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Day Dream  作者: ユ・サド・クアザ
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第27夜 射的-中編-

 <GUN&SHOOTING>の看板が掲げられている倉庫風の建物。

 いや、元々はきっと倉庫だった場所に違いない。

 看板が無ければ、店舗なのか倉庫なのかは判別がつかなかった。


 一切の迷いなく歩みを進めていく渡辺の後ろをついてゆく。

 こんちは~と言いながら店に入ると、受付と書かれたカウンターの奥から、しゃがれた声でいらっしゃいと声がする。


 バックヤードと思しき所から一人の男性が顔を出す。若干ふくよかな初老の男性。店主であろうか。

 「おー!誰かと思ったらナベちゃんじゃないの~?久しぶりだね!」

 ナベちゃんと呼ばれると渡辺はご無沙汰しておりますと丁寧に返す。

 店内の奥のテーブルで思い思いに過ごしている客たちから『おー!』と言う、小さいながらも一斉に反応している様子が見えた。


 「おっちゃん、奥良い?」

 「良いよ、空いてるよ。あれ、今日は子連れかい?・・・でも、子供にしちゃデカいな」

 「やめてくれよ、まだ独身だよ。アニキんとこの息子でね、いやー甥っ子ってのは生意気でも可愛いもんだ」

 「ナベちゃんに生意気と言わせるってなぁ、ボウズ、なかなかやんちゃだな?おとなしそうな顔して」


 やめてくれよ、親父に弟がいるなんて話聞いた事ないよ。

 と心の中でツッコむが、しれっと嘘をついた渡辺の表情に何か意味深な物を感じたので、ここは追随して笑ってごまかすことにした。


 店舗の奥へ向かって歩く渡辺を見た客が、改めてざわつき始める。

 よくよく見れば店内には盾やトロフィーが飾ってあるが、その中に渡辺の名前が刻まれているのも多い。


 もしかして、この店・・・と言うかこの業界?では、結構有名人なのか?

 そう思いつつ、熱心に見ている視線に気付いた渡辺は『いやなに、ちょっとした余興でね』と照れ笑いする。

 「余興で上位掻っ攫われるんだから、我々素人にゃ出る幕ねぇな!」

 遠くで叫ぶ店主の悲痛とも言える意見に常連客が大きな相づちをうっている。


 「ま、入ってくれ」

 扉をあけながら渡辺が中に入るよう手招きをする。

 頑丈な仕切りで囲われ、入口にドアがあるだけの事ではあるが、建物の中にまた小さな建物があるようでなんだか不思議な光景だ。

 促されるまま中に入ると、手前には頑丈な造りのカウンターがあり、10m程先には小さな的が並んでいる。


 何をするのかと少々ワクワクしながら的を見る。

 渡辺が何やら準備をしながら『それをかけてくれ』と貸し出し用と書かれている棚を指さす。

 中には安全ゴーグルが整然と並んでいたので、おもむろに一つを取り出し素直にかけて待つ。


 渡辺は小脇に抱えていたバッグからハンドガンを一つとふたつの弾倉を取り出しカウンターに並べる。

 「いいか、遠くに的が見えるな。何も言わんから、これを打って当ててみてくれ。いいか、質問は無しだ。』

 そう言うと角張った形状で独特な雰囲気を醸し出しているハンドガンを指さす。


 なにがなんだか解らないが、やれと言われたんだからやってみよう。

 夢では幾度となく撃ってきたし、現実世界でもおもちゃの鉄砲くらいは撃った事がある。

 弾倉からは白くて丸いBB弾がのぞいていたし、いくら何でもこれが本物の銃と言う事はないだろう。

 

 後は深く考えなかった。

 カウンターの上からハンドガンと弾倉を手に取りセットする。

 上部のスライドを引き、3段ある的のうち、下段の一番右側にある的に狙いを定め引き金を引く。

 一発目…は、ハズレ。きちんと狙ったはずが、狙いよりも少々右に弾が逸れてしまった。

 逸れる分を考慮して二発目を放つ。・・・命中。

 

 そのまま左へ銃を動かしリズミカルに当てていく。

 一つの棚には人型をした的が9体。下段の的を撃ち終えたところで中段の一番左を打ち、今度は左から右へ動かしてゆく。


 外した最初の1発を含めて15発を撃ったところでマガジンを入れ替え続きを打つ。

 中段の残りを4体倒し、残るは上段にいる9体だ。 


 スタンスは両肩の幅くらい。

 へその下に重心が来るように両腕を軽く伸ばしつつ、力を入れた状態、ただし力み過ぎないよう気を付けながら撃っていく。

 銃の反動で体勢とリズムを崩さないように撃つ。撃つ。撃つ。

 

 程なくしてすべての的を撃ち終える。

 撃ち終えたらマガジンを抜き、スライドを一度引く。

 銃内に残っている球を抜き、銃口を的の方へ向けてカウンターの上に置く。


 撃ち終えて渡辺の方を見る。

 なんとも言えない不気味な笑みを浮かべているが、それは何を意味しているのか。

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