第6話。主従関係。
エリザベスは誰も居ない所に移動をしていた。
そこはエリザベスの部屋であった。自分の部屋なら。
誰にも邪魔されないだろうし、少しの独り言なら。
大丈夫であろうと思ったエリザベスであった。
今、エリザベスと悪魔の対話が始まる!
エリザベスは真実を知る事になる……。
エリザベスは部屋に戻っていた。扉を閉め鍵を閉める。そして丸型テーブルの所に行き、洋式椅子に座る。エリザベスは小声で語りかける。
「悪魔よ、貴方は何者なのですか?いつ取り憑いたの!?」
『落ち着け、それに俺は悪魔ではない、人間だよ』
「あり得ないわ、声しか聞こえないもの」
『説明が難しいが、心の中で。と言う事だろ』
「ならば悪魔ね、悪魔は囁きで……」
『エリザベス、俺の出身地は「日本」だよ』
「ニッポン……?私と同じ文化の国なのかしら?」
『違う、まったくな、文化も経済も言葉もな』
「なぜなの?私は言葉が理解できるの?」
『それは、きっと転生のせいだろうなぁ……』
「転生?私には理解が出来ないわ、その意味が」
『説明するよ、かくかくしかじか。何だよ』
「貴方は……私なの!?信じられないわ!」
『俺は被害者だ、エリザベスと呼ばれたからな』
「被害者?こっちの事だわ、私が被害者よ」
『エリザベス、歳はいくつだ、今年で?』
「レディに歳を聞くのね、失礼な悪魔ね」
『俺には名前がある、島優て言うだよ』
「ゆう……変な名前なのね、変わった名前」
「15歳になりますわ、今年で16歳ですわ、ゆう」
『そうか、15歳か、若いなぁ〜』
「貴方が本当にエリザベスなら、どうして私は?」
『なぜ意思があり、二つの魂があるのか?』
「あの男が貴方を私と思い、私の存在理由は?」
『そうか!あの男は転生に失敗したのか!』
「ごめんなさいね、意味が分からないわ」
『エリザベス、パラレルワールドの事を説明する』
パラレルワールドとは。もう一つ同じ世界がある事を示す。だが決して同じではない。本来、死んでるはずの自分が居たら、もう一つの世界では存在している。
そして地球と似てるような世界でもある。その地球に似た沢山の時間軸を『マルチバース』とも言う。
「では私は貴方のもう一人なのですか?」
『複雑だが、俺が『前世』の頃はエリザベスだろ』
「貴方がどんなに女性が良かった事かしらね」
『ん?なぜだ?エリザベス?』
「考えてみなさい、お風呂、トイレも一緒なのよ」
『エリザベス、気にするな、その感覚は俺にない』
「どう言う事なのかしら?貴方は私なのよ?」
『エリザベス、一つ言わせてもらう』
島は詳しく説明した。島に出来るのは『心を見透す』事と相手の殺意。憎悪。憎しみ。の感覚を掴めるだけだと。エリザベスに説明したのである。
「私の事は見えてないのね!?」
『流石に鏡の前に立つと容姿は分かるけどな』
「良かったですわぁ〜気持ち悪いですもの〜」
『被害者なのに……俺……悲しいなぁ〜』
「私が主ですから、力を貸しなさい、ゆう!」
『ならば日本に帰れるように力を貸してくれ!』
「良いですわよ、共同戦線を結びましょう」
『所で、この世界には魔法はあるのか?』
「ありますわよ、魔法は貴族しか扱えないの」
『なぜだ?そんなに魔法は難しいのか?』
「違いますわ、国の法律で貴族と冒険者だけなの」
『そうか、そう言う意味だったのか』
するとノック音が聞こえてかる。「コンコン」と。エリザベスが扉に向かって話しかける。
「どなたかしら?応えなさい!」
「エリザベス様、私です、メイドのリリスです」
「部屋の掃除に来ました、数人を連れてきてます」
エリザベスは扉に近づき鍵を外して開ける……。
次回、第7話。メイドの中に紛れてる者?