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馬車は街道をごとごと進む。
狐顔の文官は怖い顔のまま無言。
ノアは静かにねこさんに教えられた魔力の循環を始める。
流して練って。練って流して。
ねこさんと二人でやってると気持ちが良かったなぁ。
王都へ行ったら、魔法持ちの人に会えるかなぁ。
たしか魔法部隊があるって聞いた・・・。
馬車はゆっくり、ごとごとと・・・。
なんだか、眠くなってきた。
向かいの狐顔も船をこぎ始めた。
そして・・・馬車も止まる。
そっと扉が開いて、黒髪のジプシー女が中を覗いた。
「迎えに来たよ、ノア王子」
四頭の馬車馬は立ったまま、うとうと。御者は御者台でぐっすり。
護衛の騎士たちも、立ち止まった馬に乗ったまま頭を垂れてる。
「みんな眠ってもらったよ。死人が出ると騒ぎが大きくなるからね。
いつの間にか、あんた一人が消えてるって寸法になるのさ」
ノアを抱き下ろした女は、両手に嵌められた魔道具をいやらしそうに見た。
「小さな子になんてものをつけるんだ。
魔なしのローランディア人め。
安全な所に行ったら、すぐに外してあげるからね」
そして二人は、林の中に消えていった。
馬車馬たちがぶるるっと鼻をならし、御者ははっと目を覚ました。
いかん、いかん。
びしり、と鞭を空鳴りさせ、ごとん、と馬車が動き出す。
体の下で馬が一歩踏み出し、騎士ははっと顔を上げる。
いかん、いかん。
居眠りして落馬でもしたら、騎士の恥晒した。
だらしなく熟睡している狐顔一人を馬車に乗せたまま。
何も気づくことなく、一行はまた、街道を進みだした。




