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恋活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第4章 リリアの里帰り編】

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目指せ、潤い美白のピチピチ聖女でしてよっ!

 

 私たちが拠点のお宿を出発してから、いったいどれくらいの時間が経ちましたでしょうか。


 無論、ひたすらに何時間も歩き続けるとかそういう類いのモノではないのですが、同じ里の中だとは思えないくらいには沢山歩いている気がいたしますの。


 それこそ気分的には一山越える感じですわね。


 神聖都市セイクリットで言うところの、高級住宅街から郊外の先代様の教会までの距離は間違いなく歩いたかと思われます。


 あちらはほとんど平地でしたからよいのですけれども……一方のこちらはほぼ山道が続いている感じなんですもの……!


 地味ぃな登り坂が足の裏に地味ぃなダメージを与えてきているのでございます……!



「ひふぅ……ふぅ……ひふぅむ……」


 息も絶え絶え、足もよろよろ、ですの。

 せっかくお宿で少し休んで万全に戻しましたのにぃ……!


 これでは朝より悪化しているではありませんか。


 ミントさんはちょっと歩いたところに温泉施設があるとおっしゃっていたはずです。


 しかしながら、さすがにコレはちょっと(・・・・)で収まる距離感を超えていると思うのです。夕食のお肉を賭けてもいいくらいですの。


 しかも、当のご本人はふよふよと宙に浮いていらっしゃいますしっ!?


 私、わりとおこ(・・)でしてよっ!

 完全に騙されてしまった気分ですものっ!


 と、キィッと睨み付けてさしあげましたところ。



「ぷっくく、ほらほらどうしたザコ聖女〜。さっきから足が止まってるわよ〜?」


「小賢しいですの憎たらしいですのっ! っていうかまだなんですの!? まだ到着しないんでして!?」


「そう焦んなさいな。ホントにもうすぐよ……とか言ってる間にほら、見えてきたわよ」


「はぇっ!」


 ミントさんが坂の頂上を指差しなさいます。

 よっこらと首を上げて見てみますと……ふぅむ!


 昨今稀に見る石瓦がズラッと並べられた、古風な屋根の建物がドスンと建っているではございませんか。


 サイズ感としてはタリアスター邸よりはいくらか小さいですが、とにかく趣き深く、そして歴史のあるモノだと一目見て分かっちゃえましたの。



「明らかに有名どころって感じがしますの……!」


「知る人ぞ知るトコロを攻めるよりも、手堅くいったほうが観光客っぽいじゃない。ミーハー上等」


「ってことは、名店なんですのっ!?」


「えて。ドワーフの里のガイドブックには必ず載ってるような温泉旅館よ。宿泊者だけじゃなくて、日帰り客も入湯おっけーなトコ。中も相当に広いわ」


「はぇーっ!」


 感動と期待から、足の疲れがビューンと吹っ飛んでいくのが分かりました。


 そうと分かればこれくらいの坂なんてスッタカタッタと登っていけるのでございます!


 ああもう! 今日が〝真夜の日〟であればもっと早く、背中の翼でひとっ飛びできましたのにっ!


 とはいえ人前で堂々と角や翼を晒せるほど、私はまだ人の目を完全に克服できたわけでもありませんしぃ……!


 温泉施設になんて入れるはずもありませんけれどもぉ……!



 とにもかくにも、ヒィヒィ言いながらも温泉施設の目の前にまでやってこれたのでございます。



「ま、年長者としてここはアタシが払っといてあげるわ」


「いぇーい、ゴチになりますの〜っ」


 フッと鼻を鳴らしつつ、ポンと平たい胸を叩いて姐さん感を出しなさるミントさんでございました。


 いやはやさっすがですの。

 気前がいいのはカッコよさの極みですの。


 存分に甘えさせていただきましょうか。

 と、私は思っていたのですけれども。



「……うーん? お酒代に比べるとだいぶ安いんだね。入湯料金って」


「ギクッ」


 壁際には料金表の看板が立っておりました。


 確かにお酒のメニュー表に比べると、一回ポッキリと考えればだいぶお得な金額感のような……?


 昨晩はなんやかんやで割り勘でしたの。

 飲み明かした分、そこそこの額になっております。


 私もいろんな味を楽しめましたし、お酒についての知見も深まりましたし、その辺りについては特に何を言うつもりもありませんけれども。


 軽い疑念の視線を送ってさしあげますと、ぐぬぬ……と独り唸り始めなさいましたの。



「ま、まぁアレよ。酒は誰かが作らないといけないけど、温泉は黙ってても勝手に沸いてくるモノなのよ! 人件費とか材料費とか云々(うんぬん)の違いが金額の違いってヤツ」


「はぇー。……はぇー……?」


 スピカさんの鋭い指摘に眉を(ひそ)めたミントさんでしたが、わざとらしい咳払いと共に受付の方へと歩いていかれました。


 煙に巻かれてしまったような気もいたしますけれども、奢ってくださることに変わりはないのです。


 彼女は受付に立っていらした若い女ドワーフさんと一言二言やりとりをなさった後、3本の赤い紐を持って戻ってこられましたの。



「ほい。コレが入館証だって。日帰り客は常に腕に巻いとくルールだそうよ」


 受け取って見てみるに、水に濡れてもへっちゃらそうな丈夫な麻紐でしたの。


 スパパと手際よく私たちの手首に結んでくださいます。


 でも、お風呂に入るために必要なモノって、これだけなんですの?


 私たちは魔法の収納鞄がありますから大抵のモノは揃っておりますけれども、仕事帰りであれば適当に着のみ着のまま来られる方もいらっしゃるのではありませんでして?



「館内着とかタオルとかは中で借りれるってさ」


「あら、それは便利ですこと」


 であれば本当に手ぶらで来て、手ぶらで帰ることもできる感じのシステムなんですのね。


 今日は時間がたっぷりあることですし、全ての湯船を制覇しちゃう気持ちで臨ませていただきましょうかっ。


 目指せ、潤い美白のピチピチ聖女でしてよっ!



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