第21話 ライトアイボリーフラワーレース Ⅵ (R-15)
※R-15な内容含みます。卑猥かつ、汚い絵面が浮かぶかと思います。そういうのダメな人はこの話は飛ばして下さい。そうしても問題ないように構成してあります。読み進める方は下へスクロールしていってください。
「分かった。全て、明かすと約束、いや、誓おう。もし、嘘だと思ったなら、今回の件について俺を煮るなり焼くなり、好きにしてくれ」
迫った彼女に対して、出た言葉がこれでは、暖簾に腕押しである。
「……。じゃあ、それでいいです……」
だが、少なくとも彼は嘘を付かないだろうと判断した彼女は、最低限意志は伝わったのだから、と、譲歩した。涙を拭いながら。
「だが、君の方から、頼む。今のままだと、まともに喋れそうにはない」
彼女にとって、彼による二度目の救済は、途中までは、白馬の王子様的であり、彼は彼女にとっての英雄そのものだったから。
そう。途中までは。
「私が目を覚ましたのは、貴方が私のパンツを脱がそうとしていた時、です。生暖かさと、すぅっとした冷たさを感じて。まだ意識がぼんやりしていて、体に力が入らず、訳が分かりませんでしたが、取り敢えず、貴方が、私にやましいことをしようとしている訳では無いというのは、貴方が目隠しをしていたことで分かりました。もし、このとき私が朦朧としておらず、貴方が目隠しして息を荒げないで慎重でいなかったら、きっと私は泣き叫んで、絶望することになったでしょう……」
彼女は、彼が彼女のスカートに潜ってパンツを脱がすときも、彼女に自身の体操服の半ズボンを穿かせる時も、意識があった。見ていた。しかし、彼は視界を遮断していた。劣情をこちらに抱いていないように、彼女には見えた。そういうことだ。
「……。目を覚ましていたが、動けなかった、か……。起こそうと揺すったときは全然起きなかったというのに……、自然と覚めるときはあっさり、か……。君を起こすことを、もっと優先すべきだったよ……」
「ですが、あの地点で、時間は殆ど残されていなかった。貴方は、私が漏らしたことを他の人たちにばれないようにすることを優先してくれたんですよね。見てたんですから、分かります。貴方が、私が起きてることに気付かないか、不安で堪らなかったですが……。貴方が豹変して、変なことされないか、怖く手怖くて堪らなかったですが、ギリギリまで細めた目で見ていて、貴方は紳士でいてくれるみたいだってちゃんと分かりました」
「……」
(この様子だと、かなり念入りに見られていた、ということだろう)
彼の沈黙で、自身が嘘をついているように思われているように感じた彼女は、声を張り上げた。
「だって、そうじゃなかったら、流石にあの場から逃げ出してますよね……? それに、三両目に運ばれるときとかも、運転手兼車掌さんがいる一両目から離れていくのが分かりましたから、やはり、怖かったですよ……。絶対に何もされない、だなんて、心の奥底から信じ切るなんて、無理、ですから……。でも、貴方は私を優しく椅子に座らせてくれました。床に寝かされるでもなく、スカートを捲られ、ズボンをずり降ろされるでもなく、貴方は、未だ気を失っていると思っている私に優しく微笑み掛けて、覚悟を決めたような顔をして、二両目へ戻っていきました。そこから貴方がやったことは……、あっ……」
そして、彼女は顔を真っ赤に染める。もう黙っている訳にもいかなくなった彼は、彼女に問う。
「見てた、のか……。あの惨状を……」
「見て……ました……。男の人って、あんな風にやるんですね……。それに、大きくて、勢いも、凄…―」
とても卑猥なことを言っていると途中で気付いた彼女は、言葉を切って、顔を抑えて、蹲る。
(……。俺も恥ずかしがるべきなんだろうが、全くそんな気にはなれない……。どう考えても、俺がこの子にしたことの方が、卑猥さのレベルが、上だ……。それに、)
「……。いいや、俺の一物とションベンするところ見たことなんか、俺が君にしてしまった事と比べたら、些細なものだろう? 君のオシッコ、拭いたり、パンツ脱がせて、自分の体操ズボン直接穿かせたんだぞ……。……。それより、あの残虐行為、君が見てたかと思うと、そっちの方が責任、感じるよ……」
(あの残虐行為見られてる。なら、この子からしたら、俺はあの痴漢男以上に危険な奴と認識されて、当然じゃあないか……。そもそも、この子の羞恥を、俺は見ている。知っている。それだけでこの子を好きに強請ることが可能だろう……。金銭的にも、性的にも。何だって、やらせられる位に。それに加え、俺の残虐性が上乗せされる……。なら……、)
少年は彼女をフォローしながら、彼女とは逆に、青褪めて頭を抱えた。
(どうして、こんなのも真っ直ぐ俺に対峙しているんだ、この子は……? 逃げる仕草どころか、怯えもせずに……。警戒しろよ、もっと……。そういう危険人物だろうが、俺は……。つい今まで、君から剥ぎ取ったパンツを持ってたんだぞ……。ついさっきまで、君からパンツを気絶してると思って脱がせたことを嘘で誤魔化してたんだぞ……。侮辱してくれよ、軽蔑してくれよ、恐怖してくれよ! こんな風に、気遣われるなんて、絶対に、間違っている……!)
再び彼女が話し始めて暫くして。
「駅に着いて、水洗いした私のスカートを私に穿かせてくれてから起きたのは、それが一番いいタイミングだと思ったから。駅員さんや警察官さんがいる前でパンツのこと話に出さなかったのも、女性警官が私を着替えさせてくれたっていう貴方の嘘を指摘しなかったのも、恥ずかしかったっていうのもあるけど、曲がりなりにも私を助けてくれた貴方に仇を返すなんてしたくなかったから」
彼は核心に迫る機会を与えられた。
「ということは…―」
だからそうやって、その導火線に火を付けると、
「そう。貴方が鞄に私のパンツを入れてるの、知ってました」
彼女は言い澱むことなく、核心をぶちまけた。
「……。鞄と中身は全部取っ換えする。一応、既に、鞄ごと、お茶注いで匂いは上書き変質させたが、鞄と教科書は買い直し、ノートは新しいのに移し直し。そして、捨てるやつは、ゴミ袋に入れてごみ捨て場に置いてごみ収集車に入れられて運ばれていくまでを録画し、君に見せるよ」
すると、
「……。貴方が私のパンツ、鞄に入れたままにずっとなってるって気付いてたって言った意味、分からないの……?」
彼女は冷たい目をして、きつい口調でそう言った。
(分からねぇよ……。過去の俺も、今の俺も……)
そうして、再び二人は沈黙した。
「ごめんなさい。母から着信入ってます。流石にそろそろ帰らないと不味そうです」
彼女は携帯端末の着信拒否ボタンを押しながらそう言った。
(おい……。着信拒否したってことは、未だここで話を続けましょう、ということだろうがぁ……)
「そうか、じゃあ、ま…―」
「未だです!」
彼女は、立ち去ろうとした彼の手を引っ張り、大きな声でそう言った。




