第21話 I'm the Law
登場人物
課長 第二企画室開発部研究課 責任者 単身赴任中
沢渡 第二企画室開発部課長対策係課長代理
平 同研究員 補佐
折田 同研究員 主査 広報担当(営業部より転属)
市城 同研究員 主査 事務担当(経理部より転属)
1 市城「遅くなってごめん。」
2 折田「おう。大丈夫。まだたいして飲んでないから。」
3 平「沢渡は?」
4 市城「今日は用事があるからって。」
5 折田「何だよ色々確認したかったのに。」
6 平「いないならいないで言える事もあるだろ。」
7 市城「今日は折田君の話聞かせてよ。」
8 折田「話ってほどじゃないんだけどさ。」
9 平「課長の取り扱いに陰謀を感じるんだよな。」
10 折田「陰謀つーか隠蔽っつーか。」
11 市城「具体的には?」
12 折田「昼間話したけどどうして病院に運ばないのか。」
13 平「それはアレだろ。」
「ウィルスならワクチン作りたいって。」
14 折田「俺が引っ掛かるのはそこもなんだよ。」
15 市城「つまり?」
16 折田「本当にウィルスに感染しているとしたら」
「扱いが雑すぎないか?」
17 市城「雑って?」
18 折田「隔離の程度て言うか厳重さと言うか。」
19 平「そうか?」
「空気感染の危険が無いのは判ったから」
「あんなもんで大丈夫って判断じゃね?」
20 折田「それだよ。」
「空気感染のリスクが無いってのは」
「お前と沢渡が身を持って確認したんだよな。」
21 市城「え?折田君もしかして」
「沢渡さんと平君も被験者だったて言っているの?」
22 折田「結果的には俺も市城もな。」
「二次感染の可能性があったのに」
「俺達に対するケアも雑だろ。」
23 平「血液検査はしたぞ?」
24 折田「だけな。しかも2日経ってから。」
「普通はまず隔離だろ。」
25 市城「折田君の言いたい事って」
「課長がウィルスに感染したのだとしたら」
「会社は既にその詳細を知っていたって事?」
26 折田「俺がもう一つ引っ掻かているのがさ、」
「あの部署の事なんだよ。」
27 平「どの部署。」
28 折田「課長と沢渡とお前の三人体制の部署。」
29 市城「第二企画室開発部研究課第三班。だよね。」
30 平「すげぇ。俺ちゃんと言えない。」
「課長を班長に新設された班って聞いたぞ。」
31 折田「平の入社してから今までの部署教えて。」
32 平「ずっと本社の開発部だ。」
「班はいくつか変わったけど。」
33 折田「こっち来たのは今回が初めて?」
34 平「ヘルプで三ヶ月課長の下にいた事はある。」
「当時は一班のサブだったかな。」
35 折田「そういやいたな。課長との接点てそれだけか?」
36 平「そうだな。殆ど話しもしてないぞ。」
37 折田「お前特に大きな問題起こしてないよな。」
38 平「大きいのも小さいのも起こしてねぇよっ。」
39 折田「じゃあ考えすぎか?」
40 市城「平君が選ばれたかもって言いたいの?」
41 平「沢渡は心当たりありそうだよな。」
42 折田「上に楯突いて言いたい放題らしかったからな。」
43 平「俺は封じられるような事してないぞ。」
44 市城「全部折田君の考え過ぎって事もあり得るけどね。」
45 平「そうか。そうだぞ折田。脅かすんじゃねえよ。」
46 市城「考えようによってはどうとでも悪く捉えられるから。」
47 折田「全部思い過ごしかも知れないし」
「全部俺の言う通りかも知れない。」
48 平「全部その通りだったら」
「これはもう陰謀説大当たりだな。」
49 沢渡「おいーっす。」
50 折田「おいす。」
51 沢渡「昨日は悪かったな。」
52 折田「なんだっけ?」
53 沢渡「飲みに行けなくて。」
54 折田「ああなんだ。いつでも行けるだろ。」
55 沢渡「折田の疑問は解決したか?」
56 折田「結論を言うと全部あり得る。全部推測だから。」
57 沢渡「そうだな。少し探りは入れて、平は?」
58 折田「そういやトイレの割に長いな。探りって何だよ。」
59 沢渡「貸しのある奴が何人かいるから情報収集だよ。」
60 市城「おはようございますす。」
61 沢渡「おはよー。」
62 折田「おいーす。昨日はお疲れー。」
63 市城「お疲れさまー。平君は総務に何の用だったの?」
64 折田「あいつ総務行ったの?」
65 市城「書類取りに行ったら奥にいたよ。」
66 沢渡「奥って誰がいる?総務部長か?何の用だ。」
67 市城「あ。」
68 折田「どうした。いやな感じの『あ』。」
69 市城「隣の室長室に行ったんじゃ。」
70 沢渡「何しに。」
71 折田「いやいやまさか。」
72 沢渡「止めてっ怖すぎる。何。昨日何かあったのか?」
73 折田「実は昨日飲みでかくかくしかじかで。」
74 沢渡「ねえよっそんな陰謀っ。」
75 市城「無いの?確認済み?」
76 沢渡「だいたい本当に陰謀あったら」
「私達にのんびり監視なんかさせないだろっ。」
77 折田「それもそうだ。」
78 市城「僕ちょっと様子見に」
79 平「ただいまー。おうおはよっす。」
80 沢渡「折田の陰謀論が本当だとしたら」
81 「今頃私達良くて左遷。もしくは沈められてるよ。」
82 平「だよなー。今頃地下で棒押して発電業務だよなー。」
83 市城「そんな部署ないから。」
84 折田「じゃあ何しに行ったんだよ。」
85 平「あ、いや。沢渡来たから言えない。」
86 沢渡「言えよ。」
87 平「怒らない?」
88 沢渡「怒る。」
90 折田「怒られるような事しに行ったのかよ。」
91 平「いや総務部長と周りの人は大笑いしてた。」
92 沢渡「でも私は怒る。」
「今怒られるか後で怒られるか選べ。」
93 平「もう怒ってるじゃん。もうオコだよね?」
94 沢渡「いいから早く言え。言わないことでまた怒るぞ。」
95 平「甲冑。」
96 沢渡「は?」
97 平「甲冑の発注をしました。」




