繰り返し見る夢 3
もう一つは非常に高いところから動けないでいる夢。これもまた繰り返し見てしまう。去年か一昨年くらいだったと思うのだけれど、ネットフリックスで「FALL/フォール」という映画を観たのだが、繰り返し見る夢になかなか近いものだった。地上から600mもある古いテレビ電波塔の頂上に二人の若い女が取り残されてしまい云々・・・・・・というそんな内容だ。
ぼくの夢は電波塔の頂上ではないし、他には誰もいないのだけれど、なんなら地上までの距離はもっとある気がする。でもその映画を観ているとき「あっ、これだ」と思った。
とにかく恐ろしく高い場所にぼくはいて足場は狭く、軽く揺れてもいる。本当なら高さに足が竦むのだろうが、なぜかそれほどではないし、絶体絶命感もさしてない。でもとても困ったな、とはいつも思う。
一人で取り残されたところが余りに高所な場合は、眼下に薄い雲が流れているので地上などまるで見えない。でも勇気さえ出せば隣の足場に飛び移れそうだったりするのだ。
足場の軽い揺れを計り、少しでも隣に近づいくタイミングを誤らなければ移れそうだな、とそんなことを考える・・・・・・たとえ飛び移れたとしても、新たな足場は同じように狭く、そしてその先は何もない。だからどんなに勇気をふり絞り、冷静に揺れを計ったとしても、意味不明なまま孤立してしまっている恐ろしく高い場所から脱出できるわけもなく・・・・・・ならどうするっかな? と思っていると決定的な解決策が浮かぶのだった。
「あっ、もしかしてこれはいつもの夢に違いない」
そして目を覚ます。夢の中で絶体絶命感はなかったはずだが、布団に横たわった胸の中は強くバクバクしているのだった。
遥か遠い足元が海とか河のこともある。そんなときは、鼻をつまみ足から飛び込めはしないだろうか? と考える。でもなかなか意を決するには至らず、やはりこう思う・・・・・・ならどうっすかな? そしてぼくは思い浮かんだ「いつも」の決定的な解決策によって救われるのだった。
数字を押せない夢も高い場所で孤立している夢も繰り返し見るのだが、もちろん頻繁にではない。見るペースも分からないし、見てきた回数も知らない。ただ、ある意味で当然の如く忘れたころに何の前振りもなく、予感もなく突然「見る」。ちなみに昼寝時に見たことはない。
他にも繰り返し同じような夢を見る、違うバージョンもあるのだが、それらは見る切っ掛けというか理由は分かっている(少なくとも分かっているつもりだ)。
ケンカの夢は寝る前に布団の中でスマホを使いUFCなりRIZINを見てから寝ると大体誰かとケンカしてしまう。下らないな、と思いながらついブレイキングダウンで寝落ちでもしたら100%見てしまう。
殴りあう前に、モゴモゴ、モゴモゴ、寝言で口喧嘩したり煽ったりしていると隣で寝ている奥さんが「はっ」として起き「大丈夫だよ、夢だよ」と揺すって起こしてくれる。そして一時目を覚ましたぼくらは少し笑ってからまた寝る。
ライブ前の楽屋で自分が何を歌うのかを忘れていて、とりあえずメンバーに最初の曲を教えてもらい、でも俺はその曲を知らないぞ、となる夢もまた繰り返し見てしまう。詞もメロディーもコード進行も知らないのだ。演奏開始まで後30分。今さら詞やメロディーやコードを教えてもらったとしても間に合わないだろうし、そもそもなんで俺がVo/Grなんだ? と戸惑う。でもそこにいる(見たこともない顔の)メンバーの誰にも何も言えない・・・・・・そして目が覚める。
この夢はたぶんだけれど、一時寄せ集めのセッションバンドに参加していた時期があり、そこの連中が企画した路上ライブに誘われたものの、当日にぼくだけがキャンセルしたときのトラウマだろう、と思っている。ぼくは奥さんと二人で(ぼくがサックス、奥さんはドラム)セッションしようとしていたのだったけれど、練習0回で適当なアドリブ予定だったから、実際行っていたらどれほど恥をさらすだけだったに違いない。
そんなわけで、考えようによってはぼくらだけが辞めてしまったトラウマというよりも、恥をかかずに命拾いした、そのツケを払っているだけなのかもしれない。ちなみにライブハウスの楽屋ではなくサッカー日本代表のロッカールームバージーョンが、覚えている限りでは二度ほどある。なぜに俺が代表選手なんだろう? と思いながら自分のポジョンを隣の人に聞くのだ。一度は先発で中盤。一度は右サイドバックでベンチスタートだった。不思議だし大きな不安を抱えはしているのだが代表のユニフォームを着る「ロッカールーム」は、当然だけれど「楽屋」にはない(夢のようなー実際まぎれもない夢なのだがー)うれしさと(背筋が伸びるー実際に仰向けで寝ているから伸びているー)誇りがそこにはある。
痰が絡んでいるとかなり息苦しい悪夢を見るし、尿意に目を覚ます直前にはトイレの夢を見てしまうのもパターン化されている。それにしても誰かと恋する夢は最高だ。
また来月にアップします。




