第24話 夏休みダンジョン
ついに2章突入!!
こっからは学園生活が多めになっていきます!!!
楽しみにしてね!!!!
地獄のような合宿から二ヶ月半。
あれほど暴れていた暑さも、ようやく陰りが見え始めたも今日この頃。
だが、そんな大人しくなった気候とは一切関係なく師匠の訓練は相変わらずスパルタ。相関係数脅威の0だ。
朝起きたらすぐにストレッチをし、ナイフを投げ、短剣二本で打ち込みをし、矢を射り……
いやそんなことを話したいんじゃない。
ただのメニューの話など需要はないし供給する気もない。
言いたいのはそこじゃない。
こんなことをしても俺しか強くならない。
もちろん俺が強くなることに問題があるんじゃない。歴半年で弱い俺はたしかに強くなる必要がある。
だが、俺はパーティメンバーだ。ソロではなくパーティだから個人練だけじゃ意味がない。
将来はほぼ確でこのパーティで仕事をするだろうし、ほぼすべての大会もこのパーティで出るだろう。
とすると、パーティの訓練の方もやる必要がある。いくら個人の能力が高くても、互いの技量を知らず、完璧なまでに戦闘スタイルを知らなければ、連携などまともに取れない。最悪、来年の校内予選で一年のパーティに負ける可能性も出てくる。
来年こそは校内代表。これは絶対だ。
そのために、この夏で一気に底上げしたい。
とすると───合宿が最適解だ。
......のハズだったんだが、断られた。
流石陽キャ。遊びまくっているから、連続して空いている日など存在しない。同じく空いている日が無い俺とは理由が大違いだ。
だがしかし。一日単位なら空いている。
ということは───1日ダンジョンなら行ける!!!!(※至極当然)
というわけで、単発ダンジョン日を複数確保した。
残念だったな。
お前らに似合うのはカラオケじゃない。
ダンジョンだ。
冒大生なんだから、ダンジョンに潜れ。
◆◆◆◆◆
「あ、2人とも遅かったねー」
「うるせえ、せっかくの休日を何してくれんだよ!」
とんでもなく不機嫌な顔で如月と速水が現れる。残念だったね、お前らの楽しい休暇を潰して。
悪いが、夏休みなんて幻想だ。
小学生のように無邪気に遊べるわけがない。
そもそも、5日くらいしか使ってないんだから軽い軽い。
「てかこの時期に夏休み終わるのおかしいだろ!世間の大学生見てみろよ!九月末まで休みだぞ!?
なんで俺らだけ講義かダンジョンなんだよ!!」
まあ気持ちは分かる。
実は冒険者大学を始めとする多くの冒険者育成大学は、3学期制だ。
理由は簡単。四大学冒険者杯に休みを合わせるからだ。国内大会を夏休みに、世界大会本戦を冬休みに合わせることで、選手もそれ以外の学生も大会に参加、または見学できる。
ということがあって、夏休みは小中高と同じ7月から8月下旬までだ。
ただ、短縮になったわけではなく前に来ただけなので、世間の大学生が期末試験対策をしている間に俺らは悠々自適に遊んでいる。
「そうかそうか、残念だがダンジョンがお前らを呼んでいる、ってことだ」
「よくわかんないけど」
どうやらジョークを理解できない人間なようだ。
「まあまあ、とりあえず水とか買おうよ」
水……?
そんなのダンジョンの泉の水があるだろ。師匠との合宿では泉の水をがぶ飲みしてたぞ?
……いや、流石におかしいな。これは師匠が狂ってただけか。普通に買わないとな。
半日だから……ざっと合計4Lぐらいいると思うし持ってもらうか。
え、誰にって?
もちろん如月速水のお二人さ!俺が持てるわけないだろ!!後方参謀が肉体労働なんてする必要がない!!
例えそれが2Lペットボトルでもね!!!
そして30分後。我々3人は水“だけ”を買ってダンジョンの入り口に来た。
ちなみに食料を買わんかったのは本当のサバイバルをやるためじゃなく、単に金がなかったからだ。
仕方ない、何だかんだ稼いでも消える、これが冒険者の闇ってやつだ。
「はい、単発ですね。入場料3人合わせて7000円です」
やっぱ高いなー。
Fランクだった頃は入場料なんてなかったのに、Eランクになった今じゃ1000円だ。Dランクの如月と速水なんて3000円だ。迂闊に入れやしない。
さっき食費をケチった分で支払う。ふう、一文無しだ。しっかり稼がないとこれはまずいな。
ちなみに如月と速水は、後ろで楽しくゲームをしている。
しかもゲーム機でだ。
これを許しているのは、俺が2人の予定を潰したからその償い、とでもいいのか。もし、次やったらぶん殴るけどね。
覚悟しとけよ。隙間時間にいそいそとゲームをしている連中は容赦しない。
え?法律? 残念だが、リーダーである俺が法律だ。治外法権適用済み、っと。
その時。
───チャリン。
乾いた音が隣でなる。
視線を向けると、隣の窓口で大学生らしき男が小銭とカードを落としている。。
反射的に拾い上げて、俺はそれをそのまま渡そうとして───ふと、カードに目が止まった。
───冒険者大学、一年。
そして、パーティメンバー証明付き。
(……パーティ?)
その瞬間、俺の思考が研ぎ澄まされる。
こんな真っ昼間に、たった一人でダンジョンに潜ろうとする冒険者なんて、普通はソロしかいない。
だが、パーティ証明がある。
でも、本当に今パーティを組んでいるのか?
今は八月。パーティ仲間と別れる奴が続出する、“パーティの冬”とまで呼ばれる七月を過ぎた直後の時期だ。
直前にパーティと別れたから証明書が更新されていないだけかもしれない。
俺はその可能性に賭ける。
もしかしたらコイツもそういう口かもしれない。今新しいパーティを探しているのであれば好都合だ。
それに、パーティを組んでいたってことは組まれるレベルの実力はある。最低限保証されている。
条件としては悪くない。
───むしろ最高だ。
俺がこの結論に辿り着くまでに数秒もかからなかった。
「ねぇ、僕のパーティに入ってくれない?」
俺は自然に、まるで落とし物を拾うついでみたいな顔で言った。
◆◆◆◆◆
<速水サイド>
俺は今、かなり機嫌が良かった。宮田が俺と如月の予定を潰した贖罪で、たぶん今は何やっても怒られない。流石に法律違反はアウトだが、それ以外ならほぼセーフだろう。
おかげで、宮田がダンジョンの手続きをしている間、如月とゲーム機で格ゲーができる。あー休日出勤最高!
そんな感じでだらけきっていた時だった。誰かが何かを落として、宮田がそれを拾っているのが視界の端に入る。まあどうでもいい。そう思っていた、次の瞬間。
「ねぇ、僕のパーティに入ってくれない?」
───は?
思わず如月と同時に顔を上げる。
宮田が声をかけた“相手”を見た瞬間、思考が一気にそっちに引っ張られた。
もう宮田が言った内容なんてどうでもいい。
おい、ちょっと待て、そいつは……
俺は宮田を止めようとする。いや、止めないと……!!
◆◆◆◆◆
<宮田サイド>
「いいよ」
え……?
目の前の男は落ちた小銭を拾いながらそう返した。
早い早い早い。
判断が軽すぎる。
こんなにあっさりと新メンバーが入ることってあるか?それも誰か確認もせず……待てよ!話聞いてないんじゃね!?
それなら完全に辻褄が合う。冒険者としての生涯を共に過ごすパーティを全く知らない人のグループに加わる訳がない。
そう思って聞き返す。
「えっと、“同じパーティになりませんか”って意味だけど?」
目の前の男はようやく此方を向いて呆気からんとそう返す。
「うん、そうだよ。今フリー《ソロ》だし」
「じゃあそのパーティ証明書は?」
言った瞬間、男の動きがぴたりと止まった。
一拍。
それから、露骨に顔をしかめて一歩引く。
「うわ、見られてたのかよ……。いや、つい最近別れた」
「マジかよ……」
推測は完璧に当たってたじゃねえか!!
少し嬉しくなったが、それと同時に新たな疑問が出てくる。
こいつは何者だ……?
コイツが俺を知らないのと同じように、俺もコイツのことをまるっきり知らない。
誘っておいて何だが、もしかしたら強さによっては申し出自体を取り消すかもしれない。
情報はゼロ。
なら聞くしかない。
「あー……君、名前は?」
質問内容も変だが仕方ない。
まあ、余程のことがない限り新メンバーになるだろう。
だが、そんな期待は裏切られる。
良い意味か……いやここまで来ると悪い意味なのか。
男は、何でもないことのように答えた。
「深川仁。現・"大学生最強"だよ」
『そこにダンジョンがあったから 〜18で冒険者になった俺は世界最強になる予定〜』をお読みいただき、ありがとうございます。
このたび、投稿頻度を一時的に以下の通り変更させていただきます。
【変更前】隔日22:15頃投稿
【変更後】3日に一回 22:15頃投稿
私生活の都合で個人的に忙しくなってきたこともあり、これまでのペースを維持することが難しくなってきました。
そのため、無理に更新を続けることで作品のクオリティが下がってしまうことを避けるために、更新頻度を一時的に落とします。
次回の投稿は4/1の予定です。
これからもお付き合いいただけましたら幸いです。




