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異世界と銃と戦乙女  作者: 饅頭卍
1章 転移と絶望の10年
4/5

2話 メイドの皇帝

この世界の武器は希少(レア)度によっていくつかに分けられる。


一般(コモン)武器

これは普通に店に売っているものがそうである

人間が作った物もここに分類されることが多い。

特に目立った効果もなく粗悪品もここに含まれるためにあまり使われることのない武器だ。



希少(レア)武器

スライムやゴブリンなどの下級魔物の体を構成している魔核を破壊することによって稀に手に入る武器。見習い冒険者はこれを入手する所から始まる。

倒した魔物由来の効果が付いた武器が出ることが多いので、いい効果が出やすいスノーウルフが乱獲された事件が起こったこともあるらしい。



英雄(エピック)武器

ザ・ゴブリンキングやジ・アイアンメイデンなど基本的には冠詞がついている魔物(上級魔物という)から極々稀に出てくる武器。

まず上級魔物を倒すことから困難であり、700レベル越えのフルパーティー(7人)でやっと倒せるレベルの敵らしい。

しかし、その武器は強大であり、英雄武器を手に入れればはれて最強のグループに入ることが出来るらしい。



伝説(レジェンダリー)武器

まさに伝説の武器であり、入手方法も分かっていない。

過去に人でこれを入手した人は1人だけでありその人物がこのライン帝国を作り上げたという逸話があるらしい。

実際、皇帝になる人物はその伝説武器を前皇帝から譲り受ける文化が今も残っているらしい。

ちなみに皇帝が持っている伝説武器の名はレーヴァテイン。

「傷つける枝」という意味のその剣は内包した炎により、所持者の周りは太陽のフレア程の温度になっているという。



神話(ゴット)武器

俺の武器はどちらともこれに分類される武器だ。

効果は不明、威力も未知数というここの世界の人からしたらそんな武器あるの?と疑問に思うような希少度である。


ちなみにらしいらしい言ってるのは殆どがフレイヤから聞いた話だからである。



あの白い部屋で俺の武器を《鑑定》スキルで見たことがある。


【ヘイル・オブ・バレット】

投擲槍ゲイ・ボルクを現代の神フレイヤが作り直した銃。

見た目は現代のデザートイーグルと似ているが、艶消しされた黒い銃身に赤いラインが入っているのが特徴である。

こちらも艶消しされた黒いグリップの中心部分に赤く丸い水晶がはめ込まれている。

これは賢者の石と呼ばれる魔力石であり、唯一無機物でありながら《物質創造》スキルを持つ。この《物質創造》スキルによって弾丸は無限に造られるために弾切れになることはない。

ヘイル・オブ・バレット(通称バレット)から放たれた銃弾は30以上の弾に増殖し相手に必中すると言われている。

奥義『ヘイル・オブ・バレット』が習得出来る。

固有スキル《倍化》《2倍化》《3倍化》《5倍化》

《10倍化》《30倍化》が習得出来る。


【サリエル・ビターティアーズ】

サリエルが堕天した後、月から落ちてきたとされる銃。こちらも現代のデザートイーグルに瓜二つである。

月のような神秘的な銀色の銃であるが、弾丸は真っ赤に染まっている。

この銃は魔力を消費して撃つ魔力銃であり、魔力の流し方によっては銃が鎌に変形したりする。しかし、変形には膨大な魔力が必要。

弾丸に《邪眼》スキルが適応されており、所持者より弱い相手なら一撃で倒すことが出来る。貫通力はずば抜けて高い。

所持者が血を流せば流すほど銃の威力が上がっていく。

奥義『死を司る天使(サリエル)』『全魔力解放』を習得出来る。

固有スキル《邪眼》《血涙》を習得出来る。



何が言いたいかというと、最初に選んだはずの《鉱物複製》スキル。あれが死にスキルになりました。

心底後悔した。スキル選択した後で試し撃ちしたからどうしようもなかったんだけどさ、それ知ってたらもっといいスキル探してたのに。


────────────────────────


「敵前で考え事とはいい度胸ですね。」


俺の喉元にあった果物ナイフが俺の顎を狙って切り上げてくる。

咄嗟に我にかえった俺は顎に向かってくるナイフをバレットでギリギリ受け止め、相手の手首を左手で掴んで背負投の要領で宙に放り投げる。

宙に浮かしたメイド女性の右肩向けて()()()()()()()発砲。


「っ!《プロテクション》」


メイドは殺気に気づいたのか発砲より早く魔力の壁を展開。

だが、それで守れるほど神話武器はやわではない。あっさりと《プロテクション》を破ってメイドの右肩を掠めていく。



着地が少し崩れ膝を着いたメイドに再び発砲。

メイドはそれを読んでいたのか直ぐに飛び退いたので当たりはしなかった。


「その武器は見たことがありませんが少なくとも私の《プロテクション》を破った時点で伝説武器以上なのでしょうね。」


「…………。」


俺は無言でメイドの独り言を聞き流しながらフレイを見る。

彼女は目をキラキラさせながら俺を見たりメイドを見たりしている。


「凄いですね!見てるだけで楽しいです!」


一応殺し合いみたいなもんなんだけどね?もうちょっと緊張感とか持って欲しいよフレイヤさん。


『まぁ、フレイはそこら辺で見といてくれ。』


「はい!分かりました!」


てててと可愛らしく走るフレイヤを見ているとかなりグラマーな体型になっていることに気づく。



あれ?あんなにフレイヤさんボンキュッボンでしたっけ?

そう言えば、あの空間では俺より10センチぐらい高い180ぐらいの身長だったのに今は俺と同じ目線だったよな?


「だから、無視はいけないと思います。」


フレイヤの謎の体型変化について考えているとまた顔面に果物ナイフが飛んできた。器用にキンキンキンとバレットで弾く。



俺は今忙しいの!フレイヤのあの爆弾ボディーは色々不味いの!主に俺の理性が不味いの!



俺は少しイラついたので《5倍化》スキルでバレットから発砲。

1つだった弾丸が5つに増殖してメイドを襲う。

メイドも予想外だったのか1つは果物ナイフで弾いたものの他の弾に所々貫かれた。


「ぐぅっ!」


流石のメイドも致命傷ではないがかなりのダメージに呻き声を漏らす。

少しやりすぎたかな?と思いつつ、意識を奪うために左手にミカエルを出現させる。



メイドは呻いた後膝を立ちのまま全く動く様子がない。

俺は不思議に思いつつも少しの魔力を込めて発砲。

呆気なくメイドの頭を貫き、気絶させたはずなのだが全く倒れる様子がない。



益々俺は警戒心を強め彼女から離れて様子を見る。

最低4つあるはずの傷などどこにもなく、完治している。

戦う前とほとんど変わらない状態に戻っている彼女は静かに立ち上がった。

彼女の周りにはゆらゆらと空気の揺れが見て取れる。まるで蜃気楼のようだ。ん?蜃気楼?



その時、彼女の周りに激しい焔が舞い上がった。

右手には真っ赤な一振の両刃の直剣。


「次はメイドではなく、13代目皇帝として参ります、侵入者よ。」



────────────────────────



どうやら、彼女はメイド兼皇帝だったらしい。

誰が分かるかそんなもん!どっちかにしろや!

俺はモヤモヤとしながらも彼女の纏う雰囲気が変わったので集中することにした。



《10倍化》スキルを発動させながら依然動く様子を見せない彼女にバレットとミカエルで連射する。その数200を超える。

圧倒的な弾数で逃げ場のない彼女は全く動く気がないようだ。

それもそのはず、彼女には()()()()()がないのだ。

実際200を超える弾丸は彼女の周りの焔によって全て溶かされた。



俺は驚いたが、事前に伝説武器のことを知っていたのでそこまで狼狽えることはなかった。

メイド、もとい皇帝は慢心か傲慢かまだ動くこともせずただこちらを見ている。



俺はもう一度同じことを繰り返す。次はさらに連射して300発。

彼女はため息をついていた、が、直ぐに防御の姿勢に入る。

始めの方の半分は焔の壁を貫くことなく溶かされたのだが、あとの半分は焔を貫通して皇帝に届いたのだ。



原理は簡単。

まず1番最初の200発の弾丸では貫くことは出来なかったのだが、少しだけ焔が弱まっていた。数秒もすれば元に戻ったのだが、その数秒の間は焔は弱まったまま。

そこをつくことが出来れば攻撃が通ると考えた俺は、《付与魔法︰青》で弾丸に氷を纏わせた300発の弾丸を撃ったと言うわけだ。

こうすれば、熱をより奪いつつ弱まった時に攻撃出来る。



しかし、彼女も賢かった。

ため息をついたものの攻撃が来ることを一瞬で気付き致命傷を防御していた。お陰でそこまでのダメージは与えることが出来ず、原理は不明だが今も尚傷が癒えている。



傷が癒える前に追撃と思い銃を彼女に構えると彼女の周りの焔が無くなっていることに気付く。一瞬警戒するが治癒のせいだろうと自己完結して発砲しようとした時、彼女が消えた。



俺はステータスがAGI型なのでかなり早く移動しようとも相手が動いた軌道ぐらいは見てとれる、はずだ。

だが、実際俺の目の前から彼女が消えた。その事に頭が処理出来ず数瞬固まってしまった。

それは彼女にとって絶好の攻撃チャンス。



俺は背中から大型トラックに引かれたような衝撃を受け受け身も取れず10メートル強吹っ飛んでいった。しかし、このままではサンドバックになるだけなので痛い体に命令しながら立ち上がり《見切り》スキルを発動させる。



《見切り》は相手の攻撃、例えばナイフの切り上げなら相手が行動する前にナイフが描く軌道が見えるというものである。

フェイントなどもバッチリ軌道が見えてしまうので、《見切り》スキルを発動している時には効かない。まぁまぁなチートスキルである。



後手に回るのは正直得策ではないが、相手が見えない以上来る攻撃に対応するしかない。俺は全身の神経を研ぎ澄ませながら次に来る攻撃に備える。

瞬間、四方八方からゆうに1()0()()()()()軌道が見て取れた。

俺は驚くがそれよりもまずは致命傷になるであろう軌道にバレットとサリエルで防御をし、それ以外は捨てて耐える。



防御を置いて1拍、全身にナイフが飛んで来る。皮膚が切り裂かれ、刺さる感覚を懸命に耐える。

ナイフの雨が収まるとまた背中から衝撃。



俺は投げ飛ばされた人形のように地面を転がっていった。

前と同じでサンドバックになる前に立ち上がろうとするが全身の痛みと当たりどころが悪かったのか脳が揺れる感覚で膝立ちのまま動けなくなってしまった。


「さっきので仕留めたはずなのですが、よく防御出来ましたね。」


俺の頭の上から声がする。見上げると皇帝が全く表情を変えることなくそこに佇んでいた。息切れ1つしていない。


「冥土の土産にネタばらしでもしましょう。レーヴァテインの熱は基本自身の周りに放出されています。そのレーヴァテインを鞘に収めることによって剣の内包した熱エネルギーを自身の膂力、治癒力、推進力に変えることが出来るのです。その速さは音の速さをゆうに超えます。」



確かに彼女の右手には剣はなく左腰に鞘と収まっている剣の柄が見えている。

俺は大分収まった脳の揺れを確認しながら立ち上がる。

当然、彼女と至近距離で対峙する。

彼女の瞳の奥にはメラメラと炎が燃えている…………気がする。


「いいでしょう。圧倒的絶望を持って地獄に落ちてください。」



『全魔力解放』

誰に念話する訳でもなく1人念じる。勝機を見出すために気合を入れる意味合いもあった。


全身の魔力を使って自分の身体能力を引き上げる禁忌の技。その技を使ったものは全身から血のような赤いオーラが出ているらしい。

まさに界〇拳。副作用も似ていて使用後は全身か筋肉痛になったりする。

ちなみに3倍とか10倍とか決められるわけではなく。あくまでも潜在的エネルギーでパワーを出すため、人によって強化は様々である。

俺は魔力が7000あるので17倍ぐらい強化されるはず。



俺は全身の魔力をかき集めながら()()()バレットから発砲する。

まるで重戦車が大砲を打ったような今までとは違う音を立てて発射された弾丸はやけに高い天井を綺麗に貫通して空高く飛んでいった。


「仲間を今更呼ぶとはやっと勝機が微塵も残ってないことに気付きましたか。」


さて、ここからが勝負どころだ。

身体強化のお陰で今回は見失わずに辛うじて目でおうことが出来る彼女に向けて()()()()()()銃弾をバレットから発射。



早すぎて当たるはずのない弾は案の定彼女の通り過ぎた場所を通って行くが、そこでいきなり方向転換し彼女のいる方向へ飛んでいく。

バレットはゲイ・ボルクから造られたため、魔力を込めて発砲すればどこまでも相手を追い続ける超高性能ホーミング弾丸になるのだ。



彼女もだんだん追いついてくる弾丸をナイフでたたき落としたり、急カーブによって壁に突き刺させたり、器用に躱して行く。時には、俺に向かってナイフを投げる余裕もみせてくる。もちろんサリエルで弾くが。



────────────────────────



どちらも決め手に欠ける一進一退の攻防が5分続いた。

体感的に短かったか長かったか分からない5分だったが、こちらは魔力解放によって物凄いスピードで魔力が消えていく上に、満身創痍で動き続けた為、足元には俺の血溜まりか出来ている。

しかし、あちらは目立った傷もなく自動治癒つき、スタミナ切れもない。

確実に追い詰められているのは俺の方だった。



あと何分持つか分からない。そんな焦燥感と不安、死の恐怖に苛まれたせいなのか分からないがフレイヤを見た。

彼女は泣いていた。



両手を合わせて胸の前に持ってき何か願うようなポーズをしている。

蒼と黄緑色のオッドアイは俺が勝つことを信じて疑わない強い信頼を感じる目だった。だが、俺が傷ついて、どんどん追い込まれていく姿が見ていて辛いのだろうか。そうだと嬉しい。

決心した強い目をしているのにも関わらずとめどなく涙が溢れている。



あー、泣き顔はプロポーズの時に見たかったなぁーとこんな時にもかかわらず(こんな時だからかもしれないが)くだらないことを考えてしまっていた。

それと同時に全身から湧き出るような気持ちの昂りを感じた。

俺のために泣いてくれる人がいる。俺を信じて見守ってくれる人がいる。

それだけで、十分戦意が湧いてくる。



だが、その精神論だけで勝てる訳もなく、それから1分半後俺の魔力解放は終わりを告げた。



体が一気に重くなり全く動けなくなる。メイドの動きも全く見えない。グサグサとナイフが刺さる感覚がするがそこまで痛くない。

それよりも、寒い。体の熱が無くなっていくような寒さだ。



あー、これ死ぬやつやと人事のように思っていると、誰かに抱きつかれる感覚がした。耳元からは涙を噛み殺す嗚咽が聞こえる。

霞ががる視界の中にはフレイがいた。我慢できずに来てしまったようだ。


「いいでしょう。恋人一緒に消して差し上げます。」


メイドはそう言いながら凄いスピードで突っ込んでくる。両手にはナイフ。

だが、そのナイフはフレイには届かない。



メイドがフレイ諸共攻撃する瞬間()()からレーザーのような5つの線が彼女を貫き、そのまま沈黙したからである。



俺の体を抱きしめながらプルプル震えていたフレイも攻撃が来ないことに気付き、恐る恐るメイドを見て驚いていた。何せ殺されると思っていたらいつの間にか相手が倒れているのだ。



しかし、直ぐに気を切り替えて俺の方を向いてぐちゃぐちゃの顔で心配し始めた。


「一郎様!一郎様!起きてください!」


フレイヤさんや、叫ぶ前に回復魔法をしてくださいな。

俺は心の中でそう呟きながら意識を放り投げた。

ベタすぎるだろというツッコミは受け付けておりません。

自分でも分かってます!書いててあー、ベタだわと何回思ったか。


最後のレーザーのような線ですが、私の計算では速さにしてマッハ4弱あります。だからマッハで動くメイド兼皇帝さんに当たったわけです。


多分仕掛けなどは分かるとは思いますが次回ネタばらしです。


良ければ評価、感想などよろしくお願いします。|ω・)

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