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2話

 朝起きて早々に二人が新居やら家具やらと買い物に行くと言い出して、ついでにギルドにも立ち寄るからと言うので私は一日惰眠を貪ることになった。


 朝食は三人で食べたけど、昼食は宿の人に言ったら作ってくれて、支払いはユウがすでに払ってくれていたのですんなりと済み、ほとんど何もすることなく二人が帰ってきて、そのまま眠って終わった。




 朝起きて身支度を整えて、家具等はすでに新居に運んだそうなので後は向かうだけだそうでようやく王都での引っ越しが完了である。私は何もしていないけど




 辿り着いてみると普通の一軒家で特に変わった様子もない家、強いて言うなら二階建てというくらい


「どうだ?中々の家だろ?」

「う、うん‥」

「ユウそんなこと聞いても普通すぎてトウカも困るでしょ」

「普通て、このしっかりとしたフォルムをみてくれよ!」


 あれだろうか、ユウは木材フェチか何かなのかな、フォルムとか言われても私にはちょっと分からない、というかアリーも分かってないのだろうから分からない人が大半なんじゃないかな


「やっぱり一国一城、マイホームだよな」


 早々マイホームなんて買おうと思う人もいないと思うけど、しまいには元々住んでいたマイホームあっさりと売っちゃってるし


 外で話しても仕方ないとアリーが言ってくれてたおかげでようやく中に入れた。外装は普通だけど内装の方は二人が選んだ家具なのかしっかりと温かみがあるような雰囲気で構成されてる


「そういえばトウカが欲しがるだろうと思って風呂を設置してあるところを購入したよ」

「マイホーム最高‥!」

「だろう!!」


 お風呂は好きなのでとてもありがたい、アリーも好きなのか「楽しみだわ」と小さく言ってるのが聞こえたので嬉しいのだろう


 その後はそれぞれの個室を紹介されて、私の部屋は二階の奥側になった手前はユウ、向かい側にアリーの部屋でその隣は空室で物置代わりに今は使おうとのこと


 これでのんべんだらりと暮らせるのだと喜んだのだけど、二人は今日もギルドに向かうらしく私一人で留守番になってしまった。食料とかはもうすでにそろっているそうなので、作れば食べれるけど、時間を持て余してしまったので表通りからは見えないようになってる裏庭に出て以前アリーに言われた魔法に関しての練習でもしてみようと思う。


 一応念のためにと渡された呪文のメモを見つつ指輪を付けたり外したりしながら唱えたりしてみるけど、変わらず何も起こらない‥


 血に関しては、あの時はアリーの手前なのでやっていたけど、さすがに一人で切るのは怖いのでやらないけど、たとえしたとしてもいまいち魔法が発動する気配を感じられない、アリーは実際に使えていたからあんな風に私もできるはずなのだけど‥


 そういうことをして一日使い、夕方にはお風呂に入ることにした。






 数日同じように暮らしているとある日ユウとアリーがしばらく出かけないといけないらしく、兼ねてよりアリーと話してた町の案内をするから明日は昼から一緒に出掛けようと言われた。


「ごめんなさいね、ずっと時間が取れなくて」

「大丈夫‥」


 別に案内してもらわなくてもと思ったけど、さすがに食料等買わなければいけないので私一人で町を歩かないといけないので素直に聞いておく。


「ユウは‥?」

「彼は明日もギルドで仕事があるわ、遠征に向けて敵の情報共有のために各地の冒険者と打ち合わせをするそうよ」


 面倒くさそうだ、とはいえ親分と戦っていたユウの情報も欲しいのだろう、怪しい団体とやらが親分と仲間だとは限らないけど、時期的に一緒ってことは何か目的が一緒なのかもしれないし


「アリーは‥行かないの?」

「代表がいればいいと思ったのもあるけれど、私は直に剣で戦ったわけではないしね」


 魔法使いの意見も大事だとは思うけど、そもそも連携がうまく取れてなかったし、それこそ必要そうに思うけど、案外魔法と戦闘職の人たちは相容れないものなのだろう。


 弓一つでさえどんな魔法を使っても軌道がずれたりするらしいし


「明日は一緒に楽しみましょうね」

「うん‥ありがとう」


 その日はユウが帰ってくることはなかったのでアリーがご飯を作ってくれた。誰かが作ってくれるご飯‥楽でおいしい








 約束通りお昼にはアリーと出かけ、町民区から商業区へと移動しお店を紹介してもらってついでに相場がどうたらと教えてもらったけど、正直相場とか聞いても私が他の店にわざわざ行くとは思えないから聞き流した。


 服が売ってるお店も教えてもらい「ユウには内緒で買ってもいいからね」と言ってくれたけど着れればなんでもいいしやはり行くことはないだろう。


「何か食べるかしら?外売りしてる食べ物とかもあるのよ」

「食べる‥」


 この買い物アリーが一番楽しんでそうで、私に紹介してくれる度、流暢に詳細を話してくれて、今も食べ物に私が食べるって言った瞬間とても良い笑顔を見せてくれた。


 やはり女の子は買い物好きなのだろうか、私には分からないけど一緒にいる人が楽しそうにしてるのは私も少し嬉しくなる。


「トウカは辛い物大丈夫?」

「無理‥」

「わかったわ、甘口のもの買ってくるわね」


 そういうと串に屋台のところへ行き串肉を2本買って私に1本渡してくれた。


 口に含んでみると何の肉かは分からないけど美味しい、何の肉か聞いてもいいけど魔物の肉と聞いたらせっかく美味しいものが台無しになる気がするので、このまま知らないままでいこう


「オークの肉は美味しいわね、こんなに美味しいと野生のオークを使ってると思うわ」


 子オークを見たことがあるだけに、うん‥頼んでもないのに教えてくれてありがとうだけど微妙に食欲が下がる。


「魔物の肉って‥一般的なの?」

「そうね、大抵は魔物の肉よとある国では吸血鬼に憧れて人肉を食すところもあるそうね」


 吸血なのに人肉を食べるとか、それは食人鬼、グールとかゾンビの類なのではないだろうか‥


 逆に言えばこの魔物肉はその国と比べたら十分に食べれるものなだけマシだろう、良かったその国じゃなくて


「そういえばハーフって言ってもトウカって好き嫌い少ないわよね」

「スライム‥あと人肉は嫌」

「スライム美味しいのに‥けど他の獣人やハーフの子らって結構好き嫌いが激しいのよ野菜は嫌とか果物でも食べれないものがあるとか聞くわ」


 元人間だからとかそういうのが関係してるのかな?味覚が特に変わったとかはない気がするけど、そもそもの問題この世界の食べ物と地球での食べ物はあまり変わらないから違和感すら感じていなかった。


 私の耳から犬耳っぽいところがあるから犬が食べれないものとか案外体に毒だったりするのかな?いや‥半分人間だから毒ってことはないのかもしれないけど


「美味しいものがそれだけ食べれるってことだからむしろ誇ることなんだけどね、ほかの人と比べたらトウカって変わっているし、それと何か関係してるのかもしれないわね」


 その変わってるというのは私が変人という意味じゃないだろうな‥まあでも他の人たちと比べて何か変わってるというのならユウ達の前以外のときは極力気を付けておこうかな、変に目立ちたくないし


 雑談もしながら案内も順調に進み家に戻ると、ユウが帰ってきていて、アリーと遠征についての話し合いを始めたので、日課になっている魔法の練習をやってその日は終わった。


 明日からはしばらく留守番だからほとんど魔法の練習になりそうだ。






 いつもなら朝、私が起きるまで起こしにユウかアリーのどちらかがいるのだけど、多分起きなかったんだろう、居間に行くと紙が被せてある朝食があったので頂く、朝食というか日の加減からみて昼食になるのだけど


 昼からずっと練習するのもいいけど、進展がないので面白みも少ないし、食材はあるけど自由にして良いとテーブルにお金があるので、どうせならユウ達が出かけてる日全部外で食べようかな、お店には入れないけど出店の類もたくさんあるので、そこでなら悪い顔されないのはアリーと一緒に出掛けた時にちゃんと顔色を窺っていたので確認済みだ


 これで私一人の時に怪訝な顔されたら後でユウにチクってやろう。




 魔法の練習が終わって、時刻も夕方に近いので、とりあえずお持ち帰りの物を買って家で食べようかな。


 そう思って出かけてみると、一人で出歩くのなんて相当久しぶりでかなり新鮮な気持ちになる。

 歩いてると別段他の人の視線はあまりないし、これなら散歩くらいなら出歩いてもいいかもしれない




 目的の串肉屋まで来て、昨日も見かけたおじさんがいたのでお金をちゃんと持ってきたのを確認してから声をかける


「おっさん‥肉」

「あいよ、何本買うんだい?」

「え‥3本‥?」

「聞かれても困るけど3本だな?タレは辛口と甘口あるけどどうする?」

「甘口‥」


 手慣れた手つきでタレをつけて完成すると私に「あいよ」と言ってくれたので、お金も渡して、あとは帰るだけだ。


 暗くなる前に帰ろう、さすがに夜だと何があるか分からないし


 一人で帰るのもあって、周りの視線とかも気になってきょろきょろ辺りを注意しながら帰っていたら路地裏に人が倒れてるのを見かけた。まさか私一人の時に限ってこういうイベントに遭遇するとは‥いやそもそも気づいてる人もいるだろうけど見て見ぬふりしてるのかな?


 これは助けるべきか素通りすべきか、大抵こういうとき関わったら悪いことが起こるきがするのであまり乗り気はしないけど、一応声をかけて大丈夫そうなら放置しようかな、どうせお腹すいて倒れたとかそのあたりだろうし、串肉一本上げれば大丈夫だろう


「あの‥大丈夫‥?」

「‥大丈夫じゃない」

「それは良かった‥じゃあさよなら」


 まさか大丈夫じゃないと言ってくるとは思わなかった、明らかに変人の類だろう放っておこ――


「まてまて、声をかけて大丈夫じゃないとなるとどこかに行くのは何か間違ってないか!?」

「元気そうだし‥」

「あんたのおかげでな!?」

「やったぜ‥」

「褒めてない!」


 顔をがばっと起き上がらせて突っ込みを入れてくるこの不審人物‥よくよく見たら女の子だった。声が中性的でてっきり男なのかと思ったけど、女の子なら助けないといけないな


「助けてやる‥」

「なんで上から目線なの!?」

「名を名乗れ‥」

「あ、ヤギガラナステコフィーネと言います‥じゃなくて!もうあんたに何を言っても駄目な気がするけど、うがあああ!」


 待て待て、今呪文みたいな名前名乗らなかった?この人‥ヤギのチーズ美味しいねさん?なんて言ったのか聞き取れなかったのだけど‥


「名を名乗れ‥」

「今名乗ったよ!?むしろボクが君に聞き返すところだよね!?」

「名乗りなさい‥」

「うっ‥ヤギガラナステコフィーネ‥」


 ごめん、全く聞き取れなかった、面倒くさいしヤギさんでいいか、この子の髪の毛天然入ってるのか心なしかヤギに見えてきたし丁度良いだろう。


「なんで‥倒れてるの?」

「あ、名前教えてもらってないけど普通の対応に戻って気がする!えっとな!ボクは借金してるんだけどお金返せなくてお腹すいてたんだ!そして路地裏に小銭落ちてないか探してたらいつの間にか倒れちゃっててさ!あはは!」


 私の手に負えない‥ましてこのテンション追いつけない、今までユウでさえ騒がしいように感じていたけど、さすがにこんな早口でグイグイしてる子をみるとユウが霞んで見えてしまう。


「助けてくれるんだよね!ありがとう!こんなに親切な子がいるなんて思わなかった!」

「ごめん‥私奴隷だし‥お金持ってないから帰るね、君も気を付けて帰ってねそれじゃ」


 早口に私も早口で対抗したけど、途中息継ぎが必要だったので上手くいかなかったけどちゃんと伝わっただろうから早々に家に向けて足を進めるけど、ヤギさんも何故か私についてくる。


「何故‥ついてくる?」

「あんたは駄目でもあんたのご主人様がなんとかしてくれるかもしれないだろ?そうしたら解決だ!」

「馬鹿なの‥?」

「あはは!気にするな!ボクも気にしないから、いやあ倒れていると本当に助けてくれる人がいるなんて思わなかった!」


 こいつ‥わざと倒れてたのか‥まぁそりゃそうかこれだけ元気なのだから‥


 というかこの子家まで着いてくるの!?餌付けしたわけでもないのに家まで着いてくる犬猫に困ると聞いたことあるけど今物凄いその気持ちが分かる。


「ついてこないで‥!」

「ボクもそうしたいけど、あんたもボクを助けたかったのだからこれが一番良い方法だと気づいたんだ!良かった良かった」


 なんだこいつうざいぞ!?お腹すいてとかそういう理由で串肉一本上げれば解決するかなとか思ってたけど、まさかこうなるとは‥しかも最初に私が相手の話聞いてなかったからかヤギさんも私の話無視の方向で進めてるに違いない‥


 まぁ‥家に金目の物ないし、ユウ達いないから泊めるくらいはしてあげてもいいかもしれない‥


「あはは!」


 周りの視線を若干集めながらも笑ってついてくるこの能天気を連れて一旦家まで向かう。

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