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スミレ  作者: 氷水悠斗
2章 動く王国
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22/22

22話 サクラ・フォレスト

 1ヶ月でまた会えましたね!奇跡的にモチベーションが続いてくれました!


 そう明るく話していますが、ライトノベル劣化論に腹を立て、その腹いせに書き連ねていたらこうなっただけかもしれません。


 実際、話題となった彼の言葉は胸に刺さる所はありました。この作品のようにテンポが遅いとかですね。


 しかし、暴論じゃんそれ!とか思うところもありました。彼がライトノベルを本当に好きか理解に苦しみましたよ。


 さて、Twitterで見つけた話はこれぐらいにして、スミレの話に関わる変更点を書きます。


・調査隊隊員5人(全員男→男3人女2人)


 これは決して、今のご時世に配慮した訳では無いと予めお知らせ致します。


 長々と失礼致しました。

 さっきまでここらにシリアスな雰囲気が漂ってたというのに、分かりやすくゆるーい展開になったなぁ…


「ねぇ、聞いてる?」

「とぼけているんじゃなくて、本当に忘れたんですか!!」


 ああ、うるさい。分かってますよ、お嬢さん方。


「はいはいはい、冗談だよユタソルちゃん、何か数話ぶりだな。」

「まとめて呼ばないでよ!」

「普通に傷付くこと言わないでください!」



 一応紹介しておくぞ、シリアスな雰囲気ぶち壊しつつ、堂々現れたのは、ユタ・メリーとソルトレイク・メリー。


 この世界で初めて会った人間、助けた人間だ。


 一緒に風龍討伐を──いやコイツら怒らせたりフラグ立てたりしかしてねえ──した後、龍肉たいらげて今の今までぐっすりだったようだ。


 寝すぎだ。何時だと思ってる。


「おはようございます、ユタ様、ソル様。」

「ああ、おはよう、ミナさん。あの魔法、あなたがやったの?」


 気付かないんだなぁ、今地に伏してる人らに。


 もう1人の方を見習えよ、倒れてる人をちゃんと見て───ん?何故そんな驚いた顔をするんだ。

 ジョン・スミス(自称)に見覚えがあるのだろうか…


「いいえ、私にはそんな精密な魔法陣の構築、制御は出来ません。」


 ま、情報局長自ら他国に潜入してそうだからな…会ってる可能性は十分に有り得るだろう。


「え?じゃあ他の子?」


 ユタが他の金髪3人衆を見るが、全員首を横に振っている。


 お、まさかという顔で俺を見てきた。

 はぁ…ここで頷ければカッコよかったんだがな…


「全然違う、出来るかんなもん。」

「そうよね、やっぱり」


 ぐにに、事実だがなんか腹立つ。

 ユタは困惑し、テンプレートな言葉を吐いた。


「じゃあ一体誰が…」

「うわぁあぁぁ!!!」


 突然、ソルが叫びながらユタに抱きついてきた。

 その顔は恐怖に包まれており、視線はとある方向を示している。その先には──あ


「どうしたのよ、ソル。甘えたくなったの?」

「っ…!っ…!」


 呑気なユタに対し、ソルは必死に()()がいる方向に指を向ける。



 ああ、笑ってしまいそうだ。


 配下たちはソルに同情の視線を送っていた。


 俺は我慢出来ずに、あの言葉を叫ぶ。


「ユタスケ!あれを見てみろ!!」

「誰がユタスケよ!別に何もな───ええええええっ」


 彼女が目にしたものとは───は?


 …片手倒立をしている悪魔だった。

 何やってんの、とでも聞きたくなったが、ソルが構えているのがアレより気になる。


「…えと…何してんの?」


 その言葉にぴくりと肩を動かし、N(ノン)P(プレイヤー)C(キャラクター)のようにぎこち無く首を動かして笑みを浮かべた。


「一か八か仕留めるんですよ!…そうすればもう死にかけることなんて…へへへ」



 無謀にも程がある!化け物に旧型機で特攻するみたいなもんだぞ!

 火柱見えなかったのか?



「へへへ、首とったら血液採取して、指を1本1本…」

「やっぱお前サイコパスだわ」

「サイッ…またそれですか!あと紅悪魔(クレナイ)が目の前にいるのに何でそんなに落ち着いているんですか!!」

「そ、それはだな…」


 こいつ…答えにくいこと聞いてきたな…


「俺にも教えて欲しいな」

「…ああ…おはよう…ジョン」


 いつの間に起きてやがったか…縄も自力で解いてやがる…

 後ろの隊員も目だけびっしり向けてくる…


 助けを求めようと、ちらり配下を見るが、彼女らもそう言えばと俺を見てくる…


 どうする…説明するか…?


「いで」


 盛大に倒れた弟と目が合った。

 黙ってサムアップ。"任せる"ってことかよ…



 ええいままよ!やってやろうじゃねぇか!



 俺は、あの時のことを思い出しつつ言葉を紡ぐ───













───「兄弟って明かす?どういうことだ?」


「いやぁ、兄さんは"両親死亡森林の民系男子(童貞)"て話したんでしょ?」


「童貞は余計だ。…まぁ…そうだけどさ…」


 渋々認めた俺を指さしサクラはキメ顔で言ってくる。


「僕が"この世界"で死んで悪魔に転生した!ってすればいいと思うのよ。」


「ふむ…確かに魔獣にやられた云々言えば、何とかなるだろうな。」


「ま、異世界から来ました、て言えばもっと楽なんだけどね。」


 肩を竦めつつ、悪魔は笑い、顎に手を当てた。


「それにしても、スミレ・フォレストか…懐かしいな…」


「はは、覚えてたのか。」


「勿論。それなりに面白かったもん。」


「そっか…で、お前はなんて名乗るんだ?」


 その問いにサクラは一呼吸置いて、こう答えた。


「僕は───













────サクラ。サクラ・フォレストさ。兄さんの言う通りだよ。」


 俺のたどたどしい説明の後、弟は名乗りをあげた。

 調査隊一行はあからさまに疑っているようだが、その他はすんなり納得したらしい。

 なんか良心が痛む。



「なるほど、どうりで()()()()わけね。」

「「…はぇ?」」


 ユタのつぶやきにサクラと共に首を傾げる。

 ミナたちに縄を解いて貰いながら、調査隊副隊長、ミーシャ・レフトマーズ(自称)が続けてくれた。


「クレナイ──正確には紅悪魔(スカーレット)のような上位(グレーティスト)悪魔族(デーモン)は、殺戮や虐殺を好む恐ろしい者ばかりなんです。」


「ソルかな」

「私そんなこと好きじゃないです!てか、サイコパスってそう言う意味なんですか!て聞いてますか!!」


「ねぇねぇ、"スカーレット"が僕の種族名?クレナイ呼ばわり拒否るけど、スカーレットなら格好良いからいいよ!!」


 ()()()()の妄言や、硬い鎧をポカポカ叩くソルを無視して、いつの間にか立ち上がっていた調査隊たちを見る。



「で、これからどうすんだ、お前ら。」


 国からは実質追放で、()()()()()という鎖からも解かれたこいつらは自由の身だ。


 助けた側というか、一個人の興味というか、どう生きていくか気になる。

 気になって夜も眠れんほどでは無いと言っておくがな。



 俺の問いに真っ先に答えたのは、調査隊長ジョン・スミス(自称)だった。


「俺はメリックに行って、エイルフッツの情報を全て吐き、()()()の準備をするさ。」


 やだ怖いこの人。恩返し言う時、人の悪い笑みが出たぞ。


「恩返しって…戦争に参加するのですか!最悪の場合、死にますよ?」


 ソルが心配する母親のように言うが、それに対し笑って答えた。



「覚悟の上()()()。それに、売国奴ってのも正直面白そうだしな…ふふふ」

「…気持ちは分かる。」

「それな。」


「男ときたら…」


 同意する俺とサクラにユタが肩を竦めた。



「で、君はどうするんだい?」


 今度はサクラがミーシャ(自称)に問う。

 彼女は笑いながら答えた。


「私は隊長に着いていきます。隣に居ないと、駄目になっちゃいますから。」


 その言葉に隊長は不満げだ。


「おいおい、どういう意味だ、それ。」


 真っ直ぐに顔を見られ、目を逸らし、何故か頬をほんのり染めつつ、ぽつりぽつりと呟いた。


「えと…私が…ダメに…なる…という…えと…」

「何だって?」

「あなたが馬鹿だからですよ!!この馬鹿!!童貞!!」

「あんだとごら!あと童貞じゃ…」

「えっ…」


 何故かショックを受けたような顔をして──ってあからさますぎねぇ?見てるこっちが恥ずかしい。

 沈黙に耐えられなかったのか、隊長(童貞)は下を向いた。


「…調子乗りました…童貞です…」

「…ほ」

「何で安心してんだごら!!」

「うっさい!!うるさぁぁい!!」


 ああもう結婚しろよ。

 配下たちも微笑ましく見てるし…サクラも───は?


「サクラ、ステイステイ…どうどうどう…」

「…あ、ごめん…発作で」

「発作で魔法放とうとする奴があるか!!」

「…すみません」



 やっぱ悪魔だわ。今も昔も。

 サクラはリア充嫌悪が根深いからな…監視しておかねば、あの鈍感隊長と一途副隊長のイチャコラに耐えきれず暴走すっぞ…



「で、だ。お前らはどうすんの?」


 振り向きつつ、ほぼ忘れられていた隊員たちを見る。

 まず、最初に立ち上がった男。


「殺されそうになったのが、悔しいので、聖帝国の軍に志願します。」


 その目は決意の光を放っていた。

 止めるのも難しそうだな。


 しかし、呪いで殺されかけるとは、考えただけでも恐ろしい。

 地球にそんなもんなくて本当に良かった。



 他の4人というと


「料理店開きたい。食べるって楽しいじゃん。」

「教師になりたいです。免許を無駄にしたくないですから。」

「冒険者でいちから…いやゼロかr」

「はい黙れ、お前は?」


「私は…隊長たちに着いていきますわ。…2人の恋模様を元に…物語を…ふふふふ。」


「「「「「うっわあ…」」」」」

「「?」」


 …そ、それぞれ個性があって結構だな、はは。


「さて、サクラ・フォレストよ…いや、様。」


 隊長──ジョン(自称)は改まって悪魔を見て、膝をついた。

 その想いは同じなのか、部下たちも同方向を見た。


「呪縛を解いて下さり、ありがとうございました。」

『『『『ありがとうございました。』』』』


 一同、一糸乱れぬ動きで頭を下げる。

 既視感が…あぁ、ミナたちか。


 サクラも俺と同じく、いやそれ以上に慣れてないのか、紅くなった頬をかいている。


「この礼は、必ず。」


 そう整った仕事人の顔を無自覚で放ってくる彼が恐ろしい。


「あぁ、いつかね。」


 顔を向けず、悪魔は答えた。



 …潮時かな。


「うし、じゃあ拠点に…」

「あの、スカーレットさん。」

「…やっぱ恥ずかしいからサクラでいいよ、で何かな。」


 ソルがおそるおそる──ソルだけにってか…ここ、笑うとこだぞ──悪魔へ質問した。


「メリックに行くんですよね…」

「そうだけど、何か問題が───あ」


 サクラは納得したようにポンと手を打った。

 アホ毛もピンと立っているのも面白い。


「宗教的なアレか?」


 彼女は首を縦に振る。

 てかそもそも普通に赤髪赤背広は目立…いやいや、ヒアイズアナザーワールド。

 原宿若人(わこうど)のような赤髪も有り得るだろうよ。



 俺の弟だと知って安心したのか、ユタは軽く話しかける。


「ねぇ、姿変えられない?」

「うーん、やってみっかぁ……よっ」


 彼の足元に青い魔法陣が現れる。

 本当にあっさりとこなすなあ…


 それにしても慣れすぎている。召喚(サモン)されるまでに一体どんな人生──悪魔生を送ってきたのか。


 俺は小声でミナへ問う


「なあ、俺らと上位(グレィティスト)なアイツの差っていくらよ。」

「足元にも及びません。」

「…なるほど」


 魔術に夢中な彼女は、目を奪われつつ震える声で答えた。

 悪魔と人間は、天と地の差らしいな。


 それが人間に化けて同じように笑うのか。

 何だか複雑、そう術が終わり現れた、腐るほど見た昔の弟の姿を見てそう思った。


「ほう、髪も目もあの頃のままだなぁ。」

「でしょ?結構頑張ったんだ。この冒険者風の服もさ。あ、鑑定妨害もしたけど、効いてるかな?」


 そう、俺の弟だとハッキリ実感する姿になったサクラの問いに、ジョン(自称)は目を見開く。



「…あぁ、人間と出ている…俺の()でもそう見えるとは…」


 目をチカチカさせながら、ブツブツとボヤく。


 よし、今度こそっ


「というわけで、拠点で準備して出発しましょう!!聖帝国メリックへ!!!」


「「「「「「応!!!」」」」」」


「俺のセリフだろ!!」

「えへへ」


 振り向き舌を出すステンノに溜息をつきつつ、俺は後を追った。

 お察しの通り、段落という概念を覚えました。


 次回は恐らく2022年になるでしょう。


 この予告が嘘になるよう頑張ります。

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