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みんな仲良く女装ターイム!!!

おまけで書いたガルーダ女装話です。時間軸パラレルのギャグ番外編です。よろしければどうぞ。

「だ、か、らぁ───っ!!」


 今日もギルマス室の仮眠室で、フェサの涙混じりの声が響く。


「おめ─ら──っっ! い─かげんにしろ───っっ!!」


 今日も今日とて、フェサはイチャモンつけにきたテマリとリファに女装させられている。イツキは澄ましたものだ。この程度で彼女達がご機嫌になるなら、気の済むまで付き合ってサッサと終わらせれば良い。


(つか、その反応がご褒美デスヨネ〜)


 真っ赤な顔して涙目で怒るフェサ。普通に性癖に刺さる者も多いであろう。その点リファは、既に一樹にはそこまで興味がない。美味しい反応をしてくれないからだ。


(まぁいいや)


 フェサには既に教えてやった。だからスルーすればいい筈なのに、彼の羞恥心はその上を超えてしまうようだ。そして楽しくリファ達のおもちゃになるのである。


 そうやって騒いでいる時だった。


 バキッと、ギルマス室の扉の音がした。しかも音が怪しい。


「あぁ、すまぬ」


 ゴリ……もといガルーダが壊れたドアノブを持って、そこに立っていた。


「相変わらずの馬鹿力だね」


「ふむ。黒猫とトンボなら在室との事でな、なのに扉が開かぬ。それならば中で何が起きているか確認の必要があろうと思ってな」


「で、ぶっ壊した?」


「この程度のドアノブ、作り付けが甘すぎであろう」


「あ─! ガルーダ、てめ──っっ!」


 そこにフェサが駆け込んできた。


「またうちの扉ぶっ壊しやがったな!? この間修理したばっかだぞ!! い─かげんにしろっ!!」


「あぁ、悪か……なんだ、その姿は」


 ガルーダは軽く目を見開いて、フェサをみやった。


 フェサは絶賛女装中。今日はピンクのウィッグに、白いブラウスと水色のスカートのコーディネート、化粧はテマリが担当して、見るからに可愛らしい少女姿である。


「あ……その……見んな───っっ!!」


 フェサは羞恥心のあまり、慌てて自身を抱きしめた。そして真っ赤になって、逃げるように奥の仮眠室に駆け込んだ。


(そんな反応するから喜ばれるのに)


 そう思う一樹も淡々としたものだ。冷めた表情でガルーダに向き直ると、にっこり作り笑顔で微笑んでみせた。


「ねぇ、ボク可愛い?」


 どうせ女装するなら完璧を目指す。もしかしたら女装が必要な依頼も入るかもしれない。


 別に女装したいわけではない。それでもスキルだけは磨いておく必要はあるから微笑んだのだが、ガルーダは少し引き気味のようだ。


「その、黒猫もその格好ということは……今日はそういう趣向なのか?」


「まぁ、うん。そういう事」


 ガルーダは一樹の言葉に気を取り直したようだ。腕組みをすると、上から下まで一樹をマジマジと眺めた。そしてポツリポツリと言葉を漏らしていった。


「可愛いかと呼ばれれば、いわゆる『清楚系』と呼ばれるやつか。寝込みを襲おうとした女に、そのような姿に扮した者がいたな」


「好みとしては?」


「顔は覚えてないな。黒髪は闇で姿を消すにはもってこい。だが肝心の殺気を消せないのではまだまだ三流だった事を記憶している。それでも寝室に入り込む手前まで見張りを籠絡し続けた手管には感心するものがあったな」


(やっぱりゴリラ)


 ガルーダに可愛いだのなんだのは通じない。あくまで戦闘で役に立つかどうかだ。


 彼は見た目はどうでも良い。武術だけが全て。だからこそ世界最強の武人でもあるのかもしれない。


 あちらの方からは「い─加減にしろ!!」という半泣きの声が聞こえた。一樹とガルーダはフェサに忖度せずに仮眠室へ向かう。


「見るな! 見るな見るな見るな──!!」


 フェサは真っ赤だが、普段の服はテマリに奪われたままだ。フェサは半泣きのままガルーダをビシッと指差すと、ヤケクソのように怒鳴った。


「だいたいそんなに女装させたいなら、コイツでも女装させやがれっっ!!」


 硬直したのはガルーダ。思わずリファとテマリも目を見開いた。


「オレがチビで童顔だからって、オレばっかり……オレばっかり狙いやがって──!! それならガルーダだってやらせろよッ!!そ──だよ! アイツだって女装すれればい─んだっ!!」


「似合わんぞ?」


 と、一樹がポンとガルーダの肩に手を置いた。


「という訳で、女装タイムです」


「はぁ?」


「あのですね、ガルーダ。フェサは拗ねています。とても拗ねています。ならばフェサの機嫌を取るためにも、ガルーダも女装すべきだと思うんですよね」


「それなら化粧は、リファよね!」


「ええっ、ワタクシ!?」


 ノリのいいテマリはすぐに乗ってくれた。


「ワタクシ、上手にお化粧出来るかしら……?」


 リファは困惑中。あまり化粧が得意でないリファだ。そこはきっと面白い事になるだろう。


 フェサは思わぬ方向に事態が進んで、口をパクパクしている。


 ヤケクソで怒鳴った筈が、まさかの一樹の提案までは読めなかったのだ。引き攣って固まっている。


「ふむ」


 ガルーダが頷いた。


「俺が女装すれば、トンボの気持ちが収まるのだな?良かろう。何か服はありそうか?」


「ワタクシのとっときのワンピースがありますわ。あれを構築魔法でサイズ合わせれば大丈夫だと思います」


 リファは長身のモデル体型の女性だ。ガルーダは2mあるが、構築魔法で足りない生地を補い、糸も断天魔法で消して構築魔法で作って繋ぎ合わせれば、即席のガルーダ用ワンピースが仕上がる。


「無駄な方向に魔力割り振ってんじゃね──っっ!!」


 フェサが再度怒鳴ったが、そこはどうにもならない。彼以外全員乗り気だ。更には最初にガルーダを女装させろと言ったのはフェサだ。ガルーダはバサっと上着を脱ぐと、リファが構築魔法で手直ししたワンピースを手に取った。



◆◇◆◇◆◇



「あ─っはっはっ!!」


 大爆笑するのはテマリ。一樹は澄ましているが、口元はムズムズしている。


 真顔で懸命に化粧するのはリファ。だがいつもの事だ。ガルーダの顔が福笑い状態。ガルーダはされるがまま。フェサは肩を落としている。


「ど─して、こ─なった……」


「フェサがガルーダ女装させろって言ったから」


「だからって、ホント─にやっかよ……」


 ガルーダはオリンピア連続一位の世界最強戦士。寡黙で口下手で不器用で、だか、近寄りがたい。


 だが懐に入れた人間には甘い。だから兄弟弟子であるフェサには甘いし、その紹介で繋がった一樹にも甘い。


「気は済んだか?」


「へ─へ─、もうじゅ─ぶん、腹一杯」


 フェサは現実逃避をしているようだ。


 女装姿は誰にも見せたくない。だがガルーダはドアノブをぶっ壊して入ってきた。


 それもまた情だ。フェサの身に危険がないかを慮った訳だ。


(見られたくない気持ちは慮ってくれないけど)


 ドアノブの修理代はガルーダが出してくれるだろう。そこは世界有数の金持ちだ。金は惜しまない。


「服は構築魔法で作ればいいよね」


 構築魔法の使い方はフェサと名うてのド変態ドルビスタンが教えてくれた。そして一樹の手元には予備の自分の服がある。


「ズボンをスカートにして、上はセーラー服にして……」


 一樹の服は元の世界の中学の学ランと、進学先の高校のパンフレットのブレザーを組み合わせたものだ。だからセーラー服なら学ランを弄れば早いし、スカートのプリーツはテマリの服を参考にすればイメージ出来る。更に男性用の白い靴下を用意して、コインシューズはフェサの予備の靴を構築魔法で大きくして色を変えれば良い。


 最後に特訓用の木刀を持たせて髪は三つ編みに編んで、彫りの深い顔に軽くファンデーションだけを叩けば、素晴らしきスケバンの出来上がりだ。


「へぇ、コレはコレで良い感じじゃん」


 テマリが感心したように唸ってみせた。


「迫力はありますが、美人ですわね。いわゆる迫力美人ですか」


 リファも目を見張っている。


「いや、似合わせてど─するよ……」


 呆れ顔なのはフェサ。彼には男が女装するなど考えられない。仕方ない。この世界ではそれが常識だ。男は男らしくムキ─っとするのが尊ばれる。この世界には男の娘など存在しない。そろそろそういうのが密かに流行り出してはいるが、それでも特殊性癖扱い。フェサの反応は当然といえよう。


「これで俺も女装したわけだが、気は済んだか」


 ガルーダは特段顔色も変えていない。表情筋乏しいが、それでも心配気にフェサの顔を覗き込んでくる。


「拗ねてるオレが子供みて─じゃん」


 フェサは床に座り込んで、顔を膝頭に埋めた。


「ボクたち、まだ子供でい─じゃん」


 そう言ったのは一樹。


「子供の時間なんて、そのうちなくなっちゃう。それなら人生楽しまないとね!」


「おめーは達観してんな」


「まーね!」


 この後はガルーダとのギルド間協議だ。共同統治しているミシェーダの街の件で話がある。


「じゃあ着替えるから、テマリちゃんとリファはお外に出てくれる?」


「えーっ!」


「その後は普通に会議なの。会議はテマリちゃんつまんないでしょ」


「まーね」


 外は今日も天気がいい。


 一樹は髪飾りを外すと、大きく伸びをした。



おわり


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