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転生王子は何をする?  作者: 血迷ったトモ
第2章 学園編
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第70話 怒り心頭のホルス

トリスが鬼すぎる…。毛根殺しの鬼っていう二つ名貰いそうです。

お話を終えたトリスは、バルドゥルの足を掴んで引き摺りながら、ギルドへと再び入る。


「ふんふふ〜ん♪たっだいま〜。」


「うん、お帰り…って何それ!?」


驚愕するホルスの視線の先には、元々フサフサの金髪であったのに脳天から前髪にかけて禿げ上がり、何故かご丁寧に脳天に1本だけ髪の毛が残され、挙句に顔面ボッコボコで涙を流しながら『ゴメンなさい、ゴメンなさい』と永遠と呟いているバルドゥルであった。


「え?バルドゥル?」


トリスは『流石にやり過ぎかな?』と思い、そっぽを向いて惚けるが、ホルスの言いたい事は斜め上であった。


「いや、分かってるよ!折角僕もお話に参加しようと思ってたのに!これじゃあ出来ないじゃん!」


「え!?これから追い討ちかけんの!?一生この髪型で居ろって約束させたのに!?これ以上やるの!?…あ、回復させればいけるか?」


「あ、そうだね。僕の光属性魔法で回復させようか。顔面の傷だけね。」


イケメンスマイルで、とんでもない事を言い出す2人組。


「あ、そうだ。肋骨も何本か折ってるから、そっちもやらないと死んじまうで?」


「りょーかい。頭以外を回復させとくよ。『中級回復(ハイヒール)』。」


詠唱破棄で中級魔法を使うホルスに、周囲から見守っていた冒険者達の間にどよめきが起こる。


「あの見かけによらず腹黒な少年の魔法の腕は凄いな。」


「あぁ、あれで腹黒じゃなければうちのパーティに欲しいくらいだ。」


「あぁ、腹黒だが「そこっ!聞こえてるよ!」」


「「「すみませんでした!」」」


腹黒、腹黒と連発した集団に、ホルスが鋭い視線を向けながら注意する。途端に一斉に謝り、その集団はそそくさとギルドから出ていくのだった。

________________________________________

「よし、こんなものでいいかな?」


「いいんじゃね?」


ホルスが、出会ってから今までで最高の笑顔を浮かべて、バルドゥルの様子を確認し、お話しようと首根っこを捕まえる。


「よ、良くありません…。」


しかし、2人の威圧にあてられ、体が動かせなかったカミラが、何とか体を起こしながらもホルスを止める。


「え〜。散々僕達を舐めきってくれた挙句に、禁句まで口したんだから、血祭り…いえ、お話しないと気が済まないですよ〜。」


口を尖らせて文句を言うホルス。


「し、しかしこれ以上やると、一方的な暴力となってしまい、バルドゥルとやっている事が変わらなくなってしまいます!」


段々と口が回るようになってきたカミラが、必死にホルスの説得を図る。トリスも、別にこれ以上バルドゥルを虐めるつもりは無いので、助け舟を出してやる。


「はぁ。この後屋敷の練習場で、俺がタイマンの相手をするから、それで手を打たない?」


齢15にして、もう大人ですら相手にならなくなってしまったホルスは、久々に巡り会えた相手になる友人からの誘いに、頭を悩ませる。


「う、う〜ん。…分かったよ。それで手を打つ。でも、今度は僕がやるからね?」


「お、おう。ホルスって貴族とは思えないような性格してるよな…。」


「うるさいよ?人に貴族も平民もありません!」


「えっ?貴族?あ、家名を誤魔化してた…。」


貴族という言葉に過剰反応したカミラは、顔を青ざめさて、ホルスが『フルネームで書いた方がいいですか?』と名前の欄について質問してきた事を思い出した。

周りの冒険者も顔を青ざめさせる。何故なら貴族が絡まれて居たのに、止めるどころか寧ろ面白がって見ていたので、お咎めがあるかもしれないと考えてしまったのだ。


「ありゃ?ホルス?怯えられてるで?」


「む。何で僕が?寧ろ怯えられるべきはトリスじゃないの?だってコイツボコボコにしたのトリスじゃん。」


トリスに、周囲から怯えられていると言われたホルスは、心外そうにブツブツ文句を言う。と、そこにカミラが震えながら話かけてくる。


「ほ、ホルス様。御無礼をどうかお許しください。せ、せめてものお情で、どうか私の体と首だけでお怒りをお鎮め下さい。」


「は?」


いきなりの提案に、目を丸くするホルス。しかしその様子をもっと怒り出したと勘違いしたトリス以外の者は、顔色を青から白に変える。

このカオスな状況は見ていて面白いのだが、これ以上放っておくと大変な事になりそうなので、トリスは仕方なく口を挟む。


「お〜い、ホルス君や。どうやら彼女達はレンバッハ家の、侯爵家の(・・・・)の跡取りである君が、無礼に対してお怒りでは無いのかと心配しているのだぞ?で、カミラさんだっけ?彼女は自分の体を自由にしていいから、周りの冒険者やギルドに対してはお咎め無しにしてくれって言ってるんだ。そうですよね?」


トリスは要らない情報を態と公開しながら、カミラ達に呼びかける。

カミラは侯爵家という単語で一層顔色を悪くしたが、必死に顔を頷かせている。周りの冒険者はカミラを犠牲にする事でしか生を得られない現状に、唇を強く噛みながら耐える。『こうする他は無いのだ』と。それだけ侯爵家の権力は絶大であり、『逆らう』などと考えるだけ無駄なのだ。

しかしその説明にホルスは驚愕の声をあげる。


「えぇ!?そんな事しないよ!?ただこの隻眼のバルドゥル?あ、まだ隻眼じゃないか。兎も角コイツにムカついただけで、他の人には何もされてないじゃん!しかも体を差し出すって何!?危うく、一生心に残る傷を負うところだったカミラさんを、あのクズハゲ男から助けたのに、自分で防いだ事をするのは矛盾してるよね!?それとも何!?君達には僕がそんな非道をする人間に見えたの!?それとトリス!君は余計な事を言わない!」


「り、了解であります!sir!」


顔を真っ赤にして、今度こそブチ切れたホルス。

そのあまりの剣幕に、トリスも首を縦にガクガクと振りながら了承する。

その後10分ほど、トリスはホルスを必死に宥め続けるのだった。

普段温厚な人物がキレると、周りが手をつけられなくなりますね。というかその状況に態々突っ込トリスの胆力。半端ないですね。

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