表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

一年の刑は元旦に処す

初詣でおみくじを引いたときの話をします。

「今のお前はハコだけ立派で中身カラ。だから仕事は大して利益出ないし縁談はあっても会っただけで終わるの。心のバランスも欠いてるね。人生のメソッド間違ってんじゃない? あと自分で思ってるより病気重いよ」


 一年の計は元旦にあり。

 神様は私におみくじを通して「人生そのものを見直せ」と仰せである。そこまで言うことないだろ。

 良いことまるで書かれていないのに小吉なのはバランスがおかしくないかとおみくじをその辺の柱に結びながら「でも見直す必要はあるかもしれない」と思う。特に、執筆関係。


 小説家になろうでワナビー、ワナビーと鳴き続けて十年経とうとしている。まだ経ってはいないけど、区切りが良いから言いたくなる。十年。

 これまで、いったいどういう小説家にワナビーなのか、はっきりと定めたことはなかった。

 最初は、きっちりプロットを立ててコンスタントに作品を量産する仕事人タイプになりたかった。すぐに無理だと悟った。TRPGで遊ぶときに「ここはアドリブで!」と初っ端から決め打ちしているようなアホにプロットなど無用の長物だったのである。

 なので手数で勝負するのは諦め、たとえ遅筆であっても、こだわりの逸品をドーンと発表する職人タイプを目指した。すぐに無理だと悟った。世の遅筆と称される小説家にはそれなりの理由があり、それは「何か違う」と思ったら一から書き直しているからなのであった。ぼくにはとてもできない。職人を名乗れるほどストイックではなかったのである。

 ということで気楽で気ままに書き綴る、天才肌の小説家として生きることにした。これは自信があった。私にはツイッターを始めた頃(こちらも十年くらい前)からしたためている、「ついのべ」こと140字小説という武器があった。心が動いたその瞬間を脊髄反射のスピードで書く超超超短編である。これぞまさしく天才の所業! おらは天才だ!!

 もちろんそんなことはなかった。言わずもがなである。天才が十年もワナビーと鳴くもんかい。

 ついのべは三千作に達したのを期に、書くことを制限した。長く続けて、ほぼ感覚だけで書けるようになってしまったので、逆にこれではダメだと思ってしまった。この間、ツイッターの存在がなくなり「ついのべ」の名を使うのが微妙になったのはついでの後押し。そういえば「マイクロノベル」なんて名前が一時現れもしたが、定着しなかったな。

 もっと、長文を書くことに力を入れよう。そう思っての選択だった、はずだった。結果はどうか。ちょっとしたお気持ち表明でさえ「いやこれは小説の中に書かないとな」と出し惜しみして、何も書き出すことのできない者になってしまった。それは自分が天才であるという一縷の望みを捨てられなかったためでもある。天才はね、自分の頭の中をべらべら喋らないし、軽い気持ちのネタ発言でスベっちゃいけないの。

 二度目の「こんなじゃダメだ」と思う時である。朝ドラにも毎日言われてるし。


 私は今、それなりにエターを抱えている。

 インチキグルメもの『ベンツ飯』は桂藤さん主役のエピソードを塩漬けにしたままだし、一度完結したのを掘り起こしてまで再開し見事にエタった『流浪の転生者シーズン2』も、最後のエピソードを書きかけのまま放置中。思うところがあって書き始めた『サルスール戦わん記』も仕上げないといけないし三流冒険者サム・アッカーソンの『ドブサライヤー』でも書きたいネタがまだまだある。ずっと書きたい書きたいと言っているヒーローものには手をつけてすらいない。後がつかえているのである。なのに、頭の便秘を抱えているのはたいへん都合が悪い。

 前置きが長くなったが、これは、その解消のために書き始めたものである。メソッドを見直せとおみくじにはあったものの、これからは積極的にお気持ち表明や創作論語りをしていこう、という風に考えを改めることはできなかった。なので代わりに新しいことを何かしようと、頭の中で消化不良を起こしているものを掻き出す場所としてここを作った。

 二千字。

 だいたい二千字前後を目標に、短編でもエッセイでも何でもいいから、ここに書いていこう。はっきり言ってこれはリハビリである。小出しにして慣らしておかないと、超大作をドーンと世に出したとき、頭がねじ切れてしまうかもしれん。私はいつまでも文章で遊んでいたいのだ。できるだけ肩に力が入っていない、不労な感じで。私はもっといいかげんに生きられるはずである。


 ということで、元旦のおみくじに端を発し、自らを「もっと書け」の刑に処した。

 おみくじは総括として「さっさと人生を充実させろ」と結んでいた。でも結局のところ、ハコを作らねば充ちるものも充たないのである。ならばまず、ハコから用意するのは何も間違いではなかろう。


 などと、口答えせずにはいられない病気は、仰るとおり重いようである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ