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ドレスアップ・ドールズ


 午前8時。食後、レイゼによって連れられたシンシア達は現在王都中心部にある富裕層向けの婦人服店の前に来ていた。この店は本来今日は休養日であるはずであるが、


「……ここのオーナーと話を付けたわ。あなた達のコーデを見てもらえるようになったから、さぁ、入りなさい」

「は、はい!!」

(教会の人間ってこういう美容系の店に入っていいわけ?)

(いや、確か戒律で結構厳しかったはず……?)


 そう言いつつも4人が店に入るとそこにはブラウスにタイトスカートの制服を着た長い茶髪の女性が立っており深々とお辞儀をする。


「これはこれはテルノーグ侯爵令嬢。よく来てくださいました。此度は当店で何を見繕いましょうか?」

「そう言うおべっかはいらないわ、サラ。彼女達のドレスを選んで頂戴。請求は統一軍がするから予算に条件は無しで」

「………了解です。それではお嬢様方。採寸をしますね!」


 店長サラが指を鳴らす遠くからどこからか女性の店員たちが現れ、ミスト達の両脇をそれぞれ掴むと、あっという間に持ち上げ奥の試着室へと連れて行ってしまう。試着室からは「キャァァァ?!」「ちょなになになにぃ?!!」「わ、わかりました!脱ぎます自分で脱ぎますから!!下着に触らないでぇ!!」という悲鳴と試着室前にいつの間にか置かれた籠へとカーテンの隙間から下着が投げ入れられていく。

 その光景にレイゼは小さく笑みを作っていた。


「この感じ、懐かしいわね。メーリルを連れてきた日のことを思い出すわね」

「ああ、巫女様ですか。確かに似ていますねあの時に。美人で手足も細いからどんな服でも似合ってましたものねぇ。………やっぱりまだ、立ち直れていないですか?」

「……ええ、休息日もずっと働いていて心に膿を貯め続けているわ。どんな形であれどこかで吐き出さないと、潰れそうで少し心配ね。………彼女に何かあったら聖女様に顔向けができないもの」

「………またお時間があったら連れて来てみてください。巫女様に似合う服、見繕っておきますから」


 サラの言葉にレイゼはええ、と小さくも確かな声量で答えるのであった。

 なおこの間にもシンシア達の涙声交じり羞恥の叫び声がBGMの如く響き続けていたが、約1時間半後、やっと終わったのか店員たちが彼女達を引き連れ戻ってきた。


「テルノーグ侯爵令嬢様!!店長!!お三方のドレスアップが終わりました!!」

「3人とも素晴らしい素材で久しぶりに腕が鳴りました!!」

「化粧やコルセットによる体格矯正は最小限にし、彼女達自身の持ち味を最大限生かしました」

『それではご覧ください!!』


 店員たちが一気に端に寄ると彼女達に隠されていたミスト、シンシア、ルイスの姿が露わになり、その姿にレイゼは感嘆の声を上げサラは小さくも連続で拍手をして、その出来をたたえた。


 まずシンシアは胸元や肩を露出させた赤色にピンクの差し色は入ったかわいらしいミニワンピースタイプのドレスを着ていた。髪型はいつものポニーテールであったがいつの間にかカールが掛かっておりいつもよりも大人な印象を与えていた。

 次にミストは青系統のロングドレスを身に着けていた。一見すると露出は少ないように見えるが胸元や袖部分はレース生地でできており背中はぱっくりと丸見え、スカートにはスリットが入っているなど、実のところかなり扇情的な格好であった。髪はサイドを後ろに流し後頭部下方で小さく結んでいた。

 最後にルイスは花弁のように開いた形状のミニスカートが特徴的な黄色いドレスを着ていた。袖やスカートの裾に紫色のフリルが付けられ他二人と比べるとやや子供っぽい印象を受けるが、背中はそれなりに開き生足が覗くスカートも、彼女の背丈も相まって背徳感を演出していた。髪はいつもよりも軽く外側に跳ねるようにセットしていた

 ただ3人ともかなり露出はあったものの非常に似合ったドレスを着ており、店員たちもみな満足そうにうなずいていた。


「3人とも、よく似合っているわ。立派なレディね」

「だ、大丈夫?ミストちゃん?アタシその、う、う、浮いてないよね?」

「………大丈夫だ、浮いてない。私も見えてないよね……?」

「うぅ、いろんなところがスースーする……!!」


 レイゼが笑みを浮かべながら彼女達の格好を褒めるものの、3人は顔を赤くし体を屈ませ、まるで裸の体を隠すように胸部と股間部に手を当てていた。実はいま彼女達が身に着けている下着であるが薄手のドレスを着てもラインが出ないようにほとんど紐のようなデザインの下着だったり、秘所に前張りのみで浮き出ないようにしているのである。

 ミニスカートを履いてはいるが以外とカチッとした服を着ているシンシア、ルイスはもちろん、幼少期以降ロクにスカートなどはいたことがないミストにとってある意味今の格好は裸レベルで恥ずかしいものである。


(正直、シンシアとルイスは普段からあのミニスカで飛んだり跳ねたりしてるからパンツなんて丸見えなんだし、ミストにいたってはあの体のラインでまくりのズボン来てるから、今更この程度で恥ずかしがっる必要なんてない………と言おうかと思ったけど、別にいいわね。見てて面白いし)

「サラ。プリセット5をお願い」

「了解しましたッッ!!リプロダクション・クローズ!!」


 サラが詠唱と共に手を前に出すと、レイゼの足元に魔方陣が出現し、そのまま一気に上まで登ってレイゼの体を包むと彼女の服装や髪型を変化させる。

 改造シスター服は白い薄手のコートを羽織った白いVネックの露出が多いロングドレスへと変わり、彼女の完璧なプロポーションを惜しげもなく披露し、髪は一本の三つ編み状に纏められ清楚さも表していた。


「再現魔法による、早着替えか………」

「さぁ、三人とも行くわよ」

「行くって、どこに………?!」

「パーティは夕方からでは………?」

「決まってるでしょ?

 お披露目会よ。アクセサリー購入とショッピングがてらに、ね」


 あなた達お願いね。と軽く呟くとレイゼとサラが店から出て行くと、いつの間にか店員たちが彼女達の両脇に立ち、彼女達の腕を掴んで持ち上げて、彼女達の後を追う。それによってようやく思考停止していたミスト達の思考も元に戻り、思わず叫んだ。


「「「はっ…………はぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!」」」


 

 



 


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