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厨二病か脳筋か。それが問題だ  作者: 椰子ふみの


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7/7

プライムクラス

「いいか、退学等で卒業できなかった場合、ひよこ隊に逆戻りだ。小さい子どもと一緒に訓練を受けてもらう」

「だ、団長、それはない」

「何がないって」


 団長にギロリとにらまれ、俺は震え上がる。

 ああ、行きたくなかった学校。好き勝手なことをして、退学になってもいいと思っていた。せっかく、ひよこ隊を卒業したのだから、早く正規の隊で活躍したかったし。その気持ちがバレていたのか、先に団長に釘を刺されてしまった。

 まあ、退学にならないように卒業するなら簡単だと思って、自分のクラスに行った。

 クラスの人数は少なくて二十人くらい。


「げ」


 俺の弟、マクシミリアンが真ん中辺りに座っていた。その周りに女の子が集まっている。モテモテだ。ふん、羨ましくなんてないから。

 男子生徒も半分ほどは弟の周りにいる。取り巻きなのか、女の子の集まっているところにいたいのか。

 俺は後ろの入り口すぐの席に座った。

 もうすぐ授業が始まるギリギリに女の子が駆け込んできた。街で迷子になった時、出会ったリリーさんのご主人だ。

 俺に気づくと、少し目を見張り、それから、目をそらした。うわー、助けたんだから感謝しろとまでは言わないけど、目をそらすのはやめてくれ。

 可愛い女の子だからか、弟が立って、横の席を指し示した。


「シェリル様、どうぞ、こちらへ」


まわりの生徒たちも道を開け、きっちりとお辞儀をしている。


「私は前がいい」


 そう断って、シェリルと呼ばれた女の子は俺の座っている列の一番前に座った。弟は後を追うか迷ったようだが、先生が入ってきたので、そのまま座った。

 担任の先生は痩せぎすで眼鏡をかけていた。


「ようこそ、プライムクラスへ。私は担任のストリクトスです。このクラスでは将来、国を背負って立つ人材を育てることを目標としています。そのため、授業は通常クラスより厳しく、成績不良者は退学処分になることもあります」


 え、厳しい? 成績次第で退学? 別のクラスに移動するんじゃなくて?


「推薦してくださった方を満足させるよう、頑張りましょう」


推薦が必要なクラスか。誰だ。俺を推薦したのは。団長か? それとも、おばさんか?


「それではまずは自己紹介をそちらから。家名もお願いします」


 先生が端に座っていた俺を指す。最初かあ。それにしても、家名付きって。校長先生は身分を気にするなって言ってたのにねえ。


「初めまして。辺境領から来ましたマックス・フィッシャーです。マックスと呼んでください」


 ペコリと頭を下げると、クスクス笑いが広がった。


「マクシミリアン様を真似た名前で堂々と。恥ずかしくないのかしら」

「辺境領って、ようは田舎者ってことだろう」

「マックスと呼べって平民みたい」

「なぜ、プライムクラスなの?」


 うわー、聞こえるように悪口。嫌な感じ。


「静かに!」


 注意したのは先生ではなく、シェリルだった。仁王立ちして、俺の悪口を言っていた生徒を睨みつける。


「あなたたち、陰でコソコソ悪口を言うなんて、品格のないこと、やめない? 昨日の校長先生のお話を覚えている方はいないの? 身分の差は問わないとおっしゃったよね」


 クラスのこの雰囲気の中、勇気がいるだろうに俺のために言ってくれたのか。シェリルに向かって、俺は小声で言った。


「あの、俺は気にしませんから大丈夫です。それより、俺をかばったことでクラスから浮いたら大変ですし」

「あなたの気持ちは問題じゃない」


 え? 断言されてしまった。


「たとえ、私の侍女に懸想するような変態相手であっても、このような態度をとるのは間違ってる」


 変態という言葉に生徒たちがざわつく。俺がリリーさんに惹かれただけですごい言われよう。子どもって、年上のお姉さんに憧れるもんでしょう。いや、俺は前世の年齢に好みが引っ張られているだけだけど。


「おっしゃるとおりです」


 マクシミリアンが立ち上がって、手を叩いた。いちいち、動作が大げさだ。


「みんな、これからは気をつけるよね」


 マクシミリアンは悪口には最初から反対だったような態度を取る。

 俺は見てたぞ。俺が悪口を言われている間、ニヤニヤ笑っていたのを。


「はい、気をつけます」


 生徒たちが頭を下げた。といっても、俺にではなく、シェリルに向かってだ。


「謝る相手が違う」


 もうやめておけばいいのに、シェリルが言う。正義感からか。


「姫様、申し訳ありません。時間がありませんので自己紹介の続きをさせてください。後から、私からも注意しておきますので」


 ストリクトス先生が頭を下げた。


「わかった。それなら、次は私だな。シェリル・デ・クライアン。足りないとよく言われる常識を身につけたいと思っている。これから、よろしく頼む」


 シェリルの自己紹介にみんなが拍手する。

 なんで? 可愛いけど、ちょっと変な子じゃないか。

 ちょっと、待てよ。姫様って呼ばれてたよな。

 クライアンって、王族の名前じゃん。そりゃあ、クラスから浮く心配はないか。

 そんなことを考えていると、シェリルが振り返って俺を見た。俺は思わず、ペコペコ頭を下げた。


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