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Berlin nacht 3

「殺してくれよレイク」


ライブの打ち上げが終わってホテルの部屋にひきあげたレイクに酔ったジョーイが絡んだ。


「別れるくらいならキミに殺されたほうがマシだよレイク」


ジョーイは泣きながらレイクにすがってきた。


「もう決まったことなんだ」


絞り出すように言うレイク。


「嫌だ、殺してくれ、今すぐ殺して……」


その続きを唇でふさいでレイクはジョーイをベッドに押し倒した。運命に逆らえない自分の弱さを怒りに変えてレイクはジョーイを貫いた。そしてふたりは涙の中で果てた。


「このまま死にたい……」


ジョーイの声がかすかに聞こえた。


頬に感じる冷たい風で目覚めたレイクは腕の中にジョーイがいないことに気づいた。

窓が開いていた。人々の大声が聞こえる。救急車のサイレンが近づいてきた。

思わず開いていた窓から下を見たら、植え込みの中に恋人がうつぶせに倒れていた。

足がガクガク震えて立っていられなくなった。腰がくだけた。


病院へ駆けつけようとしたらクリスに止められた。


「スキャンダルは困る。ジョーイは酔って転落したんだ、そうだよな」


リーダーとしては当然のことばだった。


「植え込みがクッションになって幸い命に別状はないらしい。彼のためにも会わないで帰国してくれ、頼む」


それがレイクがロートレックのサポートメンバーとしての最後の1日となった。

ジョーイと会ったのもその日が最後になった。



「キミはどう思う?シンディ」


明かりを落としたベッドの中でイーサンは妻と自分に問いかけた。


「記事の信憑性は0ではないと思うの、ごめんなさい」


「やっぱりな……僕も同じだ。エヴァンがカミングアウトした時の父さんの態度がずっと気になってたんだよ。僕みたいに取り乱しもしなかったし激しく動揺してるふうにも見えなかった」


「そうよね」


「なんていうか、空っぽな感じがしたんだ、うまく言えないけど。もともとクールなタイプではあるんだけど、それとも違う。そこにいるのにいない感じだった」


「でも意外だわ、あなたが」


「なにが?」


「エヴァンの時と全然違うもの。あの時は激昂したじゃない」


「こんなことに慣れたくはないけど。ちょっと免疫ができたのかもしれない。それにエヴァンたちのことは現在進行形で父さんの疑惑は過去のことだし」


「私ったらひどいことしてたのね。レイクが嫌がるのにロートレックのCDをガンガンかけてた」


「キミはそれでいいんだよ、そのままでいて欲しい」


イーサンは妻にキスして言った。


「明日、キーパーソンに会ってくるよ」


「スーザンね」


「もしかしたら僕は抜け殻みたいになって帰ってくるかも。その時はケアをよろしく」


「オーケー任せて。愛してるわ、イーサン」


「僕も愛してる」


目を閉じても、ステージで長髪を振り乱してギターを弾くロックスターの姿が残像のように消えなかった。

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