第110話 ワイバーン隊
ドラゴニアの国境付近に素早く陣を敷いて相手のワイバーン隊を待つ。
「後一時間もすれば敵は攻めてくるぞ!!」
ワイバーンは魔法耐久が高い魔物だ、フラム騎士団長補佐の魔法から生き延びた分は上空に待機している黒竜隊が討つ手はずだ。
「ドレイク、ディアスの方はどうだ?」
「進軍していてアルギット付近で敵軍とぶつかります」
「よし、引き続き頼む。敵軍が着いたら神竜の加護を寄越せ、私がワイバーン隊を殲滅する」
「はっ!」
待つこと一時間。
「敵軍が来るぞー!!」
上空にいる黒竜隊からの知らせで戦闘態勢へ入る。
俺とフラム騎士団長補佐も黒竜に乗って上空へと飛び立つ。
「神竜の加護よ……!!」
フラム騎士団長補佐の長杖に加護を付与する。
「顕現せよ!! 炎竜!!」
詠唱により現れたのは四枚の翼を持つ炎の巨竜。
「フレイムバレット」
宙に千を超える炎の弾丸が出現した。
敵のワイバーン隊はすでに視界に入っている。
「敵を穿て!!」
魔法の発動と同時に俺も味方に対して声を上げる。
「総員!! 戦闘開始!!!」
魔法によって半分以上は仕留めた、一時間もしないうちに片が付くと思っていると、白いワイバーンに乗った三機が次々と黒竜隊を沈めていく。
「どうやら手練れが混じっているようだ! 白兵戦に持ち込むぞ! レーヴァテイン!!」
光り輝く炎の剣を三振り中に出現させて白いワイバーンの翼を切り裂いた。
「チッ! ベクタ! アーシル! 地上に降りるぞ!!」
「兄ちゃん! 分かった!」
「お兄!!」
白いワイバーンから降りてきたのは若い兵だった。
俺とフラム騎士団長補佐と対峙する。
「ドラゴニア聖騎士団、騎士団長補佐のフラム・グレースだ」
「セヴァイト王国が誇るワイバーン隊隊長のロンドだ」
相手の声が震えている、戦場慣れしていないのだろう。
「選べ、降伏するか、死ぬか」
「!!」
「ふざけるな!! 一緒じゃねえか!!」
「降伏するなら身の安全は確約してやる」
「俺は隊長だ、諦める事なんてできねえ」
「若いな」
そういってロンドへと近づいていくフラム騎士団長補佐。
「来るなら殺してやる!!」
ロンドは剣を構えて応戦する。
だが……。
一瞬で勝負は着いた。
「ゴホッ!!」
フラム騎士団長補佐が蹴り飛ばしただけでロンドは剣を手放し転がっていく。
「兄ちゃん!!」「お兄!!」
周りのワイバーン隊も俺達の黒竜隊もこの一騎打ちを見ていた、が、あまりにも力の差が過ぎる。
「お兄! 降参しよう!!」
妹らしき人が降参するように呼び掛ける。
「まだまだ……。俺は! 誇り高いセヴァイト王国のワイバーン隊だ!!」
近くの剣を拾いワイバーンに乗って上空へと飛び、急加速してフラム騎士団長補佐に飛びかかる。
「それが若いと言っているのだ、愚か者め!!」
ワイバーンがフラム騎士団長補佐の首を噛み砕こうとした時、ワイバーンは灰となって消えた。
上手く着地できなかったロンドは尻持ちをつく。
長杖を首元に突き付け最期の言葉を待つ。
「仲間だけでも……見逃してくれないか?」
「私は約束は守る男だ、この場にいる仲間の安全は保障しよう」
「最期に、ベクタ、アーシル、悪いな、こんなダメ兄貴で」
ニカっと笑って兄弟の方を見るロンド。
「兄ちゃん!!」「お兄!!」
兄弟二人ともフラム騎士団長補佐の長杖の前にでて身体でロンドを守る。
「死ぬなら兄ちゃんと一緒だ!!」
「あたしも!! お兄がいなくなるなんて耐えられない!!」
「馬鹿か……!! お前らまで死ぬ事ない!! ベクタ! アーシル!」
この二人は兄と一緒に死ぬ事を選んだらしい。
「ドレイク、うちの被害は?」
「黒竜の被害は多いですが、死亡者はいません」
「そうか、ではこの場にいるもの全員捕えろ」
「はっ!」
俺達は縄で敵全員縛り上げて魔導船で王都まで送ることにした。




