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コカトリス  作者: 虫灯暇
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0001 鉄の世界1

 何だか静かだった。

 自分を取り巻いてる理由なぞどうでもいいかのように。

 ロクは静かにまた死んだ。

 不老不死の体を呪っていた。

 どうしようもなく静かで、暴力の声も聞こえない。

 それがとても静かだ。

 この世には何もないかのように静かだった。あまりにも静かで、毎日が静かで、日光を見たことがなかった。

 綺麗に終わってしまいましょう。

 この年月も、この年月も、静かで終わっていく。

 どこにもないほど静かだったから。


 毎日暴力で起きてた。

 何よりも人外な生物は計りなくこの生涯を終わらせなかった。

 ロクは記憶もなかった。

 欲しいものもなかった。

 必要なものはなかった。

 そして、暴力の末死んで、またコンクリートの壁の中に入るのだ。

 ロクは自己をふり変わらない。

 音が聞こえなくなくと寝るのだ。

 自己を振り返ったら、帰れなくなるようで怖かった。

 帰れなくなると、何かを思い出しそうで怖い。

 人工の明かりの中で何も見えない。

 欲しいものはないか、記憶を取り戻したいか。

 怖いのだ。

 欲しいものができるのが怖いのだ。

 それなら、ただ終わりに従おう。

 この物語はここで幕引き。

 幕が降りると夢見て終わり。

 魔王殺していつも終わり。


 「いらっしゃいませー。」

 ハンナ国の南端の一角、スーリアで彼女の実家がある。

 色とりどりの花は見てて飽きない。

 「この花をいただこうかね?」

 「こちらですか?200リンとなります。」

 彼女は手際よく花を紙で包む。

 「どうぞ、防腐剤も入っているので花瓶に生ける時はお使いください。」

 彼女の緑のストレートの髪が肩にぎりぎりに揺れる。

 「ジュナ、こっちをお願い。」

 「うん、ママ。」

 ジュナは花の状態を見る。

 「ちょっと元気ないから、肥料奥から取ってくるね。」

 ジュナが店舗の奥に引っ込もうとした瞬間、爆発が起きた。

 「あら、魔王かしらね。」

 ジュナが肥料を持ってきて、土に注入する。

 「これでよし。何?ママ?」

 「何にもないのよ。ちょっと店を見てて。」

 「うん。」

 どこに行ったんだろうと、ジュナは首を傾げた。

 ジュナは春の花弁を髪から取った。

 ジュナの髪が数センチ浮いた。

 また、髪が戻る。

 「しかし、綺麗な娘だな。レイナさん。」

 「ははは、どうも植物に関心があって、友達も作らないから、本当にこのまま結婚できるのやら。」

 「ブーケですね、かしこまりました。」

 『ジュナ。』

 『ちょっとまって、店が終わるまで待てる?』

 『いいよ。』

 ジュナは心の中で会話した。植物、統一を司る花、ガーベラだった。

 

 店が終わってから、ジュナはガーベラを呼んだ。

 「どうしたの?」

 「藤の花弁が呼んでる。」

 「藤の花が何か見つけたの?」

 ジュナの唯一できる魔法、植物魔法は花ごとに魔法の特性が変わる。植物魔法に当てられた植物は自我を持つこともある。

 「・・・よく分からないけど、見つけたらしい。もっと近づかないと解析は難しいな。」

 ガーベラの性格は解析が好きなことである。

 ジュナは夜の、自分の部屋の2階からの景色を見ながら、藤の花に聞いてみた。

 「誰も呼んでませんでした。しかし、人のようです。」

 「・・・明るくなったら行ってみる?」

 「はい。」

 藤が言った。

 「そうだね。」

 ガーベラが言った。


 ジュナは小学校の頃、植物を暴走させて友達を怪我させたので、金輪際学校に行かないと決意し、一人の部屋で植物魔法の鍛錬と勉学に勤しんだ。

 最終的には、植物に自我を加えた。

 ジュナは用意ができると、山野に向かった。

 「藤。」

 ひとたび藤の花が咲き誇ると、風に乗って花弁を散らし、道を作った。

 「じゃあ、行こうか。」

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