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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第五章 ドラゴニア魔法騎士団編
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第50話 再会

 俺はエルンの街に辿り着いた。


 すっかり夜になってしまった。

 とりあえず飯屋だ、久しぶりに来たから名物のエルン牛の牛タンを食べたい。

 焼肉屋を探して歩いていく。


「いてぇな、この野郎!!」

「ご、ごめんなさい!!」

 ん? 喧嘩か?

 声のする方へ歩いていく。

 すると獣人族の若い女の子と冒険者らしき四人組がもめていた。

「汚えな! 自慢の服が汚れたじゃねえか!!」

「エストア白金貨五枚で許してやるよ」

 へへっと笑いながら冒険者連中が女の子を囲む。

「ゆ、許して!」

「んな訳にはいかねえな……」

「よくみりゃ顔はいい! 売ったら高くつくぜ?」

「その前に俺達で楽しまないとな……へへっ……」

 酔っ払いか? それともただの下種か?

「おらぁ!」

 冒険者が女の子を突き飛ばす。

「今だ脱がしちまえ!」

「いやあ!!! やめて!!」

 必死に抵抗している女の子。

 はぁ……着いて早々揉め事か、ついてないな。

 だが、助けないわけにもいかない。


 人ごみをかき分けて女の子と冒険者の間に立つ。

「ああ! なんだガキ!」

「痛い目に会いたくなかったら引っ込んでろ!」

 そう言って一人が剣を抜く。

「正当防衛だ、悪く思うなよ?」

「死ねええ!!」

 冒険者の男が一人飛び出してくる。

 意外と速いな、だが俺にとっては遅い。

 斧を高速生成する。

 !!

 相手が驚いている。

 だが速度はそのまま更に冒険者は加速して間合いに入る。

 瞬間。

 一気に斧を相手の首目掛けて振るう。

 ザシュッ!!

 男の首が宙を舞う。

「は?」「すげぇ……」

 冒険者三人、周囲でみていた人達が驚く。

「てめえ……魔法か?」

 リーダーらしき男が前に出て剣を構える。

 後ろの二人が杖を構える。


 ドレイクは斧を地面に打ち付け、相手に向かって言う。

「ドラゴニア魔法師団のドレイクだ! 抵抗するなら首を貰う」

「魔法師団!!」「かっけえ……」「騎士様だったのか……」

 冒険者たちの顔が一気に青ざめ、武器を地面に落として投降する。

「こ、降参します」

 両手を上げて降参の姿勢を取る。

「誰か街に駐在している騎士を呼んで来てくれ!」

「お、俺が行く!」

 近くで見ていた青年が走って騎士を呼びに行く。

 その間は見張っていなければならない。


 待っていると獣人の女の子が声をかけてきた。

「あ、あの……」

「なんだ?」

 手を差し伸べたいが冒険者に逃げられるわけにはいかない。

「私です、メイルです。グラドの親方の工房で働いている……」

「メイル……? ああ、怪我はないか?」

「はい! めちゃくちゃかっこよかったです!!」

「そうか、悪いが騎士が来るまで待っていろ」

「は、はい!!」

 メイルはそう言って少しだけ離れていく。


 少ししたら騎士団が到着した。

「状況は?」

 事情を説明する。

「ご苦労様です、後は我々にお任せを」

 冒険者たちは魔法具の縄で縛られて連れていかれる。

 よし、後は任せよう。


 メイルの元へ行く。

「待たせたな」

「いえ! 全然!!」

「酔っ払いに絡まれないように気を付けて帰れよ」

「は、はい!!」

「あ、そうだ。焼肉屋知らないか?」

「焼肉屋ですか?」

「エルン牛のタンが食べたいんだ」

「だったら私が案内します!」

「お、頼むよ」


 メイルに着いていくと牛の看板が出ている店の前に着く。

「ここです! ここのエルン牛は最高ですよ!!」

「ありがとう、お前も食っていくか?」

「え!? 良いんですか!?」

「せっかくだ、中に入ろうぜ」

 店の中に入る。

「いらっしゃいませー!!」

「二名、個室で」

「こちらへどうぞ!」


奥に通され、席について注文する。

「酒は飲むか?」

「いえ! 私十九なんで……」

「へえ、大人っぽく見えるけどな」

「そんな!! 全然ですよ!!」

 大量に注文してとりあえず運ばれて来たブドウジュースで乾杯をする。

 相変わらずこの街のブドウジュースは美味いな。

 メイルの方を見ているとなんかモジモジしたり髪をしきりに触っている。

「グラドは元気か?」

「は、はい! 親方は今が全盛期です!」

 ふふっと笑ってしまう。

「そうか、元気なら何よりだ。今回はグラドに鍛冶を教わりに来たんだ」

「鍛冶をですか?」

「ああ」

 そう言って土魔法で白銀の薔薇を作り出す。


 それをメイルにプレゼントする。

「うわぁ……綺麗な薔薇。作りも細かくてしっかりしていますね」

「魔法師団で魔力制御を訓練しているんだが、それだけだと限界があるからな。もっと武器の根幹、作る過程を知りたいんだ」

「今のままでも十分な売り物になりますよ!」

「俺は世界で一番の武器を作りたいんだ」

「それは夢がありますね!」

 すると扉が開いて注文していた肉が続々と運ばれてくる。

「お! 来たな!」

「ゴ、ゴクリ……こんな肉、初めて親方に認められた時以来です……」

 よだれを垂らしているメイル。


 分かる、この牛タンは絶対に美味い。

 焼く前から分かる。

「焼いていくか……」

 一枚一枚丁寧に焼いていく。

 それを無言で見守る二人……。

 そして焼きあがる。

 メイルの皿に焼き立ての牛タンを乗せる。

「食ってみろ」

「は、はい……」

 ゆっくりとタレを付けて一口で一気に食べる。

 !!

「めちゃくちゃ美味いっす!!」

「王都でもこんな上質な肉は見ないからな……」

 俺も焼き立ての肉にタレを絡めて一口で食べる。

 !!

「美味すぎる!!」

「そうっすよね!! めちゃくちゃ美味いです!!」

 メイルと工房で合った時のイメージとやっと噛み合った。

「どんどん焼いていこうぜ!」

「はいっ!」

 その後もバクバクとエルン牛を食べて、二人で二十人前の皿を平らげて幸せなまま、宿屋へと帰るのであった。

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