最終話 血統、強健な病弱!
お屋敷に戻ったら、早速、お父様が私に衝撃の事実を教えてくれたわ。
「え、お父様、共同事業中止?」
「そうだ。貧民街の再開発だ。侯爵家が用地を買収するはずだったが、かなり強引な手口だったらしい。貧民街で抵抗がおき失敗した。何でも目付の良い凶悪なシスターが貧民街で指揮を執ったらしい。王家でも問題になっている」
あら、私の他に軍師がいたのね。
「じゃあ、ダミアン様とは・・・」
「ああ、好きにするが良い。政略で結婚と言う事は利がなければ婚約を解消しても良いと言うことだ。侯爵家は破産間近だ。もし、ダミアン君と結婚をするのなら、少し財産を分ける。しかし、生活は上等な平民になるな」
その時、お母様が慌てて飛び込んで来たわ。
「フリード公爵家が、共同事業の打ち合わせと、アリシアとの婚約の申し出ですわ!それも王家が直々に仲介すると言っておりますわ!・・・」
「まあ、エリザベス様と本当の姉妹になれるのね。いや、姉弟子だから、どうなるのだろう・・」
「とにかく、一度、顔合わせをしなさい!それから決めればいい」
・・・・・・・
すぐに公爵家でお茶会になった。ジョージア様と言う私よりも年下の殿方だわ。
「ゴホ、君がアリシア様だね。私は貴族学園二年だから、年下だけど・・・どうでしょうか?」
「はい、ジョージア様・・・」
これは、また、ダミアン様とは違った感じのイケメンだわ。お顔は負けるけど、内面の誠実さが顔に出ているわ。これも観察眼を磨いたおかげかしら。
茶髪で黄金の瞳、メガネを掛けて、学究肌かしら。成績も良いらしい。
しかし。
「ゴホ!ゴホ!病弱でしてこの歳まで婚約者がいませんでした。それで宜しければ是非、婚約を前提としたお茶会を・・」
「はい・・よろしくお願いしますわ」
お父様は共同事業のためにかなりの資材を買い込んでいたらしい。
ここで頓挫したら、かなりの打撃を受けるわ。
私は貴族の娘、政略には粛々と従うだけですわ。
仕方ないことですのよ。
それに分かった事があるわ。
実は、トキア様は、王太子殿下の妹君だった。
エリザベス様はジョージア様の妹君で、お兄様の病弱を婚約者が馬鹿にしたから半ぬっ殺しにしたと聞いたわ。
ダミアン様からは、お茶会の誘いがあったけど、断りましたの。
だって、病弱なジョージア様の方が心配ですの。
でも、無理矢理会いに来ましたわ。
「悪かった。やり直そう。ミミアンとは縁を切った。金持ちと結婚するとか・・」
「まあ、ジョージア様は病弱ですわ。私がついていないと・・・ダメですのよ!」
「はあ?つべこべ言わずに従え!」
「ドロップハンカチーフ!」
「おい、アリシア、ハンカチを落としたぞ?」
「令嬢の輪舞ですわ!」
「ギャアアアーーー!」
ダミアン様を蹴って、婚約を解消にしてもらったわ。
今は、貧民街に行き。
病弱な殿方の介護の仕方をトキア様から習いながら、貧民街とのボスとの話し合いをする毎日だわ。
だけど、病弱になれなかったわ。挫折したけど、新たな道が見つかりましたわ。
「トキア様、申し訳ございません・・・私、病弱ではなく介護をする道に進みますわ。ジョージア様とともに人生を歩みます」
「ゴホ!ゴホ!大丈夫ですわ。王家、その親戚の公爵家は病弱だけど長生きする者がたまに生まれますのよ」
え、そうなの?
何だか分からないが、今は幸せだ。
だって、ジョージア様とはお婆ちゃんになるまで添い遂げる事が出来るからだ。
キャ!
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