな大役……わたくしでよろしいの?)


不安はあった。

けれど任された以上、逃げるわけにはいかない。


「ロゼリス、無理はするなよ。お前は真面目だから心配だ」


アーロンの部屋で練習中、何度も転ぶ彼女を抱きとめながらアーロンは言った。


「大丈夫ですわ。アーロン様が見ていてくださるなら……」

「……そんな目で言うな。抱きしめたくなるだろ」


練習のたびにドキドキして全く集中できない。

その原因の半分はアーロンである。


***


そして迎えた祭典当日。


花をちりばめたタイトなドレスに身を包み、頭には月のヴェール。

ロゼリスはまるで“花の妖精”のように可憐だった。


隣には、王紋入りの黒いマントをまとったアーロン。


(アーロン様……黒いスーツが似合いすぎて……倒れそうですわ……!)


アーロンの視線はロゼリスに釘付けだった。


「……綺麗すぎる。ロゼリス、今日は絶対に俺の半径一メートルから離れるな」


「な、なぜですの?!」


「理由を言わせるな……」


アーロンの耳が赤い。


***


祭典は華やかに進み、いよいよロゼリスの“月の舞”が始まる。


満月が夜空に煌めき、その光がロゼリスの赤髪を照らした瞬間、場にざわめきが走った。


舞うたび、髪が光を帯びて流れ、ドレスが花びらのように揺れ、その表情は気品と可憐さが同居していて。


観客全員が息を呑んだ。

アーロンでさえ、固まったまま動かない。


「……ロゼリス……綺麗すぎる…………」


横にいたルミナスが肘で突く。


「アーロン殿下、鼻血、鼻血!」


「は……? っ……!」


アーロン、無自覚に鼻血を出し、ルミナスに止められる。

各国王子たちは崩れ落ち、胸を押さえ、頬を赤らめ

一斉にロゼリスへ視線を送った。


ロゼリス本人だけが状況を理解していなかった。


***


舞が終わり、役目を果たした安心感でロゼリスが息をついていた瞬間、周囲に各国王子たちが殺到した。


「ロゼリス嬢、月の舞……素晴らしかった!」

「ぜひ我が国へ!我が后に!」

「驚異的な美しさだ……!」


「え、えっと……あ、ありがとうございます……」


(な、なんで囲まれてますの?!)


「婚約者はいるのか?だが、結婚していないなら問題ない!」

「ぜひ我が国に嫁ぎ──」


「嫁げませんわ!!」


言い切ったその声は震えていたけれど、強かった。


「私は……婚約者を心から愛しています。ですから……申し訳ありません」


それでも王子たちは引き下がらない。


「愛? そんなもの、時間が経てば──」


その瞬間。


ロゼリスの細い腰を後ろから掴む強い腕があった。


「──悪いが」


アーロンだ。


炎のような瞳で王子達を睨みつけ、

そのままロゼリスの頰に“見せつけのキス”を落とした。


「彼女は、俺の婚約者だ。

近いうちに式も挙げる。俺の第二王妃になる。

だから──諦めろ」


声は丁寧なのに、明らかに挑発的。

王子達はぐうの音も出ず、散っていった。


ロゼリスはほっと息をつく。


「アーロン様……ありがとうございます。助かりました……」


その手を離すどころか、アーロンは彼女を引き寄せ、荒々しいキスを落としてきた。


「……っん……! ア、アーロン様……っ……」


角度を変えて何度も、深く、甘く。

舌が絡む音すら月夜に響いた。


「これが“恋人同士”の深いキスだ。覚えろ」


「そ……そんな……知らないですわ……っ」


息が上がり、ロゼリスが胸を押しても、

アーロンはその手を掴んで壁へと固定する。


「なぁ、ロゼリス。

お前が……魅力的すぎるのが悪い」


耳元で囁く声は低く熱い。


「他国の王子に見られて……口説かれて……俺は正気じゃいられん。閉じ込めておきたい。お前は、俺のものだ」


「アーロン……様……っ……ここ……外……!」


「関係ない」


再び深いキス。


満月の下。

花と月の加護を受ける祭典の夜に。


二人は互いの愛を、静かに、そして強く確かめ合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ