第23話 薬用医薬部外品医薬品、薬って何かね
登場人物
課長 第二企画室開発部研究課 責任者 単身赴任中
沢渡 第二企画室開発部課長対策係課長代理
平 同研究員 補佐
折田 同研究員 主査 広報担当(営業部より転属)
市城 同研究員 主査 事務担当(経理部より転属)
1 平「マジ?何時頃までいたの?」
2 市城「日付変わる頃かな。眠くなって。」
3 折田「じゃあ仮眠室でそのまま一泊?」
4 市城「朝一度帰って着替えてきたよ。」
5 折田「で?で?何か面白い事あった?」
6 市城「面白い事?」
7 沢渡「まあ待て。順番に聞こう。最初何人来た?」
8 市城「二人。スーツの年配の人。」
「会社の偉い人かと思ったけど見覚え無かったなぁ。」
「5分くらい課長眺めながら話しして、」
「入れ替わりで防護服のスタッフが五人。」
10 沢渡「検査員だな。椅子に座らせた?」
11 市城「無理やりね。でも食事は与えてなかったよ。」
12 「拘束して点滴だけ。」
13 折田「点滴?栄養か?」
14 市城「同時に血液採取したり」
「脳波とか心電計測とかパッドの交換。」
「点滴が1時間近くかかるって言っていたから」
「その間に食事に行った。」
15 平「課長見た直後に食事とか強いな。」
16 市城「それでね、戻ってきたら課長横にされてたの。」
17 折田「横?寝かせてたって事?」
18 平「床に?直接?」
19 市城「直接と言うか大きなビニールシート。」
20 沢渡「待ったっ。ちょっと席外すから勝手に続けてくれ。」
21 平「戻るまで待たなくていいのか?」
22 沢渡「聞きたくないから席外すんだよっ。」
23 折田「なにそれ。」
24 平「で?で?沢渡出て行ったぞ。課長を横にしました。で?」
25 市城「おむつ替え。」
26 平「ぎゃあ。」
27 折田「沢渡察したのか。」
28 市城「それでね、麻酔じゃ無いと思うのだけど」
「課長横にしたまま眠らせたの。」
29 折田「マジで?睡眠て意味で眠ったの?」
30 平「他に何がある。」
31 折田「それでそれで?」
32 市城「そのまま5時間放置だって言うから仮眠室行ったの。」
「戻ったらもう課長起きてていつもの通り。」
33 沢渡「食事どうこうより検査を楽にするための椅子と机か。」
34 折田「栄養点滴に強制睡眠で疲労回復させているとか?」
35 平「それだともう細胞活動は確定じゃね?
36 折田「課長ゾンビ説は誤り?」
37 沢渡「市城君。課長寝たの何時?」
38 市城「諸々終わった後だから1時近かったかな。」
39 沢渡「市城君が仮眠室から戻ったのは?」
40 市城「5時に目覚ましかけたから遅くても5時半とか。」
41 折田「何?何か引っ掛かる?何?」
42 沢渡「一日一度の点滴と」
「4時間程度の睡眠で回復するかな。」
43 平「ウロウロしているだけだから消耗もしないんでね?」
44 沢渡「消耗か。」
45 折田「どうした?珍しいなマジマジ課長見るとか。」
46 平「ウロウロしてどうした?まさかお前もスリラーをっ」
47 市城「それは無いと思う。」
48 沢渡「ちょっと三人共来て。」
49 平「は?」
50 沢渡「こっち来て課長見て。」
51 市城「どうしたの。」
52 折田「お前それ。」
53 平「あ。俺こっちから見ようっと。」
54 市城「じゃあ僕こっちから。」
55 沢渡「よし。今日は飲みに行くぞ。」
56 市城「戻りましたー。」
57 沢渡「おかえりー。どうだった?」
58 市城「問題ないよ。えっと。」
59 沢渡「サーバーじゃなくてこっちに頂戴。」
「一応個人情報だしね。」
60 市城「そうだね。」
61 平「何年分残ってるの?」
62 市城「入社時からあるよ。」
63 平「課長のも?」
64 市城「どうかな。」
「紙で残っているのは全部入力した筈だけど。」
65 折田「入社いつだよ。つか課長って何歳?」
66 市城「えーっと58歳。」
67 平「もっといってる気がした。」
68 折田「そうか?もっと若く見えね?」
69 平「頭かな。」
70 沢渡「電極付けるのに邪魔だからちょうどいいじゃん。」
71 市城「乗せていたのは本部に持っていかれたんだね。」
72 平「残念ながら実験も失敗だし。」
73 折田「あ、それ聞きたかったんだけど。」
「いきなり本人が実験したの?」
74 平「いきなりとは?」
75 折田「動物実験とかしないのかなって。」
76 沢渡「まだそこまでの段階ですらなかったよ。」
77 平「既存の製品のブーストがやっと終わった程度かな。」
78 沢渡「本人的に化学薬品より」
「生薬的な成分でどうにかしたかったみたいだし。」
79 折田「塗るの?飲むの?」
80 沢渡「私が知っている限りだと塗る方かな。」
81 折田「見た事は無いのか。」
82 沢渡「申請書類の準備頼まれれば概ね判るよ。」
83 平「まあ大体生薬使うって時点で薬用だよなー。」
84 市城「薬用って薬と何が違うのかずっと疑問だったよ。」
85 折田「薬って付くと全部治療に使えそうだもんな。」
86 平「総務と営業と言えどそのあたりは承知しているんだな。」
87 沢渡「お前最近まで知らなかっただろ。」
88 平「治療が医薬品。予防が医薬部外品。て感じだろ。」
89 沢渡「厳密にはちょっと違う。」
「もっと簡単に言うと効果の強弱かな。」
「医薬品で使われる成分が入っているものもあるから。」
「もっとも飲むつもりだったら」
「食品関係の申請も必要だな。」
「課長が作ろうとしたのはいわゆる薬用化粧品。」
「医薬部外品だな。」
90 折田「化粧品もカテゴリー違うからな。面倒くせ。」
91 沢渡「そこはもっと簡単だよ。」
「例えば洗髪だけなら化粧品。」
「フケ予防の成分が入っていると医薬部外品とかね。」
92 市城「薬用なのに医薬部外品て言葉がややこしいね。」
93 平「課長の頭で今更予防ってなー。」
94 折田「それは言ってやるな。」
95 市城「俺のような人をこれ以上増やしてはならないっ」
「的な使命感からじやない?」
96 平「それが本当ならイイ人だ。」
97 沢渡「単純に薬品扱える資格が無いたけだよ。」
98 平「身も蓋もない。お前は本当に身も蓋もない。」
99 折田「実際身も蓋もないのは課長だけどな。」




