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恋活聖女 〜お友達の女勇者さんの傍ら、私はしっぽり未来の伴侶探しの旅に出ますの〜  作者: ちむちー
【第4章 リリアの里帰り編】

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そっ。火山地帯と言ったらアレよ、アレ


 私たちの泊まっているお宿に到着しました。


 鍵を開けて静かにお部屋の中に入ってみます。


 基本は差し足抜き足忍び足、でしてよ。


 もしも寝ていらっしゃった際に、起こしてしまってはお可哀想ですからね。


 ベッドの上には朝と変わらぬ布団の塊がデデンと鎮座しております。


 大して音は聞こえませんからきっとスヤスヤと眠り呆けていらっしゃるのだとは思いますけれども。



「……ミントさーん。お元気でしてー……?」


 一応、あくまで囁き声で呼びかけてさしあげましたの。


 特に反応がなければスピカさんと二人でお出かけして、ご当地名産のお土産を買って帰るつもりなのです。


 あ、お昼ご飯くらいは置いていってさしあげたほうがよろしいかもしれませんわね。


 目覚めたときに何も無いというのも寂しい思いをされてしまうかもしれませんもの。



 と、思っていたのですけれども。



「ふん? あら、早かったじゃないの。お帰り」


「はぇっ? なんで私たちの後ろから」


 何故だかミントさんが共用部側の扉から姿を現したのでございます。


 ぽかんと口を開けてしまっておりますと、その理由にお気付きなさったのか。



「ん? ああ、ちょっとした散歩よ散歩。少し寝たらだいぶ楽になったわ。心配かけて悪かったわね」


 自分から教えてくださいましたの。


 しかも、珍しく軽く頭をお下げなさったのです。


 ただでさえ素直ではないミントさんがここまで素直に感謝の意を述べていらっしゃるのですから、今朝は相当に体調がよろしくなかったんでしょうね……。


 今はもう顔色がだいぶよろしいですし、何よりいつものフフン顔になっていらっしゃいますし。



「大事そうで一安心しましたの。胃薬とかも買ってきたんでしてよっ」


「ああ、今晩のために飲んでおくわ。ありがと」


「はぇぁっ」


 や、やややっぱり、彼女が素直に感謝の言葉をご発言なさるだなんて、コレは世界を揺るがす大事件になるかもしれませんの。


 といいますか、ちょっと待ってくださいまし。


 今、ミントさんが感謝の言葉以外にも、もう一つ聞き捨てならないことをおっしゃられたような。


 間違いなく〝今晩のために〟と言っていたはずですの。



「ミントさん!? アナタまさか、今日もまた沢山飲まれるおつもりなんですのっ!?」


「ばーか当ッたり前じゃないの。昨日はしくじったけど、今日はうまくやるわよ」


 酔って吐いて限界を知ってからが本番とはおっしゃっておりましたけれども、まさか本当のことだったとは……。



「ま、アタシが思うに、一度にいろんなお酒を飲んじゃったのが原因でしょうね。種類さえ一つ二つに絞ればまだまだ序の口よ」


 フフン、と自信ありげに鼻を鳴らしなさいます。


 確かに私たちにオススメしてくださるために、ご自分も毎回同じモノを注文なさっていらっしゃいましたものね。


 まして私は宗教上の理由から飲めないお酒もございましたから、私が寝落ちしてからもずっと多くの量を飲まれていらっしゃるはずですの。



「そういうアンタらだって、一つくらいはお気に入りの酒が見つかったんじゃないの?」


「むっ。それは、そうですけれども……」


「私は付き合うよ? 楽しかったし」


 ふぅむぅ。私もワインならいくらでも飲めそうな気がしております。赤のほうが好きですが、白も美味しかったですの。


 今日はどんなおつまみが合うのか、試してみるのも悪くはありませんわよね……っ。


 ということはアレですの?


 ミントさんも無事に復活なさったのですし、まさか今日はお昼過ぎから始めちゃう感じなんですの!?


 さすがに贅沢がすぎる気がいたしますし、昼から飲み始めて朝まで起きていられる自信はございませんし……。



 と、思っていたのですけれども。



「まぁでも、今朝は迷惑かけちゃったからね。アタシがこの街のもう一つのオススメ、教えてあげようじゃないの」


「ふぅむっ? お酒ではなく?」


「そっ。火山地帯と言ったらアレよ、アレ」


 フフンと口角を上げなさいます。

 アレとは何でございましょう……?

 

 火山地帯ということですけれども、それらから連想できるモノといえば、炎とか熱とかでしょうか……?


 確かにこの一帯は雪の降る真冬であってもポカポカと暖かい感じはありますの。


 んーむ。喉の下辺りまでは言葉が出かかっているんですけれどもねぇ……。


 これぞという結論にまでは至れませんでしたゆえ、素直に首を傾げてさしあげましたところ。



「――ズバリ、温泉(・・)よ」


 聞くや否や、かぽーん、と。

 私の脳内で木桶の心地良い音が鳴り響きました。

 

 そういえば書物で見たことがございます。


 この世界には、人工的にお湯を作り出すお風呂とはちがって、魔法も何も使わずとも、勝手にぼこぼこと沸き出している場所があるのだとか。


 人はそれを温泉と呼んでいたはずですのッ!

 

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