6.セカイ戦
ノートは議場を出て、リビングのような広い部屋で深々とため息をついていた。
そこは第7セカイ内の、準神居住のための構造物だった。
ガラス張りで天井や床、調度品全てが白で統一された、垢抜けた部屋だった。白で統一されたそれは、教会のような雰囲気がある。ガラス張りの奥には青空が澄み渡っていた。
ノートは第2セカイのゼリアスにセカイ戦というものをふっかけられた。
イマイチ、セカイ戦というのが何なのかノートには分からない。それに議会前に意識を失って以降、陽月をまるで見ない。
ノートが頬杖をついてテーブルにつき、思案に耽っていると。
突然、けたたましい爆発音のようなものが聞こえた。
「っっっ?!?! いったいなんだ?!」
ノートは耳が壊れるかと思うほどの破砕音に頭がクラクラするが、何とか立ち上がり窓に駆け寄る。
すると、外にはーーゼリアスがいた。
しかも彼だけでない。他にも四人、準神らしき人がいる。全員、漆黒の肌をしていたことから、おそらく第2セカイの準神とみられる。
ノートは大慌てで外に飛び出す。
ゼリアスは頭に手をつきながら、心底ガッカリだというように頭を振る。
「まさか防護迷宮すら展開していないとは……これは舐められてるということか?」
一方、何が何だか状況の分からないノートは、ゼリアス達に喧嘩腰で怒鳴る。
「いったいどういうつもりだ!」
ゼリアスは不快さを現すように顔を歪めながら吐き捨てる。
「どういうつもりだと? 約束通り第7セカイの防壁を突き破って、セカイ同士の戦い、『セカイ戦』をやりにきたのだ」
「いきなりなんて、聞いてない! しかもそんなに仲間を連れてくるなんて、卑怯だ!」
「ああ、そうだな、お前のセカイに仲間がいないのは当然だ。なぜなら……第7セカイにいた準神達は『失踪』、したのだからな」
「第7セカイに、僕以外の準神がいた? しかも、失踪……?」
ノートはそんなこと、陽月からも聞いていない。しかし、考えてみれば、あの議場には他のセカイの準神たちはみな5人いた。ひとりだったのは、ノートの第7セカイだけだった。
「そうだ、失踪だ、『マイナス世界』にな……お前が来る前、第7セカイにいた準神は天使に反逆した罪で天罰、つまり処刑されることになっていた」
「処刑って……一体何をしてそんな……?」
「具体的な罪状は知らないが、とにかく、処刑を免れるためそいつらはマイナス世界に逃げ込んだのだ。そしてマイナスを冠する世界は、我々にも未知の領域の多い、非常に危険な世界だ。進む道を間違えれば魂は『消滅』すると言われている」
「しょ、消滅……」
「俺も詳しいことはほとんど知らない。大方、その-1やら-2に逃げ込もうと企んだんだろうな、今はどうなっているか知らないが」
「そ、そんなことが……だ、だけど、じゃあ、君たちはどうしてそんな大人数で来るんだ! こっちは今、僕一人しかいないんだぞ?! 不公平だろ!」
「セカイ戦に人数規定などない。一人でもいて、権限を持ってなら、やるまでだ……いいか? 我々第2セカイは弱肉強食を信条としている。お前のセカイが一人しかいないのが悪い。以上だ」
「待て! 僕は……!」
話し合おうとするノートに対してゼリアスは有無を言わさず、手を開いて向けた。そして宣言する。
「ーー世界空間、創造ーー」
するとあたりの景色が一変する。
青空が一面に広がっていた空間は、一面が白くて、白い高層ビルが立ち並ぶ空間に変わった。
「何が、どうなってるんだ……?」




