旅立ち
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「私は船に賛成ね。若様が言うんだからアンタも賛成しなさいよ!ぶっ飛ばすわよ。」
「え、えぇー!?!?わ、わかったよ。」
拳を見せながら威嚇するサーヤに渋々了承するタツ。
しかし、これで3人の旅路は海路に決まり、早速借りれる船を探しに港に行くことになった。
船はすぐに見つかった。船は多くの漁師たちが使うものと同じく、船体中央に一本の帆柱があり、そこに大きな横帆が付いている。
積荷は10トンがやっとと言った感じで、3人でなんとか出航できそうなくらいの小ささである。
帆船の操作はタツがよく知っていた。彼は料理人を目指しているが、その一環で一時期を漁師たちと過ごし、その際に習ったと言う。
「これくらいの船ならぼくが操作できるね。」
弱々しいタツにしては自信満々にいい、船を眺めている。
「さて、船は確保したし、あとはまず行く場所と積荷だな。王様からはあまり旅費も貰えなかったし何か向こうで売って金にしないとな。」
船で各国を回る。カイトがそう王に伝えた時、王から旅路を案じ幾らかのお金を渡されていた。しかしそれは王子が貰う金額としてはいかにも少なく、船の整備など含めると数週間しか持たないであろうと思われた。
「まずは、隣の国のヤガワに行きましょうよ!あそこは、教養を重んじて多くの書物があるの。私はこの旅でいろんな書物に触れてみたいわ。」
メイド見習いであるサーヤは学問が好きで、この際にマキ国にはない書物を読み漁りたいという願望を持っている。
「ヤガワか。確か最近あそこの漁師たちの間で珍しい魚が上がるって話を聞いたなぁ。是非料理してみたいな。」
どうやらタツもヤガワ国に行くことに賛成のようであるらしい。