ヤガワ国
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「よし、ならそのヤガワに行こう。マギ国にあってヤガワにないものってなんだ?」
「ヤガワにないもの?うーん。領土かしら。ヤガワはイズル島の国々の中じゃ最も小さいし、内陸に通じる道は山々に囲まれてて不便だって聞くわ。」
サーヤは腕を組みながらカイトの質問に答える。
「そういえば、うちとは違って絹の生産があんまりないらしいって聞いたことあるけど。」
「なら絹を仕入れてから出港しよう。有り金のほとんどを注ぎ込むぞ。」
「「え!?」」
カイトの言葉にサーヤとタツが同時に反応する。
「ちょっと待って若様。タツが言ってるだけで本当かどうかわからないのよ!?それなのにお金を絹に使い込んでいくなんて、もし向こうで売れなかったらどうするの?」
「まぁなんとかなるさ。まずは風まかせ。俺は早くこの大海原を渡って商売したいんだ。」
カイトは隣で慌てる2人をよそに海を見ながら笑っている。
「ちょっと、タツ!もしアンタの言ったことが間違ってて露頭に迷うようなことになったらぶっ飛ばすからね。」
「そんなぁ~」
「さぁ2人とも、早く買い付けてでるぞ。それとこれからは若様はやめてくれよ。あくまで正体は隠していく。これは王様の命令でもあるんだ。」
「わ、わかったわよ。仕方ないわね……カイト。」
「あ、サーヤの顔が赤くなってる。」
その後、頭にたんこぶができたタツとサーヤと共に3人は無事に絹を大量に仕入れ、ヤガワ国へと向かっていった。
ヤガワはまことに小さな国である。領土の広さでいえば、イズル島の中で最も狭く、人口もマギ国の半分、数万人と言った程度である。
しかし、そんな小さな国が300年の間独立を保ち続けることができたのは「技術」があったからである。製鉄、綿や皮の加工、器などの美術品など豊かな感性と知性が蓄積され、それらは盟主ヨゴダ国や近隣の国々からの注文が殺到するほどであった。
しかし、この国は万年金欠な国である。資源を常に他国に依存し、また食物の多くも輸入に頼らなければならないのである。
カイトたちはそんな、質素でも知的な職人たちの国に到着しようとしていた。
「ここか。ヤガワ国。初めての国外だ。漁港にはそれなりに活気があるな。」
カイトは船を止めた港の近くには、多くの漁船が停泊し、魚の積み下ろしを行なっている。
「おぉ!カイト、行ってみようよ。きっと新鮮で美味しい魚が手に入るよ。」
目を輝かせながら漁船を見つめるタツにサーヤは、
「何行ってるのよ。ヤガワに来たことあるのはあんただけなんだから、さっさと上陸して絹を買ってくれる相手を見つけてきなさいよ。じゃなきゃ私たちも降りられないじゃない!」
と、揺れる船の上で腕を組みながらタツを行かせようとする。




