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こいつのことを好きになるとは思えない  作者: メルメル
1章―ダンジョンと魔法
25/32

幕間 ノリ

 昼間に窓から差し込まれる光から日向ぼっこをしていると玄関から”ダン!”と大きな音を立ててユウが帰ってきたと思ったら私のところへ真剣な顔をして


「恋バナしようぜトウカ!」

「無理‥」

「ダンスしようぜ!」

「嫌‥」

「歌おうぜ!」

「声出ない‥」


 何がしたいのかユウは良い顔をして言い放ってくるが単純にうざいだけなのはいつものことなので無視してもいいのだけど、それはそれで悲しい顔で何時間もこちらを見てくるので相槌だけうっていたら私の隣に寝転んできた。


「トウカってノリ悪いよな」

「いえーい‥」

「物凄い棒読みな上にやる気の欠片も見当たらないいえーいだな」


 どうやら文句しか言えないらしいこの子は‥


「ユウは‥うざいよね」

「ノリ良いとかじゃなくてただの暴言!?というよりトウカが極端にテンション低いだけだと思うけどな」


 私はテンション低いとかはわざとであって、別にノリが悪いわけじゃない‥はず


 そもそもコミュ力が高そうなこいつと違って私はインドアの文学系だからウェーイとはしゃぐのはキャラではないのだ


「試しにやってみないか?」

「何を‥?」

「アリーがどうせ夕食来るだろうからその時に笑わせたら勝ちというルールでさ」

「‥正気?」

「負けたら罰ゲームとかどうよ?」


 私にメリットが欠片も感じられない‥しかもそれはノリの良さと関係してるのだろうか‥


「それならホットケーキ作ってや――」

「やる」


 これは仕方ない、格の違いを見つけてやろう


 断じて食欲に負けたわけではなく、これはいわゆる娯楽というか、何も楽しみがないのでせめて味覚くらいは楽しみを覚えてもいいのではないかというあれだ‥うん美味しいもの食べたい


「じゃあ今日の夕方が本番だからな!」

「あ‥私勝ったら100枚ね」

「そんなに食べれないだろ‥」








「お邪魔するわよー」


 ターゲット補足、日の沈みから夕方に発見したことからターゲットは予定通りに食を貪りに来たと推定


「あれ、返事ないけど勝手に入るわよ?いないのかしら?」


 居間の方に向かい警戒してる様子はない、私にかかれば足音と服の擦れる音で判断するくらい余裕で、この時点でユウより遥かにアドバンテージがある‥つまり勝てる!


「トウカはいるかし‥ら‥何してるの‥?」

「仁王像‥」

「にお‥なに?ごめんなさい私そんな片手を突き出してる姿見せつけられてもわからないわ」


 凄い真面目な突っ込みをされると‥さすがに傷付く


「あはは、ごめんなアリー、トウカは急にこのポーズを取らないと眠れないって習性があるんだ」

「‥は?」

「そうなの?私てっきり何か言いたいことがあるのかと思ったわ」


 ユウがあることないこと言って、私にしたり顔を見せつけてきた、まるで次は俺の番とでもいうように


 しかしよくよく考えてみたらアリーと仲の良いユウの方が有利なのではないだろうか!?これは‥渾身の何かが来る‥!!


「アリー俺のソウルを聞いてくれ!」

「きゅ、急にどうしたのかしら?!」

「いえー!アリーのあり得るあるある言ってみようハリーハリー!」


 こいつは駄目かもしれない‥頭的な意味で


「アリーが屋台で串焼きを食べるときあまりにもセクシー!いえーー!」

「あんた馬鹿なの!?」

「アリーが宿でねてるとぶへぇ!」


 まだ続けようとしたユウに綺麗なボディブローを決めると止めに頭を殴ってユウは沈んだ‥最後何を言おうとしたんだろう


「な、なんなのよ二人とも、今日おかしいんじゃないの!?」

「いや‥おかしいのはユウだけ‥」

「それなら、いつものことかしら‥?」


 アリーもユウがおかしいので納得してくれたっぽい、しかしこれでは勝負がまだついてないので延長戦だろう、どうやって笑わせるか‥


「まだ何も用意してないじゃない、仕方ないわねぇ‥ユウもおかしいし今日は私が作るわ」


 ユウは食事の準備よりアリーを笑わせる作戦ばかりしてたから代わりに作ってくれるのはありがたい、呆れらることだけはユウのほうに軍配が上がるな


「アリー‥私も手伝う」

「そう?嬉しいわありがとうね」


 ここはさりげないところから話を盛り上げていって笑わせるのが無難だろう


 二人でキッチンに入るころにはユウも起きあがって「何が駄目だったんだ」とぶつぶつ呟いて作戦を練り直してる、というかさっきのあれはどう見ても駄目だったろう‥


「あ、トウカそれを取ってくれるかしら?」

「うん‥アリー最近‥可愛くなったね」

「え?そ、そうかしら?ありがとう?」

「うん‥だからアリーが可愛いついでにお腹触っていい?」

「ごめんなさい、それはわからないわ」


 自然にお腹をくすぐるのはできないか、まぁそれくらい予想済みなのでこれくらい話が盛り上がればもう十分だろう、もう二言以上も話してるし!


「アリー‥見て見て」

「ん、どうし――」


 果物を服の中に入れて二の腕からポッコリとして、アリ―から見たらまるで筋肉が盛り上がってるように見えるはず


「まっする‥!」

「本当にどうしたのかしら今日は、私がおかしいのかしら」


 これも受けが悪いようである‥するとユウが何か思いついたのかキッチンに入ってきて


「アリー!俺のソウル第二弾をきいてぶへぇ!」


 全部言い切る前にアリーがユウを殴ってキッチンから追い出す。わ、私もこのままだとあの末路辿るんじゃないだろうか‥


 しかし、私にしては頑張ったのだけど面白くなかっただろうか初手仁王像から、それ経由で振り向いたらそこには筋肉が!みたいな展開だと面白いかと思ったんだけど


「トウカは筋肉がほしいの?」

「え‥?いらない」

「そ、そう、あれかしら私に遠回しに筋肉つけろということかしら」

「え‥?いらない」


 もう訳が分からないと言いながらも準備を進めているからこのままだと少ないチャンスがどんどんなくなっていく‥これはどうしたものかと思ったとき私は閃く、そうアリーはユウに恋してるからユウの話題になれば笑ってくれるはず!


「アリー‥ユウのことなんだけど‥」

「さっきまでの流れぶった切って話を変えてきたわね‥なにかしら」

「この前‥アリーは普段ローブ着て分かりづらいけど‥足が綺麗って絶賛してた」

「‥」


 アリーは嬉しがることもなく、ユウのところにいって一発殴って準備に戻ってきた


「ほかに何か言ってなかったかしら?」

「胸が慎ましくて‥最高だって言ってた」

「なんでトウカとそんな話題になってるの!?私にもそうだけどトウカにもそれセクハラだからね!?」


 胸が慎ましいの方は勝手な憶測だけど、貧乳の方が好きだからまぁ大丈夫だろう、これで実はアリーは着痩せするタイプだったりしたら別かもだけど


 しかしあまり喜んでくれなかった。嬉しくて笑うのもないし、あれ?そもそもアリーって普段どういう時笑うっけ


「よし、できたわ、何故かは分からないけど、凄く疲れたわ‥」


 いけない、さすがに食事中に何かするのは駄目だからここで作戦を練り直さないと負けてしまう

 とりあえずは皿を運んで3人で食卓を囲むことになって色々考えておくけどユウがちらちらと私の様子を伺ってる。

 さて、ユウが何を企んでいるのかは知らないけど、私にかかればいけるはずだ


「ふふふ」


 もう少しで食べ終わり再戦しようと意気込んでいたのだけど急にアリーが笑い始めた。まだ私は何もしてないけどユウが変顔でもさらしたのかと見てみるとユウも私と同じ考えだったのか私の方を見てきて目が合った。


「あ、ごめんなさいね、今日の二人を思い出したらおかしくなっちゃって」


 これは‥


「これは引き分けだな」

「うん‥」

「何の話かしら?」


 結局どっちつかずなことになってしまった。

 困ったことにホットケーキ100枚の夢はまたいつか勝負する機会があるときに頼むとしようと思う


「トウカ次は負けねえからな!」

「私の方が‥今回ちょっと上だった‥」

「引き分けってさっき認めたじゃねえか‥!」

「だから何の話してるのよ!?」




 たまになら、こういう遊びも楽しいものだ。

 二人の笑い声を聞きながらそう思えた。

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