81/253
第二部 第一章 ノア 拉致 1
第四章 17からの続きです
1
ノアと監視を乗せた馬車は整備された街道をごとごとと王都に向かって進む。
魔封じの腕輪はとても重く、両手を垂らしたまま揺れる馬車に乗っているのは八歳の小さな身体にはたいそうこたえる。
何度目かの小休止で、警護の騎士に抱き下ろしてもらったノアは、用をすませるために道端の茂みに向かいながら、騎士にそっと聞いた。
「ここはまだ、辺境伯の領地なのですか?」
「いや、もう隣のゼノン候の領地に入っているよ。もう少し頑張れ。今日はこの先の旅籠に泊まるんだ」
そうか。
ノアはほっとした。
じゃ、もう、僕に何かあっても、父上が責任を問われることはないんだ。
それなら。
ノアは隠し持った小さな笹船にささやき、騎士に見つからないようにそっと道に落とした。
「僕、「拉致」されちゃってもいいよ」




