「偵察」3
「偵察」3
全てはBJの計算。さすがは神。
そして突然の訪問客。
救世主派と接触!?
***
その時ホークが叫んだ。
「俺たちにはその英雄が必要なんだ! 今すぐ!!」
「?」
「医者が必要なんだ! お前たち仲間ならなんとかならないか!?」
「……医者……?」
拓たちは顔を見合わせ、そして重大な事実に気づいた。
……どうして祐次が医者だと知っているんだ……?
……シアトルで聞いたのか……?
「天才医者なんだろ!? 英雄は!」
「医者が必要なのか?」
「ああ! 今すぐ医者に見せないとあぶねぇ! 意識が朦朧として熱も上がった! 素人じゃどうにもなんねぇーんだ!」
「お前たちの仲間か?」
「仲間……まぁ仲間といえば仲間だ。あの人も言ってみりゃ<サムライ・クルセイダーズ>みたいなもんだ。神に逢って啓示を受けた。それ以上にこの町には重要な人間だ」
「神!?」
再び拓たちは顔を見合わせる。
神……間違いなく<BJ>の事だ。JOLJUも神だが、JOLJU自身自分を神とは言わずJOLJU、と名乗る。
そして重要な人間。この町を救ったハウル。
全てのピースがカチリと音を立てて組みあがっていく。
「総督か?」
「そうだ。俺たちが秘密裏に保護しているが重体だ。もう治せるのは医者しかいない!」
「お前たちは全員<BJ>を知っているのか?」
その言葉を聞いたホークとムンクが驚く。
「<BJ>を知っているのか!?」
「俺と時宗は知っている。会ったことがある。成程、お前たちも会ったのか。そしてそこで英雄の話を聞いたわけだな?」
「本当かよ。まいったな」
ここにいる姜以外の全員が<BJ>と会い、そこで人類を救う英雄の話を聞き、その英雄を目指して北米までやってきた。その事実に全員が言葉を失った。
……いや……待て。思い出せ……。
拓は顎に手を当てた。
「そうか。そういえば……」
「どうした拓」
「<BJ>は言っていた。俺の時だ。『いろんな人間とこの話をしたが、そろそろ最後にしようかと思ってね』って言っていた。俺たち日本人だけじゃなくて……世界中でしていたんだ。ここにいる二人と総督、少なくともこの三人は<BJ>が接触した。俺や時宗が最後らしい。でもよく考えれば時期的にそうなるか」
「何でよ?」
「祐次がタイムスリップしたのは1年前だろ? 才能が開花する力を貰った。その一カ月後に篤志たちを助けて英雄の道を昇り始めた。北米に来てエダちゃんと知り合って完全覚醒した……としたら単純計算でざっと10カ月前。祐次自身も英雄に覚醒することが条件で覚醒後は地球人に啓示するのをやめたのかも? 最低限の人間には啓示し終えた」
「俺が<BJ>と出会ったのは3年前だ」とムンク。
「俺も3年前だ」とホーク。
「そして丁度全員ほぼ同じタイミングで北米に来た。祐次が英雄に覚醒し終わった後に合わせて」と拓。
「すげぇ……なんかよくわかんなくなるけど、つまり全部<BJ>は逆算してたって事か? さすが神だな」と時宗。
その時だった。
これまで黙って話を聞いていた姜の顔色が変わった。
「おい、拓。人の気配がする。表だ」
「え?」
「別の連中のようだ。四五人いる」
その直後、ドアが叩かれた。
「日本人の皆さん。我々はこの町に住むホリー・ミネルバの使いの者です。夜分申し訳ないですが、ホリー・ミネルバが挨拶をしたいと仰ってます」
「…………」
その声を聞いたホークとムンクが素早く物陰に隠れた。
確認するまでもない。
<救世主派>の訪問だ。
「我々に悪意はありません。是非お話しを」
「…………」
想定外の状況になってきた。
説明を聞かなくても分かる。総督を重体にし、隠れる羽目に仕向けたのは<救世主派>で、ホークたちはすでに連中に目を付けられている。
とはいえ、このまま追い返すと、思わぬ誤解を与えかねない。少なくとも現状はまだ拓たちは疑われていないと思う。
拓は決断した。
「時宗、姜」
「あん?」
「あの連中、頼めるか? 話を聞いてくるだけでいい」
「お前はどうすんだ?」
「総督に会ってくる」
「…………」
「考えがある。こっちは俺が行かなきゃ駄目なんだ。<救世主派>は任せていいか?」
「分かった」
答えたのは姜だ。
「お前が何を考えているか分からないが、お前がそうして欲しいというなら従う」
「怒らせず、穏便に話だけ聞いて適当に誤魔化していればいいんだな?」
「頼む」
「あいよ」
決まった。
だがこれがどういう展開になるかは、それは拓も分からない。
「偵察」3でした。
ということでホークたちが来たと思ったら救世主派もやってきました。
今のところ拓たちはどっちにも属していない外国人勢力……とはいえ身元はフォート・レオナード・ウッドが保証済みなので米国側は警戒していませんね。
ただ総督と対立していることは分かりました。
拓たちがどっちにつくかが問題です。
これからも「AL」を宜しくお願いします。




