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フランチェスコとその友人たち  作者: はまゆう


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第三話 ベルナルドの施し

数日後。


アシジの広場には朝から人々が集まっていた。


空は晴れ渡っていた。春の陽光が石畳を照らし、暖かさが街の隅々まで行き渡っていた。冬の間閉ざされていた家の窓が次々と開けられ、人々は久しぶりの暖かさに顔を上げて歩いていた。


商人。職人。農夫。物乞い。未亡人。孤児。巡礼者。誰もが噂を聞きつけてやって来たのである。あのベルナルド・ディ・クインタヴァッレが——アッシジで最も裕福な男の一人が——すべての財産を売り払い、貧しい人々に与えるという。それはあまりに荒唐無稽な話だった。だからこそ、人々は自分の目で確かめずにはいられなかった。


「ありえない」


肉屋の親父は首を振った。


「あの堅物のベルナルド様が?」


「狂人の仲間入りか」


パン屋が肩をすくめた。


「フランチェスコに感染したんだ」


誰もが笑っていた。誰もが首を振っていた。しかし足は自然と広場へ向かっていた。その笑いの裏に、かすかな緊張があった——もし本当なら? もしあのベルナルドが、本当にすべてを捨てるとしたら?


そんなことはありえない。誰もがそう思っていた。しかしそれでも——心のどこかで、もしも、と思ってしまう。その「もしも」が、人々を広場へと駆り立てていた。


ベルナルド・ディ・クインタヴァッレは街でも指折りの富豪だった。


立派な館。石造りの二階建てで、正面には柱が並び、中庭には井戸と果樹があった。壁には織物が掛けられ、床には敷物が敷かれていた。


広い土地。アッシジの周辺に幾つもの農地を持ち、小作人たちが小麦やオリーブを育てていた。


豊かな葡萄畑。ウンブリアの陽を浴びて育つ葡萄からは、毎年良質の葡萄酒が醸された。


金貨の入った箱。何年、何十年とかけて蓄えられた財産は、数えるだけで一日が終わると言われていた。


代々受け継がれてきた家財。曾祖父の代から使われているテーブル。祖母が大切にしていた宝石。父から譲られた剣。


誰もが羨む暮らしを持っていた。何不自由ない生活。欲しいものは手に入る。困ることは何もない。それがベルナルド・ディ・クインタヴァッレという男の人生だった。


その男がすべてを手放すという。


広場の中央には机が置かれ、帳簿が積み上げられていた。分厚い革表紙の台帳。何年分もの取引記録。そこに記された数字の総額は、アシジの誰もが息を飲むほどのものだった。


ベルナルドは静かに立っていた。背筋は伸び、顔は正面を向いている。かつて彼が商談の席で見せていたのと同じ姿勢だった。しかし何かが違った。その目の奥に、以前はなかった光が宿っていた。


その隣にはフランチェスコがいる。相変わらず粗末な衣をまとい、素足で石畳に立っている。群衆の中から嘲りの声が上がっても、彼は気にしなかった。穏やかな顔で人々を見つめていた。まるでこのすべてが、神の計画の一部であるかのように。


「本当にやるのか」


群衆の中から声が上がった。中年の男だった。ベルナルドの商売仲間の一人である。


「気でも狂ったのか」


別の者が笑った。その笑いはすぐに広がり、あちこちから嘲笑が上がった。しかしベルナルドは怒らなかった。むしろ少し微笑んだ。


ほんの数日前まで、自分も同じことを思ったかもしれない。この男たちと同じように、フランチェスコを狂人と呼び、その生き方を嘲笑していた。自分には理解できなかった。なぜすべてを捨てるのか。なぜ苦難の道を自ら選ぶのか。


だが今は違った。


理解したわけではなかった。言葉で説明できるようになったわけでもなかった。ただ——見えたのだ。これまで見えなかったものが。それは言葉ではなく、むしろ光に近かった。フランチェスコの中に灯っていたその光が、今は自分の胸の中にもある。それだけで十分だった。


彼はゆっくりと口を開いた。声は低く、しかし広場中に聞こえるほどはっきりとしていた。


「私は主イエスに従いたい」


広場が静まった。


その静けさは、嘲りの消えた後のものではなかった。何か——人々の予想を超えたものが現れた時に生まれる、あの緊張の静けさだった。


「だから今日、私の持つものを必要としている人々へ返します」


——返します。


彼は「与えます」とは言わなかった。そうではなく「返します」と言った。それは偶然の言い間違いではなかった。ベルナルドは確信していた。この財産は本来、自分一人のものではなかった。貧しい人々のもの。神のもの。自分はそれを預かっていたにすぎない。そして今、それを本来の持ち主に「返す」のだ。


その言葉とともに、財産の売却が始まった。


---


土地。ここに記された農地のすべて。小作人たちには十分な補償が渡された。彼らは困惑した顔で金貨を受け取り、何度も何度も礼を言った。


家財。タンスや椅子や鏡——それらの一つ一つに思い出はあったが、それを手放すことにためらいはなかった。


衣服。彼が若い頃に仕立てた豪華な衣装の数々。絹の光沢。金糸の刺繍。かつてはそれを身にまとうことが自分の価値だと思っていた。今はただの布切れにすぎなかった。


家具。祖母が愛した古い長椅子。父が大切にしていた書見台。どれも良い品だったが、それらに縛られることはもうなかった。


銀器。客をもてなすために用意された高価な食器。何度も何度も磨かれたそれらは、まるで鏡のように輝いていた。


一つひとつが金に換えられていく。競りの声。値段を吊り上げる商人たち。やがて大きな袋に入った金貨が机の上へ積まれた。


陽光を受けて黄金が輝いた。


群衆がざわめく。


その額は莫大だった。ベルナルドの財産がどれほどのものか、正確に知っている者はいなかった。しかし誰もが——これは途方もない金額だと理解した。アシジの貧しい人々全員が一年間食べていけるかもしれない。いや、それ以上だ。


ベルナルドはしばらくそれを見つめた。


長年守ってきたもの。自分の地位を支えてきたもの。誇りでもあったもの。人生そのものと言ってもよかった。それらがすべて、今、黄金という形になって、机の上に山積みにされている。


だが不思議なことに、惜しいとは思わなかった。


昨夜まで胸を満たしていたものより、もっと大きな喜びが心の中にあったからだ。それは黄金の輝きよりもはるかに眩しい光だった。それは数えられる数字をはるかに超える豊かさだった。それは言葉にできない——しかし確かにそこにある喜びだった。


---


「まず未亡人たちへ」


ベルナルドは言った。


彼は自分の知っている貧しい人々を順に呼んだ。長年、彼は施しをしてきた。しかしそれはいつも「与える」という行為だった。自分は与える側。相手は受け取る側。その間には、見えない線が引かれていた。


しかし今日は違った。


彼は彼女たちの一人一人の顔を見た。名前を呼んだ。手を握った。彼女たちの苦しみを知っていた。夫を戦争で失った者。病気で失った者。あるいは単に——貧しさの中で消えていった者。


金貨が渡される。


女性たちは泣いた。涙を流し、震える手で金貨を受け取り、何度も何度もベルナルドの手を握った。


「神のお恵みがありますように」


「あなたは聖人です」


ベルナルドは首を振った。


「いいえ、私はただ——」


言葉が続かなかった。「ただの罪人です」と言おうとしたが、それはあまりに安っぽい響きがした。彼は黙って、次の人を呼んだ。


「孤児たちへ」


小さな子どもたちが集められた。親を失い、親戚に預けられ、あるいは街角で物乞いをしながら生きてきた子どもたち。彼らの目はどこか空ろだった。あまりに多くの悲しみを見てきた子供の目だった。


ベルナルドは彼らの頭を撫でた。金貨を一人一人の手に握らせた。ある少女が彼の手を握り返した。細くて冷たい小さな手だった。


「あなたは神様ですか」


少女が尋ねた。


ベルナルドは答えられなかった。ただ、その小さな手を握りしめた。


「病人たちへ」


寝たきりの者たちが担架で運ばれてきた。長い間、光を見ていない目。絶え間ない痛みに歪む顔。ベルナルドは一人一人の寝床を訪れ、そっと金貨を置いた。


「巡礼者たちへ」


遠くから聖地を目指して歩いてきた者たち。疲れ果ててこの街にたどり着いた彼らにとって、この施しはまさに天の恵みだった。彼らはベルナルドの足元にひざまずき、祝福を祈った。


袋は次々と軽くなっていった。


---


太陽は高く昇り、昼を過ぎても施しは続いた。


広場にはまだ人々がいた。朝よりも増えていた。噂は街中に広がり、見物人が絶え間なくやって来た。しかし彼らの表情は次第に変わっていった。最初は嘲笑だった。次に驚き。そして——ある種の敬意。


彼らは見ていた。一人の男が、文字通りすべてを手放す瞬間を。


ベルナルドの顔は変わらなかった。疲れているはずなのに、その表情はむしろ朝よりも輝いているように見えた。手渡す度に、彼は微笑んだ。それだけであった。しかしその微笑みが、受け取る者の心に深く沁みわたった。


フランチェスコはその傍らに立ち、必要な人々を見つけては静かに案内していた。彼は誰も追い返さなかった。誰も差別しなかった。ただ、順番に、一人一人をベルナルドの前に導いた。


その姿は喜びに満ちていた。


まるで財産が減っているのではなく、宝が増えているかのようだった。彼の目には、配られる金貨ではなく、金貨を受け取る人々の顔が映っていた。そこに彼は神の似姿を見ていた。キリストを見ていた。だから彼は喜べた。金貨が減るほど、神の国が広がっている——そんな感覚だった。


やがて最後の金貨が配られた。


机の上には何も残っていない。


袋は空っぽだった。帳簿の最後のページまで記入し終えていた。計算を担当していた書記が、ベルナルドに向かって静かに頷いた。


「以上です」


広場には静かな風が吹いていた。春の柔らかな風。どこからか花の香りが運ばれてきた。桃だろうか。杏だろうか。あるいは——野の花か。


ベルナルドは空になった袋を見た。それから自分の両手を見た。


何も持っていない。


本当に何も。


指輪も時計も財布も——すべてを彼は与えてしまった。ポケットの中は空っぽだった。


だがその時、彼はこれまでに味わったことのない自由を感じた。重い鎖が外れたようだった。長年、自分の首を絞めていた何かが、ようやく解かれた。呼吸が深くなった。肩の力が抜けた。世界が——広がった。


それは彼の人生で初めての感覚だった。


---


フランチェスコが近づいて来た。その歩みは軽やかで、ほとんど跳ねるようだった。


「後悔していますか」


ベルナルドは笑った。


「いいえ」


そして少し考えてから続けた。


「むしろ不思議です」


「何がですか」


「こんなに軽くなれるとは思いませんでした」


それは本当だった。彼はかつて思っていた——財産があることで守られているのだと。金があれば何とかなる。お金が不安を解決してくれる。そう信じていた。しかしその「守り」こそが、実は最も重い鎖だったのだと、今なら分かる。


フランチェスコは声を立てて笑った。その笑顔は少年のようだった。彼はかつて自分も同じことを経験していた。父親の家を出たあの日。すべてを捨てたあの瞬間。同じように感じたのだ。この言葉にできない、しかし圧倒的な自由を。


「主は良いお方です」


ベルナルドも笑った。声に出して笑うことが、こんなに気持ちいいとは思わなかった。広場の向こうでは、施しを受けた子どもたちが走り回っている。金貨を握りしめて、まるで宝物のように大切に抱えて。未亡人たちは何度も振り返り、感謝の言葉を口にしていた。


その光景を見ながら、ベルナルドは思った。


自分は何かを失ったのではない。


今日、初めて本当に何かを得たのだと。


それは金では買えないものだった。


地位では得られないものだった。


誰からも奪われることのない、永遠の宝。


彼は今、それを手にしていた——両手が空っぽであるという、そのことによって。


---


しかし群衆の中には、この出来事を複雑な表情で見つめる一人の男がいた。


石材商シルヴェスターである。


彼は広場の端に立ち、腕を組んでいた。年は四十を過ぎた頃か。がっしりとした体躯で、職人らしい頑健な体格の持ち主だった。しかしその顔には、職人には似合わない狡猾な光が宿っていた。


彼は積み上げられた黄金を見ていた。朝からずっと、目を離さずに。金貨が配られるたびに、彼の眉間の皺は深くなった。あの金が——あの膨大な金が、まるで水のように流れ去っていく。貧しい者たちの手に。見知らぬ巡礼者たちの手に。無価値な者たちの手に。


彼の目は、貧しい人々ではなく、金貨そのものを追っていた。


商人としての本能が囁く——あれは無駄遣いだ。もっと有効な使い道があるはずだ。教会に寄付するとか。事業に投資するとか。少なくとも、将来のために一部を残しておくべきだ。


しかしベルナルドは何も残さなかった。


すべてを——本当にすべてを——与えてしまった。


シルヴェスターは舌打ちをした。誰にも聞こえないほど小さな、しかし確かな舌打ちだった。


彼は長年、ベルナルドから仕事を請け負ってきた。信頼関係はあった。だからこそ——この行動が理解できなかった。理解できないものに対する怒りに似た感情が、彼の胸の中でくすぶっていた。


あのフランチェスコという男のせいだ。


シルヴェスターの視線が、フランチェスコに向けられた。粗末な衣をまとった男。素足。笑顔。すべてを手放すことを喜びとする、理解しがたい存在。


彼はその場を離れた。


広場の喧騒を背に、自分の工房へと向かう。考えていた。ベルナルドの財産を自分は少しでも手に入れられなかったか。機会があれば——いや、もう過ぎたことだ。


しかしその考えは、すぐに別のものに取って代わられた。


もしかしたら——これからも何かあるかもしれない。


フランチェスコと、この新しい「兄弟」たちが、これから何をするのか。彼らが何か求めているなら——自分はそこに介入できるかもしれない。彼らの純粋さを利用して。彼らの無知につけ込んで。


シルヴェスターは唇の端をわずかに歪めた。


その表情は笑顔と呼ぶにはあまりに冷たく、嘲りと呼ぶにはあまりに慎重だった。


彼はまだ何も行動に移してはいなかった。


ただ——心の中で、小さな種が芽生え始めていた。


それがやがて、どのような実を結ぶのか。


誰も知らなかった。


フランチェスコも。ベルナルドも。


そして——シルヴェスター自身も。


---


広場では、まだ人々が集まっていた。しかしその雰囲気は、朝とは全く異なっていた。嘲笑は消え、代わりに——何か温かいものが広がっていた。


子どもたちがベルナルドの周りに集まってきた。


「おじさん、もう何もないの?」


一人の男の子が尋ねた。


ベルナルドはその子を抱き上げた。


「いや、あるよ」


「何が?」


「喜びだ」


少年はきょとんとした顔で、首を傾げた。


その姿を見て、ベルナルドはまた笑った。彼は長年、自分の館で笑うことがほとんどなかった。笑いは計算の一部であり、時に必要とあらば使う「道具」だった。


しかし今の笑いは違った。


自然に。


勝手に。


心の底から湧き上がってくる。


抑えようとしても抑えられない。


それが——喜びというものだったのだと、彼は初めて知った。


フランチェスコが彼の隣に立った。


「さあ、兄弟ベルナルド」


「はい」


「これからが始まりです」


二人は広場を後にした。石畳を歩く足音は軽やかだった。空はどこまでも青く、春の雲が羊の群れのようにゆっくりと流れていた。


彼らは知らなかった。


これから待ち受ける困難の数々を。


空腹と。


嘲笑と。


疑念と。


内部からの反逆と。


外部からの迫害を。


しかしそれでよかった。


知らないからこそ、歩ける。


見えないからこそ、信じられる。


そして彼らは持っていた——三つの聖句という名の地図と、互いの存在という名の杖と、「わが神よ」という名の糧を。


それで十分だった。


いや——それ以上に、豊かだった。


---


*このようにして、修道兄弟ベルナルドはすべての財産を売り払い、貧しい人々に与えた。それは聖書の言葉への完全な従順であり、使徒たちの模範に倣うものであった。使徒行伝に記されているように、信じた者たちは皆、持ち物を共有し、自分の所有物をすべて売り払っては、それを必要に応じて分配した——ベルナルドの行いは、まさにその最初の教会の生き方の復活であった。しかしこの世の富に目を奪われている者にとって、それは理解しがたい狂気にすぎない。石材商シルヴェスターはその一人であった——彼の心の中で、何かがまだ動き始めていなかった。ただ、その種はすでに蒔かれていた。*

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