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【完結:修正予定】緋色のグロニクル  作者: カジー・K
グロニクルのうらばなし・おまけ
259/264

あとがき1


 第一部「緋色のグロニクル」が完結だー! ウワーイ!!


 ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました!


 それで全体を通してのあとがきなんですけど、まず何より言いたいのが、()()について。



(TOPにあるあらすじ)


「◆第一部(緋色のグロニクル)◆


人間にエルフ、ドワーフに吸血鬼、果ては悪魔やドラゴンまで。様々な種族が生きる混沌としたこの世界。竜の時代ドラグエイジ980年、圧倒的な軍事力を保有する人間至上主義の国、サンスタード帝国は魔人達を押し退け、世界を掌握しつつあった。それを重く見た魔物の王は、人間が治める大陸に程近い島まで侵攻し、そこを前線基地として人間界への侵略を目論んでいる。……そういうことになっている。


そんな中、辺境の小国アラロマフ・ドールにて。とある吸血鬼の少年レンドウは、人間に捕らわれてしまった幼馴染を助けるため、身代わりとして人間界で生活することになるのだった……。」



 ――とあるんですけど、


「……エルフ(本物)もドワーフも悪魔も出てきてなくね?」と。


 そう、まず自分に言いたいです。


 一応どの種族がどこの国に住んでいるとか、どの地域に住んでいるとかは大雑把には決めてあるんですけど、そもそもその場所が登場しませんでしたね。


 基本的に主人公(または特定のキャラ)の一人称視点で物語が進む方式を取っていたため、全然関係ない地域の物語を神様視点でお送りすることができませんでした。


 無理やりやろうと思えばできたんでしょうけど、ただでさえ登場キャラが多く、中盤からはレンドウ以外が視点主になる回が増えたことで読者さん側の混乱が予想されたため、いきなり他の国の新キャラ視点の回は危険すぎると判断したんですよ~(とか言っておけばそれっぽいだろ)。



■基本的に一人称視点を採用したことについて。


 プロローグとエピローグを覗いて、三人称視点(天の声視点、神さま視点)を利用したことは殆どなかったと思います。


 一人称視点(特定のキャラから見た世界)のメリットとしては、現在視点主となっているキャラが見えているもの、気にしているものしか描写する必要が無いことが挙げられます。


 そのため、毎日通っている場所や毎日顔を合わせている知人の外見などについてをいちいち描写する必要がなくなり、文章を書くのが非常に楽になります(私の場合はそうでした)。


 まぁ、言い方としては悪くなりますが、私はあまり頭が良くないので、「バカでも書けそうな形態を取ろう」と思ってこっちで始めました。


 一人称視点には他にも、


1.視点主の思考そのものが地の文となるため、視点主が何か大きな勘違いをしている場合、読者もそれに引っ張られることになる


2.濃い、畳み掛けるような感情表現がしやすい


 などの特徴があると思います。


 1により、読者をミスリードしたい場合が多い、ミステリー系の作品なんかは作り易くなりそうですよね。


 バトルものである本作品なら、オリジナル性の高い魔法を敵が扱ってくる場合が多いので、主人公は最初に「この敵の攻略法はこうに違いない!」とあたりをつけますが、大苦戦します。


 それで後から本当の攻略法を見つけ出して倒す、と言う流れは安定ですよね。


 2は、わざわざ()などを用いて心情表現をせずとも、状況説明の文章から流れるように視点主の感情に繋げられる、ということです。例えば、


―――――――――例文―――――――――

 肉食獣を思わせるような唸り声を上げて、上空よりニルドリルへ襲い掛かった影。灰色のゆったりとした衣服の上に襤褸切れのように引き裂かれてしまった黒い上着を羽織っている人物は……クラウディオだ。

 既に一度戦いから退いた形跡は、着衣以外にもあった。後ろに流していた前髪は乱れ、左腕と額からは血が流れている。

 それでも、ニルドリルを蹴って体勢を崩させた後に右腕一本で振るわれた巨大な武器は、とても片腕とは思えない勢いだった。

 あれがクラウディオの本気の得物か。

 偃月刀……だったか。俺の身の丈すら超えるだろう長物の先端には、刃を削って作られた“返し”がある。

 振り返りながら振るわれた妃逆離……それを叩き潰すように“返し”の部分を重ねると、クラウディオは柄を一瞬離し、より前の部分を掴むと力強く引き戻した。

 それにより、ニルドリルはつんのめるように前へと誘いだされる。

 決まる。今ならなんでも当てられそうだ。

 だが、クラウディオには空いている手が無い。いつまで座っているつもりだ俺。立ち上がれ。

――――――――――――――――――――


 ↑の文章中の「あれがクラウディオの本気の得物か」「決まる。今ならなんでも当てられそうだ」「いつまで座っているつもりだ俺。立ち上がれ」なんかは、そのまま主人公が口に出しても違和感のない口語ですよね。


 三人称視点の文章よりも文に温かみや、そのキャラ特有の物の見方を取り入れられるので、書いている方としても楽しかったです。


 もっとも、「レンドウ視点だからここは俺、ここはお前」「ここはナージア視点だから文章中の一人称は“おれ”で統一しないと……」など、自分で一度決めた縛りに苦しめられる面もありました。


 どのキャラが「このキャラに対しては脳内ではタメ口だ」等を、以前に書いた文章を読み直して思い出す必要があったりして、そこは大きく体力を消耗する部分でした。


 また、今作の主人公のレンドウに“あまり精神面が強くない”という設定があったこともあり、怒り狂っていたり、洗脳状態にある場合の表現として、地の文をわざと変に崩すこともありました。


 例えば、


―――――――――例文―――――――――

 亜亜、何とか間に合った。間に合わせタ。

 ――最初から、こうすりゃあヨカッタンダ。

 周囲に倒れ伏している人間。その数、30は下らナイ。全員、生きているはズダッタ。

 ……全員もろに緋翼の嵐を受けて、ともすれば視力に影響が出ているかもしれない。顔面にそれを喰らいすぎたアドラスのように。

 もしくは、横っ腹とはいえ剣で打たれたことにより、骨折しているか。

 血を吸ったことで、俺の中にいる魔物と意識が同化したような感覚がある。それは数分もすると落ち着き、それが逆に不気味だった。

 ……今の俺は、正常か?

 見知らぬ人間を襲い、その血を啜った俺は。

――――――――――――――――――――


 ↑こういう風に遊べるのは一人称視点の面白さですね。


 三人称視点でも、()の中の心情描写を崩せば、似たようにキャラがおかしくなっている表現はできるとも思いますが、やはりこういう点に関しては圧倒的に一人称視点で書いていた方がやりやすいと思います。


 今のところ、続編となる次回作では三人称視点メインに挑戦してみたいと考えているのですが……果たして上手くできるかな~。


 三人称視点の方がスポットが当たっているキャラの知覚していない部分……街の描写や、会話している相手の描写などがしやすくなるので、色んな国を巡る物語にするならそっちが出来た方がいいんだろうなぁ、と。


 まぁ、先ほども述べた通り、私の実力でそれぞれの国の特徴や、キャラの服装の描写を事細かにできるのかには疑問が残りますけどね……。いや疑問しかないわ。



■主人公がよく負けるお話にしたことについて。


 これは、作者が「ボロボロになっても立ち上がる主人公が好き」という理由が全てです。基本的に自分で楽しむために書いているので。


 新しい敵が出てくる度にボコボコにされ、たまには善戦し、それでも地に伏してしまう主人公。


 そこに助けに現れた仲間と協力し、なんとかギリギリの勝利を手にする……というのが黄金パターンですね。


 そのためには敵を強力に設定する必要があるので、そういう意味では敵に魅力が出やすい、いい話の造り方なんじゃないかなぁと。魔王編大ボスのニルドリル戦が特にお気に入り。


 ……次回作でもガンガン主人公をいじめていきたいですね!


 しかし、レンドウ君は生まれも複雑で、幼馴染を守るために嫌々人間界で過ごすことになり。


 それでようやく人間と仲良くなれたと思ったところに魔王軍からの襲撃があり、人殺しを経験してしまい。


 以降ずっとその傷を抱えながら戦い続け、最終的には自分の同胞たちと戦う運命を背負うという、今考えても中々に容赦ない人生を送らされていますね。


 ……やっぱ次回作の主人公には、ここまでの試練は与えないかもしれないな……ってぐらい酷い。


 終盤のレンドウは吹っ切れており、あまり心にダメージを負うことなく同族殺しが出来るようにまでなっていますが、(現代日本の価値観で考えるなら)それが良いことだとも思えませんし。


 麻痺しているだけというか。まぁ、戦場に立つ者の覚悟としてはこれでいいというか、仕方ないんでしょうけど。


 やられる前にやらなければ、自分も仲間も死んでしまいますからね。



■レンドウはぶっちゃけ強いのか、弱いのか?


 ――文句なしに強いです。


 最終編では龍に成ったため、世界全体で見ても上位の強さですが、それ以前の状態でも普通に強いです。


 ただ、先述の「主人公がよく負けるお話にしたい」という作者のエゴにより、強すぎる敵と戦うシーンばかりが物語として描かれているだけで。


 ラ・アニマの炎竜の門で膨大な力を手に入れて以降のレンドウなら、一人でも魔王編の大ボスであるニルドリルにも勝てるでしょう。


 最終編の仲間内だと、戦闘センスではダクト、守、クラウディオ、サイバ、レイネに劣りますが、優れた筋力と“創造する力”によって勝つ可能性が高いです。


 もしナージアと戦った場合は、“創造する力”を正面からぶつけ合うと押し負けてしまうため、炎竜ルノードと氷竜アイルバトスの戦いと同じく、搦め手を取る必要があるでしょう。


 戦闘センスがレンドウより上のキャラがいるからこそ、レンドウが力を通した魔法剣をダクトと守に貸す、という展開にできたため、かなり上手くいったと思っています。



■強すぎるキャラには制限を掛けたり、退場してもらう方針だった話。


 例えば、何と言っても本代ダクトとヴァレンティーナ(ヒガサ)については外せないでしょう。


 ダクトはプロローグでは少し叙述トリックを含んだキャラとして扱われており、本人は本家から追放されたという劣等感を抱えているため、「自分は弱い」と思いながら生きています。


 それが、他のキャラ(例えばレイス)から見れば普通以上に強かった、という。


 しかも作中では割と早いタイミング(魔王編で本代家と関わった際)に精神的な問題が解決しているため、それ以降は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 これはいかんと思ったため、容赦なく大怪我させたり、レンドウとは別行動を取ることになったりしました。


 最終編では戦う相手がそもそも超凶悪になってきているので、(例:アニマのエリート集団、黒騎士)気兼ねなく全力のダクトを投入することが出来るようになりましたが。


 ……そうなってくると、今度は逆にカーリーやアシュリー、大生あたりの「普通組」が戦力的に心もとなく、大々的な戦闘シーンを与えられなくなるという悩みも出てきました。中々難しいですね、物語を考えるのって!



 ダクトに関しては強さに制限を掛けることで対応しましたが、ヴァレンティーナに関してはもっと強引でしたね。


 まさかの、()()()()()()()()()()()というね。でも命までは奪われなかっただけ感謝してくれたまえ(作者目線)。


 美人で気立ても良く、主人公の初恋相手で、戦闘能力も高いミステリアス系お姉さん……と、書いてる側としても「こいつちょっと手が付けられないな」「俺TUEEE系作品のキャラかこれ?」と思うことがありました。


 なので、(比較的)平和に退場してもらうことに決めました。「序盤で退場して、次回作で敵として出てきた方が面白いんじゃね?」と。


 今でもそれは悪くない選択だったと思っていますが、グロニクルの完結までにとんでもない時間が掛かったことだけが誤算でした。


 こんなんじゃせっかく次回作で再登場しても、殆どの読者から忘れ去られてそう。


 一応、最後の抵抗としてちょくちょくレンドウの心情内に登場させていました。


 あと、最初にレンドウと約束を結んだキャラでもありますね。



■元々次回作へ繋げることを考えていた件。そして実はレンドウは……。


 ヴァレンティーナ、アンナ、ジェット、クラウディオなどと、レンドウは将来について約束を重ねていきます。


 アンナでは「赤の約束」、ジェットでは「緑の約束」等、専用のタイトルまで用意してましたね。


 クラウディオでは「黒の約束」というタイトルを使おうかとも悩みましたが、熟考ののち、「なんかくどいな」と思ったのでやめました。


 ことあるごとに約束を交わすレンドウですが、これは実をいうと“死亡フラグ”として書いていたんですよね。


 初期案では、最終局面でレンドウは死ぬ予定でした。


 それで、その遺志と約束を継ぐキャラ達が、次回作でどう動くのか――みたいな。


 最終編を書き始めてすぐの頃くらいに、やっぱり主人公が死ぬのやーめた! と思い直しました。


 読者の皆さん的にはどっちの方が面白く感じたかは分かりませんが、作者としては次回作にもレンドウを出せるというだけで、今はモチベーションが湧いて来ています。


 というか、初期案では作中でレンドウに恋人を用意するつもりがなかったんですよね。


 それもあって、「いや、ここで恋人を残して逝くのはキツくね……?」「かといって恋人もろとも死ぬのもキツくね……?」などと考えに考えた結果、最終編ではまさかのメインキャラに死者数ゼロ! という結果に。ぽっと出と言ってもいい氷竜の戦士隊と、敵方のアニマはバンバン死んでいますが……。僅かながら生き残った氷竜たちには、再登場時にはしっかりと台詞を与えたいと思っています。


 ヌルいと感じられるかもしれませんが、私がこれで満足しているからいいのです。


 実はどの味方キャラも一度は死なせるかどうか考えられていた時期があるというのが、闇を感じさせますね。


 ……いや、中学生の頃から愛読していたライトノベルが、主要キャラも死ぬ系ばっかりだったんですよ。


 ――安井健太郎先生の「ラグナロク」とか、十文字青先生の「薔薇のマリア」を中学二年生頃に読んでいたとすれば、あなたも多分こうなっていたはず!!!!!



■カーリーは特にメインヒロインになる予定は無かった件。また、ヒロインたちについて。


 当初の予定では、レンドウとフェリス・マリアンネをカップリングするつもりでした。


 が、そもそもメインヒロインにするにしてはマリアンネが登場するのが遅い上、レンドウには記憶喪失という設定もありました。


 それで書き進めているうちに「記憶喪失のレンドウに、記憶を無くす前のレンドウとしての振る舞いを要求して、ブチ切れられる女性キャラが欲しいなぁ」と思ってしまい……。


 ――ええ、思ってしまったんです。


 その結果、メインヒロイン予定だったキャラから一転、レンドウとガチめの険悪ムードを繰り広げるキャラに変貌してしまいました。


 でも最終編ではレンドウもついに全ての記憶を取り戻した訳だし、これからはきっと仲良くやっていけるんじゃないかな。


 失恋してしまっていることに関してはもうリカバリのしようがありませんが……。


 なんというか、全ては作者が邪悪すぎるのが悪い。すーぐ思い付きでキャラを苦しめる。


 マリアンネは、なんとしても次回作では幸せにしてあげないとな~と思っています。


 逆にカーリーというキャラは、初期案ではそもそも存在すらしていませんでした。


 元々高校生の頃からグロニクルを書き溜めていた際、ある程度書いては納得が行かなくなり、初めから書き直す、ということが2回ほどありました。


 今回なんとか完結までこぎつけたのが3回目のグロニクルなのですが、カーリーはその際に追加された新キャラです。


 戦闘能力は高すぎず低すぎずですが、最終的には敵のインフレについていけなくなっていますし、固有の魔法も強いと言えば強いのですが、制限もあるので中盤以降は出番なし。


 レンドウが任務として初めて出会う、エイリアの“潜伏魔人”という位置づけだったのですが、まぁあの助けられ方をしたら惚れるのも仕方ないよね、と流れでメインヒロイン化を決めました。


 読んでいる側としても、第5章でのVS本代のあたりからカーリーのメインヒロイン化が進んでいるのは、かなり分かり易かったのではないでしょうか。


 一応カーリーはレンドウに一目ぼれをした訳ではなく、お互いに魔人であり、人間界で肩身が狭い思いをしているという、シンパシーを感じやすい相手であったことが大きいです。


 終盤ではレンドウの幼馴染であるクレアより「それは共依存ではないの?」と言及されていますが、ぶっちゃけ初めはそういう側面があったことは否定できません。


 でも、最終的には良い感じに落ち着いてるからいいんじゃないかな。


 キャラが勝手に動き出すってこういうことかぁ、と書きながら思えたので、作者的にはとてもお気に入りのキャラになりました。考えてよかった、カーリー。


 ちなみに、レンドウがハーレムを形成する感じのストーリーにしようと考えたことはありません。


 元々レンドウに美形設定を与えず、更にはあまり人好きのする笑顔を得意としなかったこともあり、モテるキャラにするつもりがそもそも無かったんです。


 それなのにカーリー、マリアンネ(昔のレンドウが好き)、クレアの3人から明確に好意を抱かれていたり、ビルギッタからはほぼ初対面で好意を持たれています。


 また、ここまで来るとほぼ隠し設定の域ですが、実はリバイア、セリカあたりもレンドウを憎からず思っています。


 一見するとレイス一筋、ラブ一直線に見えるリバイアですが、どっかの章のどっかの話にレンドウラブっぽい表現を入れたような……入れてなかったかな。いや、入れたはず。絶対読者の誰も覚えていないだろうけど。


 セリカに関しては「レンドウは物件的に悪くない。むしろいい。でも、既に相手がいるならいいかな」というレベルです。


 余談ですが、ヴァレンティーナからレンドウへの恋愛感情は一切ありません。


 あぁ無常。



■サンスタード帝国がいつになったら出てくるのか、やきもきさせていたらすみませんでした。


 第一章からず~っと、ことあるごとに色んなキャラの台詞でのみ登場する「帝国」。


 全ての人間の国に対して強く出ることが出来、あらゆる国が何をするにしても無視できない強国。


 直接出てこないのにそこそこの存在感があるワード、という立ち位置を目指して執筆していましたが、エピローグでようやく直接描かれました。情景描写はほぼありませんでしたが。


 まぁ、物語における帝国というワード、強国の定めというか、どちらかと言えば悪役……主人公サイドとはいつか敵対するであろう相手として書いていました。


 敵国の主要人物に、主人公一行の関係者がボロボロいるの、いいですよね。


 古き良きロールプレイングゲームって感じ。


 次回作では中盤あたりから帝国を舞台にしたいです!!



■まだ行ってない国多すぎ問題。


 そもそもベルナティエル魔国連合(魔国領)に関しても、まだルナ・グラシリウス城(魔王城。魔国領の王都から、王城とその周囲の貴族街だけを浮かべて運んできたもの)しか足を踏み入れていませんからね。


 魔国領の本土たる暗黒大陸には、魔王ルヴェリスの代では大人しくしていたが、魔王ナインテイルの代では一枚岩になり切れていない、力を持った魔貴族たちが大勢います。


 人間至上主義のサンスタード帝国と魔国連邦のゴタゴタがある限り、もう無限にお話を作っていけそうな気すらしますね……。


 暗黒大陸の大森林には木竜ストラウスと、彼女が統治する街の魔人たちもいますし。


 あと、本作を自分で読み返していて気づいたのですが、大森林には集蟻(タカリアリ)っていうモンスターが生息しているらしいですよ。


 アザゼル・インザース視点の心情描写にありました。


 いや、完全に忘れてたね!


 ……次回作の前に、ちゃんとオリジナルモンスターの一覧を作っておかないと……。



■モンスターの種類少なくね?


 これに関しては作中で説明する機会が無かったのですが、今の時代、人間界の街道にモンスターは殆ど出てきません。


 別に一定周期でモンスターが自然にポップするゲーム世界という訳でもないので、大昔から長い時間を掛けて討伐され尽くし、冒険者ギルドの人間が挑む、いわゆる“ダンジョン”と呼ばれるようなスポットに、局地的に生息しているのみとなります。


 一方、暗黒大陸には弱いモンスターから強いモンスターまでが溢れており、ニルドリルのような召喚術の使い手は、そっちで使役するモンスターを見繕っていたという設定です。


 異界から召喚され、召喚主の命令には従うことなく暴れるだけ……と説明されたグローツラングですが、それがいる異界にこそ、“悪魔”という種族がいる設定でもあります。一切出てきませんでしたが!


 そもそもどうしてモンスターと呼ばれるような凶暴な種族がこの世界に生まれたのか等は既に設定があり、次回作の割と序盤の方で解説するつもりでいます。


 ファンタジー系の物語によく登場する種族も、私が考えたオリジナルのモンスターも沢山登場させたいですね。


 ……レンドウが冒険者ギルドと協力して、ダンジョン攻略に挑む番外編とかを作っておけばよかったかなぁ、と今になって思います。


 本編を最短ルートで完結させるだけでこれだけ時間が掛かったので、現実的に考えて無理でしたけど。


 だって、魔王編から斜陽編の間に半年すっ飛ばしてますからね。秋の「あ」の字も無いですから、グロニクル。



■レンドウについての補足など。


 いきなり強すぎるキャラになって欲しくなかったので、少しずつ力をアンロックしていく展開が多い。


 戦いの中で新技を考えたり(“無慈悲なる(マーシリス・)熊の爪(ベアクロウ)”、“染色する弾丸(カラーバレット)”、空中に緋翼を固定させる等)、マリアンネから効率的な治癒方法を教わったり、敵対するアニマの緋翼の使い方を目で盗んだり。


 フーゴなんかは、もろに緋翼で剣を浮かべて戦う方法をレクチャーされながらの戦闘だったり。


 また、借り物の力で一時的に強化されて戦うこともありました。


 他の“創造する力”を持つ相手から力を奪ったり、譲り受けたり。作者的には、ニルドリルとマジムによって殺されてしまった吸血鬼の遺体から、“創造する力”を徴収するシーンが印象深いです。


 借り物の力と言えば、サキュバスであるベニーとの契約で肉体の治癒力を異常に引き上げたりとか。


 ナージアの氷翼を纏わせることで、ただの剣を魔法剣のようにして戦ったりだとか。


 ちなみにこれはレイスも同じなのですが、ヴァリアーには「魔人に戦闘訓練を施してはならない」という決まりがあるため、レンドウは自分の判断で、色んな武器に手を出していました。


 よく武器を無くすタイプのキャラでもあるので、落ちていたサーベルだったり、ロングソードだったり。


 ヴァレンティーナとの別れを引きずっていたことから、一時期は“隠れ潜み穿つもの(ハーミルピアス)”という刺剣を愛用していましたが、エスビィポートのトロールとの戦いで傘部分が破れ、吸血鬼の里におけるニルドリル&マジムとの戦いの最中に、完全に紛失しています。


 倒壊した建物の中にでも眠っているんだと思います、きっと。


 先を急いでいたこともあり、レンドウはそれを取り戻すことに執着しませんでした。


 ゆっくりと時間を掛けて、初恋の相手を忘れていくイメージで書いていました。



■アニマの流派について。


 レンドウがヴァリアー襲撃事件において我を忘れながらジェットと戦う際など、本能をむき出しにすると戦闘スタイルが双剣使いに寄ります。


 これは、レンドウが密かに憧れている兄貴分である青年、ゲイルの戦闘スタイルを再現しようとしているためです。


 ラ・アニマ(アニマの里)にはいくつかの流派があります。


1.右手に「肉厚の刃を持つ湾曲した剣」、左手に「ガードを掻い潜る形状の剣」を握る、対人戦闘を想定した双剣術。


 これはレンドウの義父であるカイ、兄貴分であるゲイルをはじめとした多くのアニマが使う戦い方。成人前に戦闘訓練を受ける際、全員が履修します。


 レンドウが人間界で生活することになっていなければ、もうすぐこの双剣術の教育が受けられ、兄貴分の見様見真似でない戦い方を手に入れていたはずです。


 ちなみに、作中ではガード殺しの曲剣を「半月の刃」と表現し続けていましたが、よく考えると「三日月の刃」と表現した方が適切だったと思います。


 本当に円を半分に割っただけの半月の刃だと、刃の部分がギッシリすぎるだろ、と。


 かなり恥ずかしい間違いだと思うのですが、修正箇所があまりにも多いため、このあとがきを書いている時点では、どこも修正されていません。率直に言ってめんどい。


 ……いつか全部直します。


 間違っている文章が読めるのは今だけなので、気になる方は斜陽編を読み返してみてね……!


2.緋翼を流し込んだ鎖を浮かべ、相手を打つ“鎖操術(さそうじゅつ)”。


 ヴァリアー襲撃事件の際にヴェルゼ(ジェノ)が、斜陽編ではレンドウの義姉であるロウラが使用します。


 師匠から受け継いだそれを、己の緋翼と共にロウバーネ・サオトメ・ヘイスティングズに盗まれたことが、ロウラの人生における最大の屈辱・後悔であり、彼女がロウバーネを殺害することを己の使命としている理由。


3.緋翼を通した槍を浮かべる技術。また、純粋な槍術。


 炎竜ルノードが槍を愛用していることから、その圧倒的な力に憧れて槍の技術を鍛える者は一定数います。


 アミカゼもその一人で、最大で百本もの槍を浮かべることが可能。


 が、それはレンドウの血を手に入れてからのアミカゼが規格外なだけであって、通常のアニマであれば2本程度で限界。


 また、アミカゼも大量の槍を浮かべる際は、その全てに違う動きをさせることは難しいため、視覚的インパクトで相手を怯ませる以外には効果が薄かったりすることも。


 現にダクトには対応されてしまった訳で、それなら本数を5本程度に絞り、それぞれを違う方向から飛ばした方が強かったはず。


 ルノードが槍を愛用しているのは、人間だった頃の苗字が「一本槍」だったため……と、作者的には言葉遊びをしている側面が強いです。


 が、実際のところ現実世界でも合戦(かっせん)時代に最強の近接武器は槍だったという説も根強いため、最強の龍が扱う武器種としては相応しいのではないかと。


4.あとは個人個人で極めた技術。


 身体中に仕込んであるダガーを双剣のように使うサイバ。暗殺者のイメージ。


 殴る蹴る、全身に緋翼を纏って立方体を形作りながらの体当たりなど、肉体を武器にするゲンジ、など。



■アニマというオリジナル種族について。


 めちゃくちゃ自信作の創作種族です。


 高校生の時点でここまでのオリジナル種族を作り込めたのは中々だろうという自負があります。


 勿論、アニマの里にある武術の流派など、事細かな設定は後付けですけどね。


 他人に紹介する時には「吸血鬼モノだよ」と言いたかったこともあり、初期では吸血鬼として扱われており、徐々に「吸血鬼とは明確に異なる種族」であることが明かされていく展開となりました。


 一人称視点の文章であるため、マリアンネから真実を聞かされた後も、すぐにそれを心から信じて意識を切り替えることがレンドウにはできず、「吸血鬼……じゃない、アニマ……だったっけか」みたいな地の文が目立っていたと思います。


 中々自分の本当の種族名に慣れないレンドウ。でも半年の時間が経っている斜陽編では、すんなりと自分のことをアニマだと考えているレンドウ。


 そこら辺がこだわりでした。


 そういう意味では、一気に半年の時間を飛ばしたおかげで書きやすい部分があってよかったなぁ。



 炎竜ルノードが吸血鬼の生体情報をコピーし、それに改良を施しながら創出した種族という設定なため、吸血鬼の特徴も多く備えています。


 そうなると、アニマより以前から存在した吸血鬼の方は、どうやってこの世界に生まれたんだよ? という謎が浮かんでくるのも個人的に好きなポイント。


 吸血による血液の入れ替えに、黒い“創造する力”、そして何より吸血鬼にはある「太陽」や「流水の上を渡る」などといった弱点が存在しないことが、アニマの強みです。


 もっとも、里のアニマたちは「自分たちを伝承の存在である吸血鬼」だと外部に思わせることで自分たちを守っていたため、自分のことを吸血鬼だと思い込んでいる子供たちは、本気で太陽を恐れていました。


 初期のレンドウなんかは、太陽に当たっていると憂鬱になり、結果具合が悪くなっていました。


 プラシーボ効果、ノーシーボ効果というと分かりやすいでしょうか。


 実際にはそれらの弱点は存在せず、ルノードに封印されているとはいえ、緋翼の中に眠る真の力として赤い炎の“創造する力”も利用できるため、全体的に見て「吸血鬼よりも格上」の種族です。


 ちょっとズルい感はありますね。吸血鬼側がアニマ側を恨みやすい理由付けにもなっています。


 吸血鬼の黒翼に酷似した黒い“創造する力”として振るうことで、相手の攻撃を和らげたり、落下時の衝撃を殺すことにも秀でています。逆に、考え無しに武器に纏わせるだけでは、むしろ切断力を失う結果に終わることも。


 薄く硬い刃として振るうには、かなりの修練が必要です。


 アニマ特有の赤い炎として振るうことで、物質を焼き尽くしたり、相手のガードをすり抜けて攻撃しやすくなります。


 超戦闘特化すぎるだろ、この種族。


 この種族に生まれたのにも関わらず、俺TUEEEさせてもらえなかった主人公がいるってマジ……?



 余談ですが、里の名前であるラ・アニマは、吸血鬼伝説が残るルーマニアのもじりです。


 アニマのメインキャラは違いますが、モブキャラの多くはルーマニアにある州や市の名前からもらっていた気がします、確か……(ちゃんと覚えとけ)。


 これに気付けていた人は存在するんでしょうか?


 また、アニマはラテン語で「精神」や「魂」を意味する言葉でもあります(こっちは割と有名ですよね)ので、なんとなくそのイメージから「ヒーラー適性を持たせたいな」と思っていました。


 俺様系(を演じているだけですが)主人公が、自分で戦うよりも仲間を癒す方が得意って、なんか面白そうだな~と。


 そのせいで最終決戦ではレンドウ自身が武器を振るうシーンが少なく、それが物足りないと感じた方がいらっしゃれば申し訳ない。


 作者的には、圧倒的なヒーラーは敵にとって何よりの脅威になっているつもりなのだ。


 ……まず一番に狙われるやーつ。



■“創造する力”について。


 ……を書こうと思ったのですが、長くなり過ぎたのでこの時点で一度投稿します。


 次回につづく!


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