1話 全ての始まり
異世界転生。
その類いのラノベをほとんど毎日のように読んでいる。
かと言って成績や運動神経が悪い訳でもなく良い訳でもない。
何の長所と短所もない、強いていえば父が医者というちょっとリッチな男子高校生。
それが俺だ。
今日もいつも通りに授業を終え、俺1人が暮らす一軒家へ向けて、のんびりと歩いていた。
いつもは隣に同じ高校へ進学した弟がいるのだが、今日は俺が日直のため、別々に帰るということになっていたのだ。
おっと失礼。このような場面では名乗るべきだね。
俺の名前は...
しかし、言う前に俺のスマホが騒ぎ始めた。
自己紹介ぐらいさせろや...てか誰に話してんだ俺...そんなことを思いつつ、スマホを開く。
病院に居る滅多に電話をかけて来ない父から、電話が来ている。俺は珍しいなと思いつつ、電話に出た。
「もしもし。」
「おお!繋がった!...む、息子よ、落ち着いて聞いてくれ。」
あんたが落ち着けよと思いつつ、次の言葉を待つ。
「お前の弟が事故に遭った。」
「...はぇ?」
突然の出来事により、眠い目が覚める。
「嘘...だろ...」
「現実だ...今あいつは意識不明の重体だ。俺たちが手を尽くしているが...」
「そっちへ向かう。」
「ちょっ、待ってく...」
父が何か言いかけていたが、電話を切る。そして、俺は病院へと走り出した。
弟が事故に遭うなど信じられない。あってはならないのだ。俺は、無意識に流れた涙を垂れ流しつつ、ただただ走る。
途中で片側2車線の道路同士の交差点に来た。この交差点を渡ればすぐだ。
かといって、信号無視など言語道断。
青になるまでしっかりと待機する気でいたが、丁度青に変わったので左右を確認しつつ、横断歩道へ突入した。
すると突然、赤信号を無視してトラックが突っ込んできた。宙に浮く感覚、全身の痛みなどが脳内に流れ込んでくる。
俺は宙に浮いたまま、トラックを見ると、紫の禍々しい謎のオーラが出ているのが見えた。
しかし、直ぐに地面に叩きつけられる。俺の周りに血溜まりが広がっていく。あ、これ死ぬやつだわ...ふと空を見ると、綺麗な青空が広がっていた。
力を振り絞って俺は呟く。
「嗚呼...綺麗な...空。これが、俺の...人...生...か...」
そこで俺の意識は暗転した。




