第77話 第一脱走者発見です
中々先に進みませんね。
獣道から外れた場所から接近してくる気配に、警戒する2人。しかしその気配は、2人に向かっているのではなく、ただ進んでいるようで、2人の現在位置から少し外れた場所に出るようだった。
「この移動速度から察するに、全速力っぽいね。」
「だな。普通の人間の全速力の速度かな?だとすると追われている?いや、その追っ手の気配はしないから、どこからか逃げ出して来たというのが妥当か。」
「そうだね。僕も同じ意見だよ。お、そろそろ獣道に出るみたいだよ?向かってあげよう。」
2人が話し合っていると、気配が獣道に出るところまで来たので、そちらに進む。
曲がりくねっているこの獣道だが、幾らか真っ直ぐに続いている場所もある。気配はその真っ直ぐに続いている道の先に出ようとしているので、トリス達から丸見えになっている。そのため焦ることもなく予想地点に足を進めていると、残り数メートルといったところで小柄な人影が木陰から飛び出してくる。
「こ、ここは!道に出られた!は、早く助けを呼ばないと!」
その小柄な人影は少女であったようで、ボサボサになった短めの茶髪でボロボロの服着ていた。やはり何かに巻き込まれたようだ。力が上手く入らないのか地面に膝をついている。
「大丈夫ですか〜?」
このまま見ているだけでは埒があかないので、ホルスが試しに呼びかけてみる。
「ひ、人!?貴方達は一体!?い、いえ!それよりも姉を助けて下さい!お願いします!お礼は何でもしますので!」
茶髪の少女は最初はトリス達が居たことに驚いていたが、急に何かを思い出したかのように、呼びかけてきたホルスに縋る。
「えっと、急にそんな事を言われても。どうしよう、トリス。」
「え、どうしようって言われてもね。ホルスのしたいようにどうぞ。俺は特に意見はないかな。」
「お、お願いします!本当に何でもしますので!」
無責任なトリスの発言と、少女の叫びに挟まれたホルスは深いため息をつき、まずは少女を落ち着かせることに決めたのだった。
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「と、取り乱してしまい、申し訳ありませんでした。私はリア・ベッセルといいます。」
どうにか落ち着いた少女は、謝りながら自己紹介をする。
「僕はホルストだよ。」
「俺はトリス。…それで、どうしてあんな所から出てきたんです?」
流石に少女を怯えさせる訳にはいかないので、家名は伏せるホルス。トリスは巫山戯て『ホルスと違って平民』と言おうとしたが、ホルスの視線に気付いて慌てて本題へと入る。
すると少女は、トリス達の求めていた情報を齎してくれる。
「じ、実は、信じられないかもしれませんが、私は先程洞窟にある研究所から逃げ出して来たんです。その時、双子の姉のリタが力になってくれて…。だ、だから絶対に助けるって約束してここまで来たんです!お願いします!どうか力を貸して頂けませんか!駄目でしたら、街に案内していただければ良いので!」
リアの言葉に、トリスはふむふむと頷きながら呟く。
「ほほう…。なるほど。となると、その研究所は壊滅決定だな。なんせ目覚めさせてはいけない悪魔を呼び起こしてしまったんだからな。」
「え?悪魔?…!」
そんな呟きに反応したリアだが、次の瞬間圧倒的な威圧感により身体を硬直させてしまう。
「…研究所?女の子を捕らえる?ふふふふ…。」
その威圧の正体は、ホルスの怒りの感情により漏れ出た魔力であった。心臓の弱い人なら、死んでしまいそうな程の圧迫感をもっている。
「お〜い、ホルス君や〜。その威圧を止めないと、そろそろリアさんが苦しそうだぞ?」
そんな中何ともなさそうなトリスが、リアの苦しそうな様子を見てホルスにストップをかける。
「おっと、ごめんごめん。つい感情が高ぶっちゃってさ。」
「い、いえ!大丈夫です!ごめんなさい!」
ホルスの威圧にすっかり怯えたのか、震えながら何故か謝るリア。
「あ、謝らなくていいよ!というかさっきのは僕が全面的に悪いよね?」
「そうだね〜。ちょっとは周りに気を遣わないと。」
「む。うるさいよ?確かにさっきのは僕に非があるけど、ギルドで空気を読まない行動したトリスに言われたくないよ。」
「いやいや。俺はちゃんと節度を守ってるよ。ちゃんとギリギリを見計らって、ここまでなら大丈夫って感じで。」
「その方がもっと質が悪いよ!というか全部計算づくなの!?」
「おう!勿論!因みにリアさんとここで出会うのも計算づくだ!」
「それだとトリスが全ての黒幕になるけど!?でもここって僕達が産まれる前から、度々人が消えてたんだけど!?」
「ふははは!俺は時空を超える男だ!ホルスが試験で首席をとって、尚且つ『規格外!』って書かれるのも俺の計算だ!」
「何だと!?あれもトリスの仕業だって!?」
「…ふふふっ。あ、ごめんなさい。つい笑ってしまいました。」
トリス達のコントを見せつけられたリアは、こんな状況にも関わらず笑ってしまう。こうして場の雰囲気を明るくしたトリス達は、更に情報をリアから引き出していくのだった。
未だに学園生活を書けないとは…。何というか、申し訳ないです。




