23話
…リザードキングだぁ?
群れのトップ争いに負けて、おめおめと生き永らえたテメェが、キングたぁ片腹痛ぇわ。
…成金金ピカ野郎、この俺がメッキを剥がしてやるよ!
『…おっと、反抗的な面だなぁ?…ちぃと教育が必要かぁ?』
…危ねぇっ!?
火の玉っ!
それに氷の飛礫かよっ…!
…テメェ、青年!邪魔すんじゃ無ぇ!
『ぐっ…!…体の…自由が、利かないんだ…!!』
『まだ理解して無ぇのかぁ!?そいつはもう俺の操り人形なんだよぉ…!!』
…テメェ…!
まさか、その金色の魔石…。
『そうだ、やっと理解できたか?…この魔石に込められた力は「支配」の力っ!!…正に、王である俺に相応しい力だと思わねぇか?ギャハハハハッ!!』
…なんだそりゃ…。
ザリガニの持ってた「空間」の魔石、フルールのババアが持ってるっていう「呪術」の魔石…。
…んでもって、この糞野郎が「支配」の魔石ときたか…。
…もう、何でもアリだな…。
…なんとなく分かっちゃいたが、魔石って火とか風みたいな分かりやすいモンだけじゃ無ぇんだな…。
どうも変な属性は若干レアリティは高いみてぇだけどよぉ…。
つーか青年っ!そんなポッと出の変異種にいいようにされてるんじゃ無ぇ!!
お前の方が変異種としては先輩だろうがよ!
『無駄だよバーカ!並のリザードマンなら100匹は自在に操れる魔力を込めてんだぜぇ?…まぁ、それでも意識が奪えないソイツは、正真正銘のバケモンだけどなぁ!』
…なるほど。
青年は青年なりに、ちゃんと抗ってたんだな。
…つまり、青年を操るのに精一杯で、俺を支配する余裕も無ぇってコトか。
だったら話は簡単だ。
テメェをシメりゃいいだけじゃねーの。
死ね!ミサイルランス!!
『ギュチ…(だめ…)』
なっ…!?
…そうだった、そういやぁコイツも居やがったんだな…。
…つーか、必殺のミサイルランスが弾かれたんですが…。
マジモンの化けモンじゃねーか、コイツ…。
『ギャハハハッ!!よくやったバケモン!簡単に支配できたんで拾ってきたが、まさかこんな変異種が混ざってたとはなぁ、正に拾いモンだったぜ!!』
『ギチギチ…(パパ…守る…)』
マジで何なんだよコイツ…。
今まで戦った、どのザリガニの変異種より硬いんですけど?
…そういやぁあの糞野郎、ボスザリガニを殺るのに巣の奥に潜ったって言ってたな?
コイツもそこで見つけたのか?
…もしかすっと、何かしら特別な個体なの?
『マジでよぉ、この二匹のバケモンがいりゃあ、天下がとれるんじゃねーか?もうチャッチなリザードマンの群れなんぞ、どうでもよくなっちまうぜぇ!』
…糞っ…。
形勢が悪すぎるっつーの!
…大火力兵器さながらの青年の魔法と、堅牢な城壁でも相手してるみてぇな白ザリガニの防御…。
最強の矛と盾ってか…?
ベタな定石で言やぁ、矛と盾の同士討ちを狙うトコなんだけどよぉ…。
…んなモン、どーしろっつーのよ!?
『…さて、そんなワケで俺ぁこれから天下取りで忙しくなるんだ。…その前に、目障りだった小バエの処理を済まさせてもらうか。…オイ、殺れ。』
『くっ…、アギトッ!逃げてくれっ!!』
…あ~らら。
無数の火の玉、んでもって立ち上る火炎旋風…。
なんだか見覚えのある光景じゃねーの。
逃げてったって、こんなの逃げようが無ぇじゃねーの。
…つーかあの糞野郎、相当根にもってやがったな…?
こっちは治療までしてやったってーのによぉ。
『まぁ安心しろや!俺が天下を取ったあかつきには、テメェの兄貴にもちゃんと後を追わせてやるからよぉ!ギャハハハハハハッ!!』
…糞が。
こりゃあもう、万事休すって奴か。
こんなトコロでおっ死ぬコトになっちまうとはなぁ。
…すまん、咲…瞳…。
…ついでに、トイプーのパパイヤ…。
『…わんわん…!』
…いや、確かに頭に思い浮かべたけどよ。
最後がお前の幻聴かよ!
せめて娘かヨメさんの声を聞かせろっつーの!!
『…あ゛ぁ!?…なんだ、外が妙に騒がしいじゃねーか。』
…あ?
…確かに、なんだか小五月蝿ぇな。
…ったく、最後くらい静かに逝かせろよなぁ…。
『伏せろアギトッ!!』
はっ?…って、うおっ!!!
何だ!?
突風っ!?
…いやっ、こりゃあ…!!
『今です!走って下さいまし!』
おっ、おお!
ほんの少しだが火炎旋風に穴がっ!
…しかし、全速力でも間に合うか…!?
って、体軽っ!!
何だこりゃ!?
…なんか余裕で脱出できちゃったんですが…。
『…何だテメェ等…?何処から入ってきやがった?』
『…なんとも悪趣味な姿だ。だが分かるぞ?貴様は前のボスだった個体だな?』
…この…キザ野郎が。
いっつも美味しいタイミングで登場しやがって!!
だからテメェはキザ野郎だってんだよ!!
…マジで俺がピンチになるまで出待ちしてたんじゃねぇだろうな!?
『…犬人族の同胞達を殺めし罪、私が貴方の命をもって償わせて差し上げますわっ!!』
…。
…オイ、キザ。
何だこの犬人族は?
『シャル…パグミだ。』
…あ゛っ!?
パグミって…どう見たって別犬じゃねーか!
つーかダルメシアンじゃねーか!!
『…変異した。というか、俺達が犬人族の巣に着いた時には、もうあの姿だったんだ。』
…そんな…。
…いくらなんでも、そりゃあご都合主義すぎんだろうよぉ~?
いや、「ピンチを救うために、新たな力を身につけた仲間が駆けつける」って展開はアリよ?
実際助かったし。
…でもよぉ、なんの前フリも無しに、パグミが変異って…。
…オマエ、俺が許しても読者さん方が納得しないぜ?
『私が変異種になれたのは…オババ様のおかげですわ。』
…フルールのババア?
どういうこった?
『…お話は後にいたしましょう。今は目の前の敵に集中して下さいまし!』
…えぇ~、何ソレ…。
…くそっ、何かスゲェモヤモヤするわぁ~。
パグミてめぇ、カタがついたらちゃんと説明させるからな?
バックれるんじゃねぇぞ?
『ふん…これで数だけは3対3か。…まぁ、数だけ揃えた所で無駄無駄ぁ。しかも一匹は臭ぇ犬人族ときたもんだ!…俺が居ねぇ間にリザードマンは腑抜けちまったみてぇだなぁ…!?』
うっせぇゴールデン糞野郎っ!!
こっちは歯の間に食べカスが挟まったまんまで最高にモヤモヤしてんだよ!!
…さっさとテメェを仕留めて、スッキリ歯磨きタイムだ!!




