表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/71

第十七話「強化合宿3」





 はっはっはっは!!!


 教官だ。

 …はい。どうも皆さんご存じ霧式(むしき) (あおい)だ。


 えー、現在の状況を説明するとだな。


 今回もやり過ぎました。


 ランニング試練の後、二日間に渡って地獄の特訓を続けた。それがさっき終わってイデアの変化を確認したんだが……。あのね。皆イデア変わりすぎ。

 ま、まあ、とにかく、皆のイデアの変貌っぷりを見てくれ。コイツだ。






 まず鳴雷 宗田くん。


 イデア【電子レンジ】→【電磁パルス解放機】


 調査結果: 顕現時はただの電子レンジだが、側面や上部を軽く叩くと某トラ○スフォーマー的な摩訶不思議大変形を遂げ、【電磁パルス解放機】に変化する。マジで圧巻。好きな形に変形できるらしいが、通常は大きな銃のような形をしている。


 【電磁パルス解放機】は電子レンジのイデアをそのまま強力にしたような能力で、最早兵器。

 非常に高い攻撃力を持つが未だにその限界は未知数。

 本人の強靭な意思により、緻密な威力の制御が行えるようだ。

 カラーリングは廃退的な紅。装甲表面に付いた傷も敗退的な感じがしてかっこいい。



 次に、衡國 リンちゃん。


 イデア【八節棍】→【八節鎌】



 調査結果: 木の棒に鎖がついた感じだった素朴な八節棍は、なんと、両端に大鎌がつくという【八節鎌】へと少林寺もビックリな驚き大変化を遂げた。


 本人の意思により、霧式より直伝で教え込まれた最凶の体術と柔軟な肢体を使うことにより、更に曲芸じみた動きが可能となる。

 また、この【八節鎌】は、節ごとにくっつけて両端に大鎌があるという非常に危険な武器としても扱えるようである。

 リンちゃんは一体何を刈り取ろうとしているんだい…?

 俺っち、ちょっと怖いよ…。



 そして耀樹 光くん。


 イデア【ロウの翼】→【翼とビームライフル】


 調査結果: ロウの翼が何か本物の翼となった。

 そして何故かビームライフルみたいな銃が付属してきた。


 白鳥のごとき純白に輝く大きな翼は重力を操る力があり、自在に空を飛べる他、周囲への重圧範囲攻撃や味方に掛かる重力の軽減でのサポートなど、多岐にわたって活躍できそうだ。


 この翼のようなイデアは顕現時、彼の肉体と融合しているようで、【無限叡智】先生によると『生体イデア』という非っっっ常~に珍しい存在ならしい。

 何故、こんな強力なイデアに進化したのか謎だったが、本人に聞いてみたところ「あの地獄のランニングで白鳥のように飛んで楽をしたいと思ったのさ☆」という答えが返ってきた。

 俺が課したあの浜辺一万周ランニングはそんなにキツかったのか……。




 気を取り直して、月守 明ちゃん



 イデア【小楯】→【双頭多重大盾壁】



 調査結果: 元々【小楯】のイデアを有しているが、円形の木材に模様を描いただけような粗末な代物だった。


 イデアの進化にともない、【小楯】は【双頭多重大盾壁】へと変化した。


 この楯には使用者のみに重量を感じさせない効果があるようで、明ちゃんは超巨大な盾を二刀流な感じで操るスタイルで闘うようになりそうだ。


 更に物理的な防御の他、光子、電子、素粒子等、あらゆるものを遮断する【結界】を展開することが出来る。持続時間は十秒。





 そして最後、綾瀬 怜那ちゃん


【手鏡】→【姿鏡】



調査結果: イデアの進化によって、縁に見事な装飾のなされた【姿鏡】となり、あらゆる攻撃を反射する、カウンター型のイデアとなる。

 【手鏡】の時の能力も受け継いでいるようだ。






 ……どうよこれ。


 訳が分からないよ(棒)


 何かリンちゃんは俺にめっちゃ積極的に近付いて来るし、鳴雷くんが「俺にスパルタで指導してください!」とか言ってくるから、振り落とす気で試練を与えたら、なんか凄いことになるし…。


 聞いてよ! 鳴雷くんの事!!


 いやね? おかしいよ!? まず筋肉が付いたじゃろ? んで、イデアが変わるじゃん? 最後にね? ……顔の骨格が変わったんや。



 ふぁぁああ?!? ホンマに訳がわからん!!! おま、鳴雷、何でイケメンになっとんのやァア?!! しかもたった三日で!!



「どう言うことだってばよぉ……」



 頭を抱えざるを得ない。

 もうこれ以上、どうしろってんだよぉ。 …チートやっぱり辛いよぉ……!!


 だがまだだ。…最後の試練を彼らには課さねばならない…!!



「…皆、最後の試練だ」


 俺の一言に固唾を飲む皆。

 そして俺は、魔剣【フェンリル】を出して言う。



「よし。全員でイデアを使って、俺に一撃いれてみろ!」


 輝く刃、舞い散る火の粉。そして鈍く光る鎖。


 超高難度試練(クエスト)【霧式に一撃をいれろ!】がついに動き出した。






      †  †  †






「はあああああああああああああっっっっっっっ!!!」


 裂帛。大地を裂くかのような気合いと共にリンちゃんの八節鎌の斬撃が繰り出される。

 一見して訳の分からない、全く予想できないような動きで攻撃を繰り出してくるのがリンちゃんのスタイル。


 ただし、体を柔軟に使うことで曲芸じみた動きを可能にする反面、必ずガードしつつ攻撃をしなければならないポイントが発生する。

 リンちゃんの場合、後ろに反って鎖と繋がった鎌を避けつつも引き寄せるその瞬間。

 一見すれば隙がないように見えるが“反る”という体の性質とリンちゃんの癖により、背中から左腕にかけての一部に僅かな隙が出来る。



「――――それが、ここだ」



 努めて冷静に言い放つと、八節鎌の斬撃を魔剣【フェンリル】で往なしつつ、右後ろ回しで蹴りをお見舞いする。

 骨が折れない程度に…しかし、高威力で左腕にめり込んだ俺の蹴りは、リンちゃんを右方向へ吹き飛ばす。

 そして俺は、蹴りの遠心力でそのまま飛び上がるように空中で一回転し、鳴雷くんより流れるようにして放たれた【電磁パルス解放機】の『砲撃モード』によるビームのような一撃を紙一重で避ける。


「甘いよ霧式くん☆」


 そのキラリンと光る一言と共に急速に増える重圧。耀樹くんの【翼】によるの重力操作だろう。


 地球の落下速度を遥かに上回る力で俺は、地面に引き落とされる。


 このままでは未だに発射され続ける鳴雷くんの砲撃に直撃するだろう。

 しかし、俺は空中で魔剣【フェンリル】のスキル【王の()】を発動し、知覚能力を通常の十倍に引き上げる

 そして更に、異世界の西方にて誕生し、東方の忍衆たちにより改良と研鑽を重ねられて創られた移動法の極致の一つ、【蹄虚鐶亂(ていきょかんろん)】を用いて空間を“蹴り”一瞬にしてその場を離脱する。


「んなっ☆?!」


「耀樹くん、驚愕している暇はないぞ?」


 俺は、着地した瞬間に地面が抉れる程の膂力を以て飛び上がり、滞空している耀樹くんを踵落とし――正確には【楼燈殲槲(ろうひせんこく)】を弱めて放ち、撃墜する。



「ごふっっほっっ☆」


 耀樹くんはテレビならキラキラ補正の掛かるモノを少量オロロロしながら地面に叩きつけられ、伸びた。


「光くん!!?」


 明ちゃんが叫ぶ。いいのか? そんな隙を作って。


「隙ありだな」


 俺は再び【蹄虚鐶亂(ていきょかんろん)】を使用し、明ちゃんへ接近する。途中で鳴雷くんの攻撃をわざと俺から外し、綾瀬のイデアで俺に反射するという見事な連携攻撃を受けたが、俺は二人に圧縮魔力弾を放ち無効化。明ちゃんに肉薄する。


「きゃあっ!!」


 可愛らしい悲鳴を上げながら明ちゃんが【結界】を展開する。


「うん。咄嗟の反応速度も(にじゅうまる)だ」


 だが、すまんな。その障壁は物理攻撃には向いていない。どちらかと言えばレーザーとかビームとかまあ、魔法とかそう言ったものに耐性があるものなんだ。……まあ、俺級の物理攻撃じゃないと突破はできないが。


 ピシッと音を立てて結界に亀裂が走り、やがてガラスの割れるような音を響かせながら崩壊する。

 それに明ちゃんは咄嗟に盾を構えようとするが、俺は、それすらも軽い跳躍によって飛び越え明ちゃんの背後に立つと、


「次から俺の物理攻撃は盾で受けような」


 とコメントしたのち、首トンで昏倒させる。


 ここまで三人を倒した訳だが、全員戦意が萎える気配はない。


 俺は、おもむろに立ち止まると手をパンと叩き、口を開く。


「よし! 全員合格だ! まあ集合!」


 俺が言うと、全員イデアを下ろし、早足で集合してきた。


「合格基準は何なのよ?」


 綾瀬が言う。


「思いきりも、運動能力も上がった。戦意のノリも上々。何より最後まで全員諦めなかった。満点で合格だよ」


 俺がそう言うのに対して皆、首を傾げている。

 ああ、俺に一撃いれる事が出来なかったのに合格なのに疑問を感じているんだな。


「ああ、因みに『俺に一撃いれてみろ』ってのはブラフだ。戦意低下のためのな。…まあ、とにかく。皆合宿、お疲れさん!」



「「「「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!?」」」」



 昼下がりの砂浜に驚いたような、ホッとしたような叫び声が響いた。





 次回より夏のクラス対抗戦が始まります!!


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ