第67話 取り敢えず腹ごしらえです
1ヶ月分は書き溜めが欲しい忙しさです…。
受付嬢の怒りを鎮めるため、渋々初心者講習を受ける事となった2人。自業自得であるので仕方の無い事ではあるが、ドラゴン数十体の群れに突っ込んでも余裕で生きて帰れる実力を持つ2人には、とても受ける必要性の感じないものであった。
因みにドラゴン1体で村は疎か、小さな町なら余裕で壊滅させることが出来る。そのため、ドラゴン数十体など国が総力があげて対処する非常事態である。
「はぁ…。」
「身から出た錆なんだから、ため息つかない。割り切ってやるしかないぞ。」
『どうしてこんなことに…。』と、ギルド内の食堂の机に頬ずえをついてため息をつくホルスを、トリスが宥める。
「う、うん、そうだね。それに、若しかしたら僕達の知らない事も教えてくれるかもしれないし!」
「そうそう!現場じゃないと分からないことは沢山あるしね!」
何とか無理矢理空元気を振り絞り、己を納得させる2人。朝6時頃に出て来たのだが、9時頃にならないと講習が始まらないため、こうしている喋っている他は無いのだ。
「あと1時間半くらいか…。くっ!こうなったらやけ食いだ!お姉さん!オススメを2人前お願いします!後、適当な飲み物も2杯で!」
先程振り絞った空元気は10分ほどで消え、トリスは非常に不貞腐れた表情で食堂の店員に注文を頼む。もはやメニューすら見る気力も起きないため、店員にとっては非常に面倒な注文内容となってしまったが、それでも店員は素晴らしい営業スマイルで了承するのだった。
案外『鴨が来た』とでも思って、高い料理を持ってくるのかもしれないが。
「…何故2人前?トリスってそんなに食べられたっけ?」
「ん?勿論ホルスも食べるよね?」
「え?僕も?朝食べたからあんまり…いや、やっぱり食べるよ。正直こうでもしないとやってられないよね。」
断ろうとしたホルスだが、途中で思い直してやけ食いすることを決意。どうやら機嫌が少し悪いようだ。
本来ならさっさと登録を済ませて、街中の雑用でランク上げの後、速攻街の外の森で魔物の相手をする予定だったのだ。
戦闘狂という訳でもないが、戦うのが嫌いではない2人にとって、この時間は至極無駄としか言えないものである。
愚痴っている内に店員が料理を運んで来た。
「お待たせ致しました。こちらが本日オススメとなっております、猪肉のステーキです。お飲み物には冷たいハーブティーをお持ちいたしました。では、ごゆっくりどうぞ。」
「どうも。無茶言ってすみません。」
トリスは申し訳なさそうに謝罪する。
しかし、店員は迷惑には思っていなかったようだ。寧ろ笑顔を浮かべて言う。
「いえ、私もこういう注文は新鮮ですので、腕がなりました。」
そう言って、店員は下がっていく。この世界の飲食店では料金は先払いが基本ではあるが、この冒険者ギルドでは例外であり、お勘定は日本と同じようになっている。
食い逃げしようものなら、周りの冒険者が喜んでぶちのめすためだ。報酬として酒の1杯は出るため、皆喜んで捕縛に加わるようだ。
「おっ!これは美味しいな!」
「え?そんなに?じゃあ、僕も…。ん!美味しい!」
「このハーブティーも口の中をさっぱりさせて、相性抜群だな。」
「ほんとだ!この食堂、当たりだね!」
先程まで不機嫌だった2人は何処に行ったのか、満足気な顔で料理を頬張る。その様子を見ていた店員は、小さくガッツポーズをするのだった。
猪肉…。食べてみたいですね。




