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第三十九話「狂乱の夏休み編1」

 最近暑いですね。

 真昼の体育は死んでしまいそうになります。


 熱中症には気を付けないとね(この前軽い熱中症になりかけたなんて言えない)




「で、何でお前ら俺の部屋に来たんだよ?」


「俺は宿題を教えて貰いにきた!!」


「はっ、やはりお前(がろう)はバカだな。あの程度の宿題が解けんとは」


「ばっ、天才は黙ってろよ!!」


 唾を飛ばしながら論争を繰り広げる呀楼と伸二。

 そしてそれらをアルカイックスマイルで見守る俺。


 仲がよくて何よりです。


 ていうか、いつも通り過ぎてまた暇が首をもたげてきた…。


 どうしよう暇だナ~。


 どっか遊びに行きたいナ~。


 海とか無人島とか行きたいナ~。


 あああああああ!! 遊びたい。戦うより遊びたい! 思いっきりハメを外したい!! 戦士にも休息が必要だああああああっっ!!!!!!!


「よし、お前ら! キャンプ行こう!」


 気が付けば俺はそう叫んでいた。

 それに呀楼は、ビシッとと手をあげ、華麗に突っ込みを入れる。


「…霧式?! 俺まだ宿題終わってないんだけど?!」


「今日終わらせればよろしい!」


「んな、滅茶苦茶な?! ていうか、話に脈絡が無さすぎるわ?!」


「知らん!!」


「ええ!?」



 なんてワイワイ騒いでいる内に、近所のおば様達の情報ネットワーク級の速度で、『霧式がキャンプを計画している』という情報が拡散され、回りに回って松川総理や清吾天皇から連絡が入ってきた。


「あ、はいもしもし。ああ、清吾天皇! え? 清ちゃんってよんで? いやだなぁ、仮にも貴方は天皇ですよー? あはは。…それで? え? キャンプに絶好の無人島を確保した? 経費は? え、松川総理が行政費で負担? ああ、そうですか。おーけー。分かった参加者募って伝えときます。じゃあ」



 ピッ、と通話終了のボタンを押して、電話を切る。

 因みに俺のケイタイは今どき珍しいガラケーだ。


「…誰からの着信だ?」


「あ、それ俺も気になる!」


 何やら『天皇』という言葉に反応したらしい伸二と、全く気が付いていないが興味ありげなバカ(呀楼)が聞いてくる。


「さっきの人? みんなテレビとかで見たことない? 清吾天皇だヨ」


「霧式お前、天皇家とパイプあんの?! すげぇ何モンだよ?!」


「呀楼、真に受けるな。流石に冗談だろ?? …憲法が優先とはいえ、天皇は有事の際に独自に法案の作成から陸海空軍の全指揮系統を直轄まで、実質最高権力を持つこの国のトップだ。象徴を脱却した天皇家こそが、この国を“帝国”と言わしめる源泉であり、そんな存在へ容易にコンタクトを取るなんて不可能。さっきの電話一本だって霧式のガラケーにかける以上、通常回線を経由しなければならない。傍受や逆探知の危険性がある。迂闊にそんな真似は出来ないだろ?」


「そうなのかァ?」


「………」



 ……伸二、なんかものすごい正論言われて真実を言いづらいんだが。

 ていうか、俺が特例で、しかもこのガラケーは天皇家直属の非公開組織、“WOHL(ヴォール)”から貰ったものなんだ。


 回線が特殊仕様なだけのただのガラケーだったんだけど、それに俺の魔法技術で更に魔改造を加えた結果、見た目は普通のガラケー何だけど、色々とチート機能が備わっているんだ。永久機関搭載してるから充電要らないし。


 そうこう考えている間に、『HA☆KA☆TA☆NO☆塩ッッッ』とケイタイに着信が入る。



「あ、ども。霧式です。ああ、松川総理! どうも。え? 松ちゃんって呼んで? いやだなぁ、仮にも貴方は総理ですよー? あはは。でキャンプの件ですよね? ええ。分かってます。 経費の方、流石に不味いんじゃないですか? え? 国会で『特例法に基づく日本人国賓に対する引きとめ費行政負担法』で俺への金の流通の合法化? ああ、それなら問題ないですよね。わかりました。では後程~」


 ふぅと、軽い溜め息を付きながら電話を切る。


 また唖然とする呀楼と伸二。口々に、


「今、松川総理って…」


「…流石に冗談だよな…?」


 などと、言っている。


「いや、清吾天皇も松川総理もホントだぞ? 二人がキャンプは全面援助してくれるから」


 俺が言うと、伸二は頭を抱え、呀楼は?を頭に浮かべて首を傾げる。


「まて…。少し、頭がこんがらがって…」


「おい伸二、もう理解する必要なくねぇか? 霧式はすげぇ、それでいいじゃん」


「……それでいいのか…」


「いんじゃね?」


 二人がそういっている間に、俺は常に展開している「気配感知」に引っ掛かった人物を発見した。


「何奴ッ!!」


 取り敢えず狙いをずらしてクナイを投げ付ける。

 部屋の入り口の廊下に「ひあッ?!」と短い悲鳴が響き、続いてズテンと何者かの転倒音が聞こえてくる。


「いたたた、お尻打っちゃったよ…」


 そう言いながら這い出るように現れたのは、火崎アリス。



「ん? アリスか。クナイはすまんかった。で、どったの?」


「いや、霧式くん!! クナイはいいんだけど、キャンプするんでしょ?! 行くんでしょ?!」


「え…。 あ、うん? それで?」


「いやね?! 勝手に募集かけたらクラス全員が行きたいって言い出してね?! どうしよう!?」


 オイ、俺もまだ募集かけてないのに、何勝手なことしてんだよ。


 まあいいや。こうなったらクラス全員で行こう。

 聖岳ちゃんも無理矢理誘ってな。



「あー、もうクラス全員で行こうか。キャンプ」


「え?! 本当に?! いいの!?」


「まあ、その代わり―――、一日で夏休みの宿題を全て終わらす“鬼勉強会”開くけどな」



 こうして俺は、クラス全員無人島キャンプ計画の成就に向けて、まずはクラス全員分の宿題を抹殺する(おわらせる)べく動き出した。



 

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