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271 行く末

 ――夜。


 アリアたち一行は宿屋で汗を流した後、夜のハーペンハウスへと繰り出していた。

 通りには、それなりの数の人がいる。

 加えて、あちらこちらの飲食店から、話し声やら笑い声が聞こえてくる状態だ。


「早く行きましょうですわ! お肉がワタクシたちを待っていますの!」


 アリアたち一行の先頭を歩くエレノア。

 何やら、武器を買いに来たお客さんから、良い店を教えてもらったようだ。

 なので、今回はエレノアに夕食のお店選びは任されることになっていた。


「凄いご機嫌ですね、エレノアさん。まぁ、願ってもない機会ですし当然ですか」


「結構、稼げたみたいですし、ワタクシもお肉が楽しみですわ! いつもより多く食べることができますの!」


 アリアの言葉に、サラが反応をする。


 サラにとっては、お肉が命。

 お肉こそが正義。

 お肉が食べられない生活は、考えられないことであった。


 そんなこんなで、アリアたちが他愛のない話をしていると、目的地に到着したようだ。

 運が良いことに、アリアたち全員が座れるだけの余裕もあった。


 各人、紙に書かれた料理を見て、次々と注文をしていく。


(……なんか、高いな。王都ハリルの飲食店のほうが安くないか、これ? まぁ、今回のお代は、団長持ちだから良いけど)


 アリアは値段が少しだけ気になったが、すぐに忘れ、料理の注文を伝えていた。

 それから、しばらくすると、エレノアが待ちかねた時間が到来する。


「お肉! お肉ですの! やはり、お肉が正義ですわ! お肉は、全ての問題を解決しますの!」


 机に並べられていく料理。

 焼かれたお肉からは、何とも言えない匂いが広がっていた。


 軍の訓練ほど、疲れているワケではない。

 ただ、炎天下の中、ずっと武器を売るのは、それなりに疲れるものだ。

 空腹が、アリアたちに攻勢をかけている状況である。


「いただきますですの!」


 料理が並べ終わると、エレノアはすぐさまお肉を奪取していく。

 バクバクと、凄い速度で食べていた。

 普段の節約生活の反動が出てしまっている。


 今のエレノアからは、貴族らしさの欠片も感じられない。

 そんな中、アリアたちも夕食を食べ始めていた。


「それにしても、馬車に積んでいた武器が全て売れるとは思いませんでした。結構、高価な物が多かったハズですけど。そんなに武器って、必要なのですかね?」


 アリアは、モグモグしながら、疑問を言葉にする。


「ハーペンハウスは活気があります。ただ、一本裏道に入れば、危なげな人がいるのも事実。もしかすると、この都市の警備機関は、あまり機能していないのかもしれません。門番しかり、賄賂を求めて来るような者ばかりだとしたら、武器を持ちたくなる気持ちも分かります」


「絶対、助けてくれませんの! 強盗に入られたとしても、見て見ぬをフリをしますわよ、きっと! 武器を持ってなかったら、抵抗もできませんの!」


 ステラの冷静な分析に、サラは同調をしていた。


「……まったく、この地を治める貴族は何をしているのだ。領民に対しての思いやりが感じられない。今日、武器を買いに来た人にそれとなく尋ねただけで分かってしまった。戦争前よりも税金が高い。その上、治安も悪化している。暮らしは、益々、窮屈になっているようだ。どうにも、この地を良くしようという気概が感じられない」


 エドワードは、思ったことを口にする。

 同じ貴族として、思うところがあるようだ。


 学級委員長三人組も、同じことを思っていたのか、神妙な顔でうなずいている。


「今のローマルク王国は、どこの都市でも似たようなものですよ。反体制派をある程度捕まえたとはいえ、問題はそれだけではありませんから。住む家をなくした者たちが、各地の都市に流入していたり、そういった人たちを狙う犯罪集団であったり、色々と問題は山積しています」


 カレンの表情は、特に変わらない。

 もう、当たり前のことであったようだ。


「一応、国としての体裁はあるけどさ! 実情は、貴族がそれぞれの思惑に沿って動いているから、バラバラだよね! 新国王が、貴族の権利を削って、中央集権化を推し進めようとするのもよく分かるよ! そうでないと、国が上手く回っていかない!」


 ミハイルも、いつも通りのニコニコ顔だ。


「……このままだと、また、戦いが起きそうですね」


 アリアは、げんなりとした顔をしてしまう。

 いくら他国とはいえ、身近なところで戦争が起きるのは勘弁してほしかった。


「それは、新国王と貴族次第だろうね! 上手くおさめることができれば、戦争は起きないハズ! まぁ、貴族側は、やる気満々っぽいけどね!」


「結構、傭兵っぽい人たちが歩いていましたからね。お金を集めているのも、戦争をするための準備でしょう。まぁ、王族が弱いと思われているので、しょうがありませんね」


 ステラは、冷静に分析をしていた。


(たしかに、傭兵らしき人は多かった。王都ハリルでは、そんなに頻繁に見かけなかったからな。何かをしようとしているのかもしれない)


 アリアは、具沢山のスープを飲みつつ、そんなことを考えてしまう。


「とはいえ、王族の後ろには、ミハルーグ帝国軍がいる。そんなに上手くいくとは思えないな。内乱を起こしたとしても、鎮圧される可能性が高いだろう」


 エドワードは、至極もっともなことを言う。


「いえ、それなら、エンバニア帝国に鞍替えするまでですよ。勝手に内戦で先細ってくれるなら、援助を惜しまないでしょう。漁夫の利を得ることができますから」


「それを、本当に実行したとしたら最悪だな。そもそも、今の貴族たちは、親ミハルーグ帝国のハズだろう? 簡単に裏切ることはできるのか?」


「どう思われますか?」


 ステラは、ミハイルに視線を移す。


「できると思うよ! 自分に都合が良いから、親ミハルーグ帝国の立場をとっていただけだと思うしね! 都合が悪くなれば、すぐに寝返るよ、きっと! まぁ、別に、この国の貴族に限った話ではないと思うけどね!」


「……信じたくはない話です。私の考えからは、あまりにもかけ離れています」


 エドワードは、険しい顔つきになっていた。


(……上の方の人たちの争いで割りを食うのは平民だよな。本当に勘弁してほしいよ。住む土地をなくしたり、生きる糧がなくなったり、大変なことこの上ない。できれば、話し合いで解決してほしいな。平和が一番だよ。とは言っても、中々、難しいよな、実際は)


 アリアは、ふと、視線を移す。

 目線の先には、笑顔でお肉を一掃しているエレノア。


(……未来のことは、あまり深く考えてもしょうがないか。なるようにしか、ならないからな。エレノアさんを見習って、私もお肉に集中しよう)


 アリアは、山盛りにお肉に手を付け始めた。


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