第22話 ライトアイボリーフラワーレース Ⅶ (R-15)
※R-15な内容含みます。卑猥かつ、汚い絵面が浮かぶかと思います。そういうのダメな人はこの話は飛ばして下さい。そうしても問題ないように構成してあります。読み進める方は下へスクロールしていってください。
「こんな半端に終わりにするつもりですか! そんなのできないに決まってるでしょう! せめて、きりのいいところまで終わらせましょうよ。脱がされたパンツ、それも、コインランドリーでひっそり洗われて綺麗になった筈なのに、貴方の手汗でぐしょぐしょになった状態で返されて、説明全然足りないままに今日はお開きなんて一方的に言われて、納得いくわけないでしょ!」
自身の顔の前で、唾の掛かる距離で、そう言われた彼は、そう言われて、反省し、再び席に着く。彼女も。そして、一旦彼女が怒りを沈めて落ち着くまで待った上で、彼女がまた、丁寧な口調で話し始めた。
「全部終われば万々歳ですし、これまでのことはお互いに全部無かったことにしましょう、という終わらせ方もできるかも知れません。少なくとも、お互い、こんなに不安で不安で仕方無くて、恐らく今日は眠れないだろうなっていうのは避けられるでしょう。はぁ……」
そして彼女は溜め息を吐きながら肩を落とす。
「分かったが、それなら、家に連絡してくれないか」
「何でそういう気は回るのに…―、ぁああああああああ! もういいです。でも、ありがとうございます」
と、よく分からない怒りを露わにしつつも、彼女は彼に気遣われたお礼を言った。
「恐らく、君が聞きたいことを、ストレートに言ってくれれば一番早いと思うんだが。それに対して、君が納得いくまで俺に聞いてくれればいい」
家への連絡を終えた彼女に向かって彼がそう言うと、彼女はこくり、と頷いて、
「だって、本当に、分からないんですよ……。貴方が……」
そのそもどうしてここまで拗れているかの原因が、それ。
「俺もだ……」
お互いに。
「貴方は私にエッチな目線を微塵も向けない……。そういう目線、慣れてるんで分かるんです。逆に貴方は、私を見て、リラックスしてるんです。顔を舐め回すように見たりもしてません。ずっと私を凝視している訳でもありません。自然な感じで、私の目の奥を覗くように、見てました。目の奥を覗くのは、貴方の癖らしいのは、駅員さんや警官さんとの遣り取りで分かりました。貴方にさっき抱き着いたのも、確かめる為です。貴方の鼓動は、私に抱き着かれて、一瞬大きくなりましたが、直ぐに小さくなりました。抱き着く前よりも。胸に埋もれたからじゃないのは確か。胸には結構自身あるんですけどね……」
彼はそれを聞いて、躊躇せずに、答えた。
「君の匂い。俺は匂いフェチで、君の匂いは俺にとって、とても心安らぐ香り。そういうことだ。気持ち悪い答えだが、それが真実だ」
「……。じゃ、じゃあ、もし、キミが返してくれたこのパンツ、キミにあげるって言ったら……、欲しい……?」
物凄く不安そうな表情で、丁寧口調を崩して、彼女がそう尋ねてきたが、
「……。ああ……」
彼はそう言う他無かった。彼は彼女にそう言われた瞬間、一瞬自身の目が見開いてしまったことを自覚していたから。そして、彼女が口調を崩しがのが意図的なものだと気付いていたから。
「正直に答えてくれてありがとう……。でも、あげられないよ」
彼女の警戒が緩まった証だろうと、彼女が丁寧語をすっかり止めたことについても、呼称が変わったことについても、彼は突っ込まない。
「分かっている……。黙って持って帰らず、洗って返したことが証拠だ。それに、さっきも言ったが、鞄も教科書も、お茶注いで匂い混ぜ変えたから、心配ない。この通り、俺は君に卑猥なことをするつもりは一切無い。今日のことを誰かに言うつもりも一切無い。信じて、くれ……」
(そうだ。そうやって、ひたすら真摯に対応するんだ。それしか、無い!)
そう、祈るように彼は彼女に頭を下げる。
「いいよ」
余りにもあっさり信じて貰えて、拍子抜けした。そして、
「けれど、キミが私の何が分からなくて今不安なのか、教えてくれたら、ねっ」
明るく笑いながら彼女がそう言ったので、彼の気は緩み、最後の最後、自分ですら分からない気持ちを吐露し始める。
「俺が犯した罪を君が許してくれるかどうか。許してくれる筈が無い、と、俺は思っていた。不安で堪らなかった。何故かは分からないが、君に許して貰えず、罵倒され、軽蔑され、恨まれ、拒絶され、怯えられるのが、脳裏に浮かんだんだ……。そうされて当然のことをしたというのに、崩れ落ちそうになったんだ……」
「大丈…―」
すぐにその心の十字架を取り除いてくれようとした彼女の言葉を遮って。
「俺は罪人だ。あの痴漢男以上に、君に対して卑猥だ……。俺は、恐らく、忘れられない……。限りなく真近で、濃厚に籠もった君の匂いを、吸ってしまった時に……、くっきりはっきりと、刻まれてしまった。目に、鼻に、脳に……。君の靴と靴下を脱がしたときに感じた背徳感からも、そうなるって気付いて、一度ブレーキを踏むできだったんだ……。そして、俺は、君のスカートの中に顔をうずめ、君のおしっこパンツに目隠しのまま接近してしまった。『向日葵に似た甘い匂い、甘み強めの酸っぱいミルク混じりのより皮膚に近い部分から出る匂い……。酸っぱく、甘く、少し苦く鼻を衝くアンモニア臭のような……。いや、考えるな、感じるな、気を紛わせろ……。……無理、だ……。俺は、この匂いに抗えない……。体の自由無き今は……。そもそも、彼女の匂いは俺の好みな匂いだ……。どちらにせよ、逃れられは、しない……。俺は……、変態、だ……』」
早口で垂れ流すように、言葉にし、その時の感情をトレースするかのように想起したものを言葉にしてしまう……。
「大丈夫。それは、私だって、同じだから」
「……、えっ……?」
「キミ、私に局部、見られてるのよ。それも、堂々オシッコ出してるのを。私は息を殺して、じいっと見てた。窓の向こうからひっそり、じっと、見てたの。ああやって出るんだなぁ、とか、あんなに太く長いものなんだぁ、とか、あんな形してるんだ、とか。この年頃で、そういうのに、一切興味がない女の子なんて、レズ以外なら、いないよ」
「えっ、えっ?」
彼はその謎展開に全く頭がついていかなかった。
(そんな情報暴露されても、扱いに困るんだが……)
それでも彼女は続けるのだが。
「だって、キミはこんなだけど、私を助けてくれた、王子様なの。マンガの中にしかいないような、真っ直ぐな王子様。何かズレてて、そして、変態さんだけど。それでも、刃物振り回す痴漢に一切怯まないで、斬りつけられても退かないで、あり得ない位に爽快に、私を強姦のピンチから救ってくれた。そんな素敵な人、いないよ。赤の他人を一度ならず二度も助けてくれたんだよ。それも、二度目はそんな大ピンチから。とっても危険な目に遭って。まぁ、そこから後は、兎に角ダメダメだったけども。けど、さ、そんなダメダメなところを差し引いても、キミは私にとって、白馬に乗った王子様なの。王子様なんている訳ないって諦めてた。けれど、本当にどうしようもないときに、王子様は私の前に現れた。それが、キミ。だから、私がキミを嫌に思ったりなんて、する訳ないのっ! キミの王子様ムーブに比べたら、私のおしっこなんて、パンツなんて、匂いなんて、幾らオカズにされても、パンツやおしっこお持ち帰りされてても、あの場でキミに手出されてても、安いもんだよ! 寧ろ、手出されてても、別に、良かったんだよ」
そうやって、頭の捻子数本外れた感じで、彼女は彼以上に自身を暴露して見せた。




